カテゴリー「カメラ」の177件の記事

2018年2月17日

(このブログは「控え」であり,メインのブログではありません)

 ブログ記事の更新を長期間サボっていたら,Google検索などで“三日画師”を検索したときのランクが下がってしまったらしく,メインのブログ『写真撮っけど,さすけねがい?』よりも,名前を付けたこっちのブログのほうが上位に表示されてしまうようになった。

 以前は『写真撮っけど,さすけねがい?』を見てくれていた人が,検索結果上位にある『三日画師のかすかだり』を見て,

 「最近ブログの傾向を変えた?」
 「以前とは全然違ったブログになったね」

という反応をしてきたので,とりあえずメインブログへのリンクを冒頭に置くことにしてみた。

 私のメインブログ『写真撮っけど,さすけねがい?』は下記になります。

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https://mikkagashi.cocolog-nifty.com/

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2017年5月27日

ソニーからα9が登場して思ったこと

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 ソニーが5月26日にα9を発売開始した。有効画素数を2,420万画素に抑えた(α7R IIは4,240万画素)裏面照射型の積層型CMOSセンサー「Exmor RS」を採用することで,無音電子シャッター秒間最高20コマのAE/AF追従連写でファインダー像ブラックアウトなしを可能にしたことが話題になっている。

 個人的には連写機能をほとんど使用しないので(秒間最高9コマのNikon D3を持っているが連写機能はまれに露出ブラケットするときしか使用しなかった),むしろ高速読み出しに特化することによって,Nikon D5の常用感度域でのダイナミックレンジがD4SやD810よりも劣化したように,α7R IIより画質が落ちる可能性を危惧する。むしろ,これで値段が下がるかもしれないα7R IIのほうに魅力を感じる。

 α9は瞳認識AF機能も優秀らしく,従来は顔を認識しにくいような場面でも瞳を自動検出してAFが追従するという。ただ,これも人物のポートレイト撮影をしない私にはどうでもいい機能だ。所有しているα7Sに顔認識AF機能がついていても,オンにしておくと商店街の写真を撮っているときに,かなり遠くの人物でも顔認識AFが動作してわずらわしいので,普段はオフにして使っている。

 つまり,私はα9を「すっぱい葡萄」だと思っているという意味である。

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 おもしろいと思ったのは,縦位置グリップ「VG-C3EM」だ。以前にも書いたが,私はカメラを小指まで使ってしっかり握りたいタイプなので,持っているカメラのほぼすべてに縦位置グリップを付けて使っている

 唯一つけていないのがソニーのα7Sだ。その理由はブログ記事『ソニーα7Sの縦位置グリップ「VG-C1EM」』に書いたように,縦位置グリップの形状が間延びしていてかっこ悪すぎるからである。

 ところが,α9の縦位置グリップを見ると,かっこ悪さが少しだけ低減している。よく見ると,純正のAマウントレンズアダプター「LA-EA4」との干渉を避けるために薄くなっていたグリップがまともな大きさになっているのが見てとれる。
 縦位置グリップ「VG-C3EM」のページの注意書きを読むと,その秘密が書かれている。“本機とマウントアダプターLA-EA2/LA-EA4は同時に装着できません。同時に装着すると、本機とマウントアダプターの隙間が狭くなり持ちにくくなります”

 要するに自社製アダプタとの干渉回避をあきらめたのだ。Aマウントレンズアダプターの使用者は多くても5%ぐらいだろうか。縦位置グリップも多くて5%ぐらいだろう。とすると,Aマウントレンズアダプターと縦位置グリップを併用するユーザーは大ざっぱに0.25%。ソニーはこれらのユーザーを切ったのである。経営的には妥当な判断かもしれない。

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 カメラのグリップの小指の収まりを改善するアクセサリーとしてグリップエクステンション「GP-X1EM」が同時発売されたのはとても興味深い。メーカーのソニーが「小指の収まり」を気にしていることが知れただけでも収穫だ。

 小指の収まりのために大きな縦位置グリップを付けている人の中には,代わりにこのグリップエクステンションに飛びつく人も多そうだ。
 α7発売時にグリップエクステンション「GP-X1EM」のようなアクセサリーが発売されていたら,私はたぶん購入していたと思う。小指の収まりのためにα7Sで使用している中華製のブラケットを購入することはなかったに違いない。その中華製のブラケットというのはこれ。

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 INPON製の「L型クイックリリースブラケット アルカスイス互換 1/4"ネジ付 SONY α7/α7r 専用」2,500円である。実際に送られてきた製品と微妙に形が違っているあたりはご愛敬,かな。

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 アルカスイス互換のL型ブラケットだが,三脚は使わないのでL型の横の部分は使わずに外したままにしている。側面にはカメラストラップを縦吊りするための穴も空いていて,なかなかよくできている。
 ブラケットを使わずに三脚にネジ止めするための穴も,レンズ軸の中心とカメラボディの中心の2カ所に設けられていて,気にする人は気にする場所なので,気が利いている。
 付属していた六角レンチ(いわゆるアーレンキー)が安っぽくて,焼入れが甘くてすぐにヘタってしまったことを除けば,よくできた製品だと思う。

 そういえば,ソニー純正の「GP-X1EM」を使うと三脚はあきらめなければならないし,バッテリー交換をするときには取り付けねじを緩めて,グリップエクステンションをずらさなければならない。その点,INPON製ブラケットはそのままバッテリー交換が可能だ。値段も「GP-X1EM」は12,130円と高価だ。

 あれっ,ひょっとして中華製L型ブラケットのほうが良かったりして……

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2017年4月22日

K-1でM35-70mm f2.8-3.5を使ってみた

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 部屋に散らかってる古レンズをいじっていたら,smc PENTAX-M ZOOM 35-70mm F2.8-3.5 が出てきた。1978年に発売された大口径の標準ズームレンズで,当時は多く見られた直進式ズームである。キヤノンが1973年に発売した名レンズFD35-70mm F2.8-3.5が当時10万円の超高級レンズだったのに対して,同スペックで確か7万円ぐらいだった。

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 smc PENTAX-M ZOOM 35-70mm F2.8-3.5のズームは直進式で,ピント合わせと同時に直感的にズームできるのが特徴だ。標準域より広角寄りのズームレンズなので,レトロフォーカスの2グループ式ズームになっていて,広角側で全長が長く伸びるのが特徴だ。

 レトロフォーカスの2グループ式ズームは,現在は広角ズームレンズに使われていて,動かない鏡胴部にフード固定部を設けると望遠側で前玉が引っ込み,広角側で前玉が出っ張るので,フードの遮光効果が効率的になる(ズームフード)。

 以前は大口径標準ズームにもレトロフォーカスの2グループ式ズームが多く,キヤノン・ニコン・ペンタックス各社の大口径標準ズームはいずれもそうだった。現在はニコンだけがズームフードタイプで,ズーミングしてもフード先端までの全長が変わらない。キャノンやPENTAXの大口径標準ズームは望遠側でフード先端までの全長が伸びるタイプになっている。

 せっかくなので,PENTAX K-1にsmc PENTAX-M ZOOM 35-70mm F2.8-3.5をつけて大船の街を撮り歩いてみた。APS-CサイズセンサのPENTAX K-5 IIsでは面白くない画角になるので,デジタルカメラでは一度も使わずに放置していたレンズだが,フルフレームのK-1だと仕様そのままの35-70mmのズームレンズとして使える。

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 JPEG撮影。Mレンズなのでカメラに焦点距離やピント位置情報,絞り情報が伝わらないので手ぶれ補正OFF,薄暗かったのでISO400で絞りF4ぐらい。シャッター速度は1/640。EXIF情報で焦点距離が35mmになっているが,(手ぶれ補正機構用に手入力で)35mmとしているだけで,実際は50mm〜60mmぐらいで撮っていると思う。

 ズームレンズ初期のレンズなので性能が良いわけではないが,ズーム倍率で無理していないので,まあそこそこ普通に写っている。特に中心部は最新のD-FA24-70mm F2.8の写真と並べられても区別できないと思う。

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 左上を拡大。予想していたよりもずっと良く写る印象だ。

M35-70 右上拡大
 右上の拡大。パープルフリンジが多めなのは(残念ながら)PENTAXの特徴で,古いMレンズではカメラのレンズ収差補正機能も働かないのため,もっとヒドいことになると思ったが,夕方で空がそれほど明るくなかったので悲惨なことにはならなかった。

 もともとは特徴的な2段式のねじ込み式のレンズフードが付属していて,そのフード目当てに買ったレンズだったが,今は肝心のそのフードを紛失。しかも,レンズに保護フィルタ類は付けない主義(という言うほどでもないが)なのに,売っていたときに付いていたUVフィルタのねじ部に歪みがあるらしく,外せない状態なのが残念。

 しばらく放置していたブログで記事を書いてみた。1〜2行の簡単な記事にするつもりが,日本語をまとめる能力に欠けるため,まただらだらと長くなってしまった。

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2016年9月18日

iPhone 7 登場。やっぱりAppleは変態だった

iPhone 7 登場

 日本時間の9月8日午前2時に開催されたAppleのイベントで iPhone 7 が発表され,9月16日に一斉に発売された。

 やっと防水仕様になったことや,日本独自規格になりそうだったFeliCiaに対応したこと,ホームボタンが物理ボタンからタッチセンサーになったこと,そしてとうとう忌まわしき「Dライン」がなくなったことなどが注目されている。

 iPhone 7を見て,個人的には「やっぱりAppleは変態だ」と思った。なぜならiPhone 7は,大量生産が必要な民生品にはあり得ない製造方法で作られているからだ。

 まず,iPhone 7発表前にリークされていた画像を見てほしい。

iPhone 7 リーク画像

 この写真を見て,私はカメラ部分の出っ張りに落胆するとともに,板金プレス加工かプラスチックの射出成型品のように見える外観に,とうとうApple社がiPhoneボディのアルミ合金切削加工をやめるのかと思った。

 なぜなら……

iPhone 7 リーク画像に追記

 このリーク画像のカメラ部分の出っ張りの赤線部分は,小径のボールエンドミルもしくは特殊なエンドミルによる加工が必要な「微小な内R(インナーR)」からテーパーに繋がる形状になっているからである。
 出っ張りが小さいので加工が不可能というわけではないが,そこまでして加工するほどカッコいいデザインではない。上にも書いたように,こういう形状は安上がりな板金加工や射出成形品によくある形状である。

 ひょっとしたらプラスチックの射出成形ではなく,以前話題になったリキッドメタル(射出成形が可能な金属)がとうとう採用されるのかとも思った。

 だが,登場したiPhone 7のカメラ部分の出っ張りはリーク画像とは全然違っていた。

iPhone 7 カメラ周りの形状

 リーク画像の赤線部分にあった「内R(インナーR)」のR寸法が大きく,太めのボールエンドミルで加工できる形状になっているのである。

 そう,Apple社はiPhone 7の筐体のキャビティ部分(部品の入る凹み側)だけでなく,iPhone 6sまでは簡単な仕上げ加工しか必要としなかった背面までも,カメラ部分の出っ張りを残してアルミ合金切削加工を行うことにしたのだ。ヘンタイならではの選択である。

iPhone 7 エンドミルで削り出し

 上図は,アルミニウム合金ボディの背面を,カメラ部分の出っ張りを残してエンドミルで切削加工しているところの写真である(カメラ部分のキャビティを切削している)。酔狂にもほどがある製造方法だ。

 日本のメーカーのメカ技術者には,こんなことをブログに書いている私のような暇人は少ないから,その界隈から特に大きな声が聞こえてくることはないが,「こんなのを切削で作るのかよ〜?」「意味わかんねぇ〜」「ふつう別パーツで作るだろ〜」という地響きのようなため息が聞こえてくるのを感じた。

 それほどまでにApple社の技術者はヘンタイ(もちろん褒め言葉)なのである。

iPhone 7 3D回転研磨

 カメラ部分の出っ張りをエンドミルで切削加工できたとしても,どうしてもツールマーク(やカッターマーク)は残る。表面に陽極酸化皮膜処理をする前に,ツールマークなどをきれいにするため,一般的なバフ研磨処理をするのではなく,「3D回転研磨」という処理を行っている。

 この「3D回転研磨」処理については,どういう技術なのかよくわからなかった。カメラ部分の出っ張りを不用意に研磨しすぎないような処理なのだろうとは思われる。バレル研磨とバフ研磨の中間のようにも見えるが,より精密な研磨処理のだろう。

iPhone 7 酸化皮膜を磨く

 ジェットブラックの仕上げでは,さらに凝ったことをしている。陽極酸化皮膜を付け,多孔質部分に染料を染み込ませた後で(ふつうはここで仕上がり),研磨剤を含んだ磁性流体を使って表面を高精度に研磨しているのだ。磁性流体の磁場などを調整することで研磨剤の特性を制御できるのが特徴らしい。

 そうして,とうとうジェットブラック仕上げの美しいiPhone 7が出来上がる。美しい表面仕上げにここまでこだわったiPhoneであるから,ユーザーはみすぼらしいケースなどに入れたりせずに,ぜひとも美しいままの姿で使用してほしいものである。

 iPhone 7 の筐体にリキッドメタルは使われなかったが,筐体の仕上げに磁性流体が使われた。
 5年ぐらい前に,Apple社がリキッドメタルの使用ライセンス契約を取得したとき,リキッドメタルと磁性流体を混同してしまう人が後を絶たなかったが,意外なかたちで磁性流体とiPhoneが関わることとなった。

 さて,私は現在 iPhone 5s(64GB)を使用している。約3年間使用し続けていて,バッテリーがかなりへたってきており,そろそろ機種変更を考えているところだ。

 iPhoneを片手で使用したいのと,カメラ部分の出っ張りが嫌いなので,乗り換えるならばiPhone SEかと思っているのだが,iPhone SEのストレージ容量が最大64GBしかないため,躊躇しているところである。
 MacのiTunesに入っている音楽を全部iPhoneにも入れたいので,少なくとも200GBの容量がほしい。

 iPhone 7は片手で使うには大きすぎ,カメラ部分は出っ張っているが,最大容量256GBのモデルがある。さてさて悩ましすぎる……

【関連記事】
2015年10月 4日:iPhone 6s発表。落胆そして感服
2013年10月20日:iPhone 5sのホームボタンの話
2013年9月12日:斜め下からの目線でiPhone 5cに驚く
2013年3月 3日:デザインに対するAppleの拘泥ぶりが恐ろしい
2010年10月21日:新MacBook Air登場:Unibodyはやっぱり凄い
2010年6月10日:Apple iPhone 4 びっくり仰天のハードウェア

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2016年9月 6日

デジタル一眼レフ PENTAX K-1 極私的評価

      〈 一風変わった視点から大ざっぱに重箱の隅をつつく 〉

 リコーイメージングから登場した待望のフルフレームデジタル一眼レフカメラ「PENTAX K-1」。入手してから約4か月が経ったので,実際に使ってみての私なりの印象を書き留めておくことにする。

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 まず前提条件として,私がどのような環境でPENTAX K-1を使っているかを説明する必要があるだろう。

 銀塩フィルム時代からLXやMZ-SなどのPENTAX Kマウントのカメラと,F3HPやF5などのNikon Fマウントのカメラを併用してきたこともあって,フルフレームのデジタル一眼レフカメラとしては,Nikon D3,D800E,そして一眼レフではないがミラーレスカメラであるソニーα7Sを使用している。PENTAXのAPS-C一眼レフはK-5 IIsを使用していた。

 これらのカメラ同士を比較して評価してみる。何やら数値を測定したり,同じものを撮り比べて画質を比較するのは面倒なので,あくまで私の感覚による極私的評価であることをあらかじめ断っておきたい。

 現在使用しているカメラ同士のスペックを比較すると次のようになる。D800Eやα7Sは最新のカメラではないので,とりあえず参考としての比較である。

価格コムでのカメラ比較
K-1・D800E・α7Sの比較(価格.comのカメラ比較ページより)

■ ボディサイズや質量についてあれこれ

 スペック比較表(K-1の連写撮影の数値6.5コマ/秒はAPS-Cクロップでの数値であり,フルフレームでは約4.4コマ/秒が正しい)からわかるように,K-1はD800Eとモロに競合する製品である。この2機種に対してα7Sは画素数を控えて高感度での撮影にやや特化しているのと,ボディサイズが小さく,質量も約半分しかない。

 実際に手にした感覚も,K-1とD800Eはほとんど同じような重量・ボリューム感である。

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〔Nikon D800EとPENTAX K-1の比較〕

 私は一眼レフには基本的に縦位置グリップ(バッテリーグリップ)を付けて使用している。縦位置グリップ付きのサイズはD800EよりK-1のほうがわずかに小さいように見えるが,使用していて差は感じない。

 縦位置グリップを付けるとカメラはどうしても大きく,重くなってしまう。縦位置グリップ一体型のNikon D3と同じぐらいの大きさになってしまうのだから困ったものだ。横位置で撮影する場合でも,小指まで使ってしっかりカメラを握りたいのだからしかたがない。

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〔Nikon D3とPENTAX K-1の比較〕

 縦位置グリップの話を続ける。

 私はとてもミーハーなので,カメラは見た目が重要だと考えている。Apple社のMacBookのように,性能には関係のないノートPCの裏側の見た目にまで気を配った設計に魅力を感じるのである。その点で,PENTAXの一眼レフの底面のデザインには,ガッカリさせられることが多い。K-1もその悪しき伝統を引き継いだ底面だった。本ブログに写真を載せるのを控えたくなるほどである。

 さらに,PENTAXに限らず,カメラの底面にはCEマーク(EU基準適合マーク)やらFCC認可マーク,シリアルナンバーなどのシールがべたべたと貼られている。日本製のノートPCの底面とまったく同じで見苦しく不快である(あっ,日本製ノートPCは天板やパームレストにもべたべた貼ってあるか)。

 実は,縦位置グリップにはそれらの見苦しいさまを隠してくれる効果もあるのだ。

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〔PENTAX K-1の縦位置グリップD-BG6の底面〕

 縦位置グリップ「D-BG6」を付けたK-1の底面は,日の当たる日中にカメラを公衆の目にさらしても恥ずかしくないだけの外観となる。

 また,D-BG6の側面にはストラップを通す金具が付いている。縦位置グリップを付けたK-1にストラップを通すときは,通常のようにカメラの上部両サイド2カ所にストラップを付けるだけでなく,カメラに向かって左サイド2カ所にストラップを付け,カメラを横向きにぶら下げることもできるようになっている。古い銀塩カメラ時代からPENTAXに引き継がれる伝統だ。めでたしめでたし。

 とはいえ,K-1プレミアムデビューキャンペーンの景品として縦位置グリップD-BG6が送られてくるまでは,心配で心配でならなかった。それまで使っていたPENTAX K-5 IIsの縦位置グリップD-BG4などと同様に,縦位置グリップの底面が凹凸のない「のっぺり」とした平板ではないかという不安があったからである。

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 PENTAX K-5 IIsの縦位置グリップD-BG4の底面は,こんな感じでまったく凹凸のない「のっぺり」とした平面だった。こんなのだったら,たとえ景品でもらった縦位置グリップでも残念無念で三日ぐらい寝込むところだった。

 PENTAXの一眼レフの縦位置グリップにはもうひとつ大きな問題がある。「三脚穴の位置」である。縦位置グリップを付けると,三脚穴の位置がレンズ軸から横にずれてしまうのである。

 三脚穴の位置がレンズ軸からずれてしまう原因は,PENTAXがK-7の頃から何世代にも渡って使い続けているLi-IonバッテリーD-LI90Pの構造にある。

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〔PENTAX Li-IonバッテリーD-LI90P〕

 縦位置グリップを外して,バッテリーフォルダーと三脚穴用雌ねじの位置関係を観察すれば,理由は一目瞭然である。縦位置グリップ内部の三脚穴用雌ねじの出っぱりにバッテリーが当たらないようにするためには,バッテリーをグリップ内部においてカメラのボディ側に寄せなければならない。
 しかし,Li-IonバッテリーD-LI90Pの4つの電極は上記写真の左上のように,バッテリーの厚み方向の面に付いているため,縦位置グリップのバッテリーフォルダー上面側(ボディの底面側)に,D-LI90Pの4つの電極と接触するバネ構造の電極を設置しなければならないのである。

 縦位置グリップ内に,バネ構造の電極,D-LI90Pバッテリー,バッテリーフォルダー,三脚穴用雌ねじを高さ方向に重ねると,縦位置グリップが縦に長くなってしまうため,しかたなく三脚穴用雌ねじをバッテリーと干渉しない位置までずらしている。それがレンズ軸と三脚穴がずれてしまう理由だ。

 新しいカメラを買っても,それまで使い続けたバッテリーや充電器が継続して使用できるのは大変嬉しいし,それに関してはメーカーに最大限の賛辞を贈りたい。

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〔NikonのLi-IonバッテリーEN-EL15〕

 NikonのLi-IonバッテリーEN-EL15のように,バッテリーの肩部に電極を設け,縦位置グリップの内部にはバッテリーの厚み方向の電極を必要としない構造のバッテリーにすれば,三脚穴用雌ねじをずらす必要はなくなる。

 参考までにD800Eの縦位置グリップMB-D12の底面の写真を載せて,縦位置グリップの話は終わりたい。

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〔Nikon D800Eの縦位置グリップMB-D12の底面〕


■ 第3のダイヤルでとうとう完成した「ハイパー操作系」

 ハイパー操作系は,他社カメラを使ってきたユーザーには理解しにくいのと同時に,通常の前後2つのメイン・サブダイヤルだけでは完結しない操作系だった(レンズの絞りリングが使用できる場合を除く)。K-3 IIまでのハイパー操作系では,露出補正のために露出補正ボタンを押しながらダイヤルを回すという,まことに忌まわしい操作が必要だった。

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 K-1に第3のダイヤル,つまりスマートファンクションと設定ダイヤルが追加され,ハイパープログラム・ハイパーマニュアル時の露出補正もダイヤルひとつを回すだけで済むようになった。まさに「ハイパー操作系」の完成である。

 ハイパープログラム・ハイパーマニュアルを使う限り,D800Eやα7S,世の中のその他のカメラのように,絞り優先AEやシャッター速度優先AE,プログラムAEをいちいちモードダイヤルを回して設定する必要はないし,マニュアル露出時に前後のダイヤルをカチカチ回して露出を調整する必要もない。

 撮影時の露出調整のしやすさに関しては,K-1=圧勝,D800E=旧態依然,α7S=まるでダメ男という印象だ。

 この件に関しては,2015年11月26日に『PENTAXのハイパー操作系がとうとう完成へ』という記事を書いているので,そちらを読んでほしい。


■ シャッターボタンとシャッター回り

 K-1のシャッターボタンが,K-5 IIsやK-3のようなクリック感のあるタイプではなく,PENTAX 645ZやNikon D800EやD3その他のD一桁機のように,クリック感のないタイプになったことを祝って祝杯をあげようではないか!(参考:2016年3月23日『K-1のシャッターボタンはクリック感なし!』

 K-1やD800Eのシャッターボタンのレリーズ感覚は滑らかで,半押しからゆっくり全押しするまでに何の引っかかりもクリック感もなく,すぅ〜っとレリーズに至る。とても上品だ。

 シャッターボタン半押し位置から全押し位置までのストロークは,K-1のほうがD800Eよりも若干大きめに感じた。D800Eの短いストロークに慣れているためか,シャッターボタンを半押ししたまま続けてシャッターを切ろうとすると,シャッターボタンが半押し状態まで戻っていないため,全押ししてもシャッターが切れないことが何度もあった。この点については慣れが解決してくれるかもしれない。サービスセンターなどへの持ち込みで,ストロークの調整をしてくれるのならそれに越したことはない。

 それに対してα7Sのシャッターボタンは,クリック感がないのは良いのだが,シャッターボタン動作の軸外方向に微妙なガタがあって,レリーズする瞬間にシャッターボタンがグニっと横にずれる感覚がある。今までにたくさんのカメラを使ってきたが,過去に経験したことがない安っぽさである。

 α7Sには「サイレント撮影モード」という最強の撮影モードがある。シャッター音を“完全に無音”にできるのである。こればかりは一眼レフカメラにはマネできない。

 K-1とD800Eのシャッター音はかなり大きい。PENTAXのK-5 IIsのシャッター音はとても小さく,柔らかい感じだったが,それに比べるとK-1のシャッター音はメカニカルな感じで甲高く大きい。D800Eのシャッター音も大きく,やや緩んだバネのような音(たぶん制振部材かな)が混じる。後継機のD810では静音化,ショックの低減が図られていてうらやましい。

 光学ファインダー周りはK-1とD800Eで互角と言いたいところだが,残念ながらK-1はスクリーンの交換ができない。スクリーン交換ができなくても,透過型液晶による構図用9分割グリッド表示はできる。しかし,9分割グリッドは写真の水平を取るためにはあまり役に立たないため(9分割グリッド表示が水平を取るために役立たないことは別記事にまとめてある),D800Eのような16分割グリッド表示,もしくは25分割グリッド表示がほしかったところだ。
 α7SはEVFであるため,25分割グリッド表示が可能だ。ただし,光学ファインダーのグリッドと違ってグリッド線が太くてじゃまくさい感じがする。

 写真の水平を確認するための16分割グリッド表示ができないK-1ではあるが,良い写真には水平が重要だと考えるユーザーへの最強の助っ人「自動水平補正機能」が付いている。被写体をグリッド線に合わせて水平・垂直を確認したりせず,全体の構図やピントなど他のことに注意を集中させながらでも,カメラが自動的に水平を出してくれる機能である。9分割グリッド表示しかできないK-1の弱点を補って余りある機能だ。


■ レリーズタイムラグ

 シャッター周りで重要なレリーズタイムラグは下表の通りである(データは「IMAGING RESOURCE」のサイトから)。

PENTAX K-1  Nikon D800E  SONY α7S
Shutter Response  0.086 sec 0.043 sec 0.024 sec
Shot to shot <0.30 sec 0.42 sec 0.53 sec

 ここで,Shutter Responseはシャッターボタン半押しでAFロック後,シャッターボタンを全押ししてからシャッターが切れるまでの時間(つまりレリーズタイムラグ)である。Shot to shotは,単写モードでLargeサイズのJPEGで写真を撮った後,次にシャッターが切れるまでに掛かる時間の平均値である。

 K-1はPENTAXの一眼レフにしてはレリーズタイムラグが短いと言われていたが,レリーズタイムラグは0.086秒であり,あまり速くなっていない。0.065秒ぐらいになっていることを期待していたので,ちょっと残念な結果である。
 同じシャッター速度での光学ファインダーのブラックアウト時間は,K-1のほうがD800Eよりもほんの少しだけ長いように感じられる。

 レリーズタイムラグに関しては,やはり電子先幕シャッターが使えるα7Sが断然有利である。一眼レフカメラはどうしてもミラーアップする時間が必要になるため限界がある。
 α7Sで電子先幕シャッターをOFFにすると,レリーズタイムラグは0.168秒になってしまうので注意が必要である。

 Shot to shotの数値は,街を歩きながら,通りかかる人や車を避けて町並みを撮影するときにはとても重要になる。写真を1枚撮った直後にそれを上回るシャッターチャンスがやってきたときに,自由なタイミングですぐに次の写真が撮れるかどうかを表す数値だからである。
 一般的にコンパクトデジカメはこのShot to shotの数値が大きく,狙ったタイミングでシャッターボタンを押しても,思い通りにシャッターが切れないという事態が発生しやすい。

 たとえば,Canonの高級コンパクトデジカメ G1 X Mark II のShot to shot timeは,Large Fine JPEG時に1.01秒,RAW時には1.14秒,83倍ズームを誇るNikonの P900 のShot to shot timeはLarge Fine JPEG時に1.36秒もある。連写モードでは1秒間に約7コマも撮影できることをウリにしているカメラでも,1枚撮った後は1.36秒も待たないと,次のシャッターが切れないのだ。

 その点でK-1の0.3秒以下というのは,ほぼ思い通りのタイミングでシャッターが切れるということになる。今まで普通に商店街や町並みを撮影していて,D800Eで思い通りにシャッターが切れなかったという記憶はなく,α7Sでは何度か経験したことを覚えている。Shot to shot timeが1秒以上あるコンパクトデジカメでは何度も経験している。もちろん他の要因が重なった可能性もあるので,断定的することはできないが,私の使い方だと0.5秒あたりに感覚の閾値があるのかもしれない。


■ 画質について

 私はRAW現像などという面倒なことが嫌いなので,よほど明暗差の大きなところでなければJPEGオンリーで撮影している。そして,K-1のJPEG画質には満足している。
 他のデジカメとは比較にならないほど絵のカスタマイズが可能なので,ダイナミックレンジ拡張のハイライト補正・シャドー補正の他に,大ざっぱにいうとコントラスト低め,暗部持ち上げの設定をかなり強めにかけている(他の人にはお薦めしない)。

 K-1のダイナミックレンジは広く,撮ったJPEGデータの暗部をさらに持ち上げても,ノイズまみれになることはない。超高感度撮影では,ISO感度100〜204800のK-1よりも,ISO50〜409600(拡張時)が可能なα7Sのほうが優れていることになるが,α7Sの低感度でのダイナミックレンジは意外なことにK-5 IIsよりも狭く,撮った写真の暗部を大きく持ち上げると,ガッカリするほどノイズだらけになる。

 通常感度での画質は,K-1>D800E>α7Sの順番になる印象だ。


■ 話題のフレキシブルチルト液晶について

 K-1で三脚を使っての撮影を行っていないので,フレキシブルチルト液晶の真価は不明。液晶を上に向けると,ウエストレベルでの撮影が簡単にできるのは便利だ。ただし,シャッターボタンがボディ上面(軍艦部)ではなく,前方に傾いたグリップ上部に付いているため,ウエストレベル撮影のときに右手親指でシャッターボタンを押しにくい。ISOボタンをシャッター代わりに使えるようにカスタマイズできれば,なお便利になるだろう。

 α7Sでもウエストレベル撮影はできることになっているのだが,EVFと液晶ディスプレイとの自動切り替えの感度設定が悪く,ウエストレベルでは腹部の赤外線などを検知して勝手にEVFに切り替わってしまい,残念ながらまともに撮影できない。設定メニューでEVFと液晶ディスプレイを切り替えることはできるが,機動性に欠ける。


■ 簡単なまとめ

【K-1の良かった点】
・3ダイヤルで完成したハイパー操作系
・がっちりした防塵防滴ボディ
・高画質
・高ISO感度
・広いダイナミックレンジ
・歪みの少ない光学ファインダー
・旧機種と共通のバッテリー
・自動水平補正機能
・高いカスタマイズ性
・APS-C用のDAレンズでも十分な画素数

【K-1の残念な点】
・デフォルトのJPEG画像がシャキッとしない
・16分割・25分割グリッドのスクリーンがない
・機能詰め込みすぎで質量増大
・レリーズタイムラグが0.086秒と大きめ
・(D800Eに比べると)バッテリーの持ちが悪い
・Wi-Fi接続アプリが非常に使いにくい
・K/Mレンズの絞り値情報を伝達するレバー復活せず

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2016年8月28日

カシオが広角端19mmズームのデジカメ発表

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 カシオが35mm判換算で19-95mmに相当(F2.7-6.4)するズームレンズを搭載するコンパクトデジタルカメラ EXILIM EX-ZR4000 を9月9日に発売すると発表した。

 広角端が19mm相当というのは,なかなか魅力的だ。コンパクトデジカメの望遠側にはまったく期待していないので,95mmまで頑張らずに50mm程度に抑えてくれたら,そして広角側を18mmまで(ぜいたくをいえば16mmまで)頑張ってくれたら,もっと魅力的だったのにとも思う。

 そう,実はニコンのDL18-50 f/1.8-2.8を心待ちにしているのだが,6月に予定されていた発売が延期になってしまって,8月が終わろうとする現在でも発売日が未定のままなのである。

 なぜ広角端が18mm,19mm相当のコンパクトデジタルカメラに魅力を感じるのか。私の場合は,旅先に持っていく一眼レフカメラ(ミラーレス含む)のレンズを標準ズーム1本だけにし,広角ズームレンズ代わりに使いたいからである。

 直近の旅行に持ち出したカメラは,

 ・SONY α7S + FE16-35mm F4
 ・Cyber-shot RX100M3 24-70mm F1.8-2.8

という組み合わせだったが,これを逆にしたいのである。

 本格的な写真撮影は標準ズームにして,サブカメラのコンパクトデジタルカメラを広角ズームにすれば,乗り降りした列車やバス,駅の写真を気楽にスナップするときに広角レンズが使える。限界まで引いて建物全体を撮りたい時など,広角レンズは絞って使うことが多いので,センサーサイズの小さなコンパクトカメラでも十分なのだ。

 たとえば,

 ・PENTAX K-1 + D FA24-70mm F2.8
 ・Nikon DL18-50 f/1.8-2.8

 ほら,しっくりくる組み合わせではないか。

 家電メーカーのカメラは買いたくない気持ちもあって(とか言いながら,パナソニックのGF1とかGX1に手を出している),カシオのEXILIM EX-ZR4000にすぐ飛びつくつもりはないが,店頭でいじってみて良さそうだったら買っちゃうかも。色がホワイトとブラックで,個人的にはブラック一択なのだが,カメラ全体がブラックなのではなく,天板と底板やレンズ周りがシルバーなので魅力が半減。ブラック一色のモデルは出ないのだろうか……

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2016年8月 9日

デジカメの液晶にプログラム線図の表示を!

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〔PENTAX K-1のフレキシブルチルト式液晶モニター〕

 デジタルカメラには欠かせない液晶モニター。銀塩フィルム時代から一眼レフカメラを使い続けていて,今までは,光学ファインダーさえしっかりしていれば液晶モニターでは構図やピントの確認ができれば十分だという意識が強かったが,デジタル一眼レフカメラでのライブビュー撮影が実用的になってきて,今後はますます液晶モニターの重要性は増してくる。

 どうでもいいと思っていた液晶モニターが便利に感じられてくると,あれもこれもと液晶モニターに表示してほしいものが増えてくる。そのひとつがプログラム線図(プログラムライン)である。


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リコーのコンパクトデジカメのプログラム線図の例

 写真の撮り方教室みたいなところや,“良い写真=ボケの大きな写真”と思っている人の間では絶大な支持を受けている「絞り優先オート」に比べると,圧倒的に不人気な「プログラムオート」。世の中には,プログラムオートを使うのは初心者だけだろうと思っている人も多い。
 実際のところ,“シャッターチャンスを逃さず”に撮りたい場合には,プログラムオートがオススメである。

 そのプログラムオートを使うにあたって,確認しておきたいのがプログラム線図だ。

 プログラム線図は使用するレンズやISO値によって違ってくるし,プログラムオートでプログラムシフトする場合(プログラム線図のプログラムラインが同一露出範囲でシフトする),あるいはPENTAXの一眼レフのようにプログラムオートでも,プログラムラインを高速シャッター優先・被写界深度深め優先・被写界深度浅め優先・レンズMTF優先というように複数選べる場合は,その時点でのプログラム線図がどのようになっているかを見たいのが心情である。

 レンズMTF優先というのは,使用レンズのMTF曲線(空間周波数特性)から,最良の絞り値を優先して使用するプログラムラインである。このレンズはF5.6あたりにプログラムラインがへばりついてるとか,こっちのレンズはF8.0まで積極的に絞り込んでるとか……ほら,たとえ絞り優先オートしか使わないとしても,レンズMTF優先プログラムのプログラムラインは見てみたくなるでしょ?

 フレキシブルチルト式液晶モニターではヘンタイ的なところを見せてくれたPENTAX(RICOH IMAGING)である。液晶モニターへのプログラム線図表示を実現して,やっぱりPENTAXはヘンタイだというところを見せてほしい。

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2016年8月 7日

大東亜戦争中のニコン戸塚製作所内の映像

 Video of a Nippon Kogaku optics factory from the 1940s(2016年8月6日 Nikon Rumors)

 This video footage is made up of excerpts taken from a Japanese war-time film. The film has a patriotic agenda and is titled 'Ichiban Utsukushiku' (The Most Beautiful). Directed & written by Akira Kurosawa (regarded as one of the most important and influential filmmakers in the history of cinema), the footage shows what an early Nippon Kogaku (NIKKO/Nikkor/Nikon) optics factory and the working conditions looked like in the 1940s.

 Nikon Rumorsで,大東亜戦争中に日本光学工業(現在のニコン)戸塚製作所内で撮影された黒澤明監督の映画『一番美しく』の映像が紹介されている。

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 日本映画専門チャンネルで『一番美しく』が放送されたときに,女工さんがレンズを研磨するシーンや光学検査をするシーン,そして明らかに戸塚大踏切と思われるシーンが気になり,画面キャプチャーを繰り返したので,ここで紹介したい。

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 この映画は情報局選定の国民映画で1944年(昭和19年)に公開された。大東亜戦争中に制作された映画であり,表向きは戦意発揚のための作品で,光学機器の軍需工場で働く女子挺身隊の工員たちが身を粉にしてお国のために働くという内容である。

 女工さんの一人が体調を崩し,田舎に帰るように説得されるのだが,本人は「帰りたくない」「働きたい」と懇願するのである。黒澤明といえども,戦時中に戦争を否定する映画は撮れない。しかし,一生懸命に働くシーンのBGMには「星条旗よ永遠なれ」の作曲家でもあるジョン・フィリップ・スーザの行進曲が使われているあたり,実は反戦映画だとする意見もあるようだ。

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 レンズ研磨室。壁には「軍神につづけ!」の横断幕がある。軍神というのは,戦場で散った戦死者のことだ。
 工場内のシーンは,全編にわたって実際に稼働している日本光学戸塚製作所で撮影されているので,実に臨場感がある。

 私は以前に某製品の開発業務で,評価試験を行っては試験サンプルの断面写真を撮るためにサンプルを樹脂で固め,鏡面になるまで研磨して,顕微鏡で観察するというような仕事を毎日のように続けたことがあって,レンズ研磨のシーンは妙に懐かしかった。回転する研磨機でサンプルを研磨しているうちにうとうとと居眠りしてしまい,サンプルをはじき飛ばしてしまったことも一度や二度じゃなかった。

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 日本光学戸塚製作所は「東亜光学平塚製作所」として映画に登場する。
 最初は,ロケ地として平塚のどこかの工場が使われたのかとも思ったが,背景に山が映るシーンがなんどもあり,しかも平塚の高麗山よりもはるかに小さな山なので,ロケ地が平塚でないことは明かだ。

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 主人公の渡辺ツル(矢口陽子=本映画の後に黒澤明夫人となる)が,遮断機が閉まった踏切の反対側に仲間たちを見つけ手を振る。

 線路は複々線で,デッキのある旧型電気機関車が牽く貨物列車が踏切を通過しようとしている。
 ここは,どう見ても国道1号線の戸塚大踏切である。このシーンを見て,「東亜光学平塚製作所」が日本光学工業の戸塚製作所だと確信した。

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 貨物列車が通過し,踏切が開いてみんなが主人公のツルに駆け寄る。背後に見える小さな山が,まさに戸塚大踏切の東側から西側を見たときの風景そのままである。「開かずの踏切」として知られた戸塚大踏切は,歩行者用の戸塚大踏切デッキ設置と戸塚アンダーパスの開通にともない,2015年(平成27年)の3月に閉鎖された。

 戦意発揚映画かもしれないが,実際に稼働している工場を使って撮影されているため,当時の工場の様子がまるで記録映画のように残されている。ニコンの工場で撮影されたということを前提にして,もう一度映画を見直すと,また全然違ったように見えてくるから面白い。

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2016年7月 9日

「Eye-Fi」旧製品のサポートが終了

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 Eye-Fiから「あなたの Eye-Fiカードに関する重要なお知らせ」というメールが届いた。なんと,本日(2016年7月6日)旧製品ラインのサポートを停止するという突然の通知だった。

 対象となる旧世代の製品は「Eye-Fi Pro X2またはそれよりも前の世代の製品」で,私がRICOHのGRやCanon PowerShot S100で使用している「4GB Connect X2」がモロに合致する。

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 まずは2016年9月16日にクラウド機能が利用できなくなり,2016年9月X日以降にはスマートフォンやPCに直接転送する“ディレクトモード”も使えなくなるようだ(正確な表現をすれば,機能するかどうかの保証ができない状態になるという)。

 もともとクラウド機能は使っておらず,GRで撮った写真をその場で1枚だけiPhoneに転送するのに使用していたため,クラウド機能が使えなくなっても問題ないと思っていたが,iPhoneのEye-Fiアプリのアップデートもなくなるため,iOSのアップデートにともなう動作保証がなくなってしまうのである。

 iPhone側のEye-Fiアプリが動作しなくなると,私のEye-Fiカード4GB Connect X2は,わずか4GBしか容量がなくて,バッテリーを多めに消費するだけの単なるSDカードになる……

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2016年5月29日

シグマ製レンズがEOS-1D X Mark IIで不具合

 一部のシグマ製レンズ、EOS-1D X Mark IIで正常動作せず(2016/5/27 デジカメWatch)
 測光モードによっては露出アンダーに

シグマは5月27日、同社製レンズとキヤノンEOS-1D X Mark IIとの組み合わせにおける不具合を告知した。

「SIGMA 20mm F1.4 DG HSM | Art」「SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Art」「SIGMA 85mm F1.4 EX DG HSM」をEOS-1D X Mark IIに装着し、測光モードを「評価測光」または「中央部重点平均測光」に設定し撮影した場合、撮影画像が露出不足(露出アンダー)になるというもの。

シグマではレンズの対応ファームウェアの準備を進めているという。公開日については改めて告知するとしている。

Eos1d_x_mark_ii
EOS-1D X Mark II ── Special site ── より〕

 上記問題以外に,MO(マニュアルオーバーライド)機能が使用できなかったり,カメラ本体のレンズ光学補正機能の「周辺光量補正」「色収差補正」「回折補正」および「歪曲収差補正」は使用できず,しかも正常な画像にならないため,これらの補正機能を「しない」に設定する必要があるという。EOS-1D X Mark II以外ののカメラボディでも「レンズ光学補正」の機能は使用できないらしい。

 以前『シグマ製レンズとK-1ボディの干渉問題』で書いたように,私が純正レンズしか使用しない理由は,こういうトラブルをできるだけ避けたいためである。

 さて,ちょっと気になるのは,シグマ製レンズとK-1ボディの干渉問題が判明したときに,干渉の原因は“PENTAXの設計ミス・検証不足だ”と主張していた人たちが,このEOS-1D X Mark IIでのシグマ製レンズの不具合についても“キヤノンの設計ミス”だと主張するのかどうかである。

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