ソニーからα9が登場して思ったこと
ソニーが5月26日にα9を発売開始した。有効画素数を2,420万画素に抑えた(α7R IIは4,240万画素)裏面照射型の積層型CMOSセンサー「Exmor RS」を採用することで,無音電子シャッター秒間最高20コマのAE/AF追従連写でファインダー像ブラックアウトなしを可能にしたことが話題になっている。
個人的には連写機能をほとんど使用しないので(秒間最高9コマのNikon D3を持っているが連写機能はまれに露出ブラケットするときしか使用しなかった),むしろ高速読み出しに特化することによって,Nikon D5の常用感度域でのダイナミックレンジがD4SやD810よりも劣化したように,α7R IIより画質が落ちる可能性を危惧する。むしろ,これで値段が下がるかもしれないα7R IIのほうに魅力を感じる。
α9は瞳認識AF機能も優秀らしく,従来は顔を認識しにくいような場面でも瞳を自動検出してAFが追従するという。ただ,これも人物のポートレイト撮影をしない私にはどうでもいい機能だ。所有しているα7Sに顔認識AF機能がついていても,オンにしておくと商店街の写真を撮っているときに,かなり遠くの人物でも顔認識AFが動作してわずらわしいので,普段はオフにして使っている。
つまり,私はα9を「すっぱい葡萄」だと思っているという意味である。
おもしろいと思ったのは,縦位置グリップ「VG-C3EM」だ。以前にも書いたが,私はカメラを小指まで使ってしっかり握りたいタイプなので,持っているカメラのほぼすべてに縦位置グリップを付けて使っている。
唯一つけていないのがソニーのα7Sだ。その理由はブログ記事『ソニーα7Sの縦位置グリップ「VG-C1EM」』に書いたように,縦位置グリップの形状が間延びしていてかっこ悪すぎるからである。
ところが,α9の縦位置グリップを見ると,かっこ悪さが少しだけ低減している。よく見ると,純正のAマウントレンズアダプター「LA-EA4」との干渉を避けるために薄くなっていたグリップがまともな大きさになっているのが見てとれる。
縦位置グリップ「VG-C3EM」のページの注意書きを読むと,その秘密が書かれている。“本機とマウントアダプターLA-EA2/LA-EA4は同時に装着できません。同時に装着すると、本機とマウントアダプターの隙間が狭くなり持ちにくくなります”。
要するに自社製アダプタとの干渉回避をあきらめたのだ。Aマウントレンズアダプターの使用者は多くても5%ぐらいだろうか。縦位置グリップも多くて5%ぐらいだろう。とすると,Aマウントレンズアダプターと縦位置グリップを併用するユーザーは大ざっぱに0.25%。ソニーはこれらのユーザーを切ったのである。経営的には妥当な判断かもしれない。
カメラのグリップの小指の収まりを改善するアクセサリーとしてグリップエクステンション「GP-X1EM」が同時発売されたのはとても興味深い。メーカーのソニーが「小指の収まり」を気にしていることが知れただけでも収穫だ。
小指の収まりのために大きな縦位置グリップを付けている人の中には,代わりにこのグリップエクステンションに飛びつく人も多そうだ。
α7発売時にグリップエクステンション「GP-X1EM」のようなアクセサリーが発売されていたら,私はたぶん購入していたと思う。小指の収まりのためにα7Sで使用している中華製のブラケットを購入することはなかったに違いない。その中華製のブラケットというのはこれ。
INPON製の「L型クイックリリースブラケット アルカスイス互換 1/4"ネジ付 SONY α7/α7r 専用」2,500円である。実際に送られてきた製品と微妙に形が違っているあたりはご愛敬,かな。
アルカスイス互換のL型ブラケットだが,三脚は使わないのでL型の横の部分は使わずに外したままにしている。側面にはカメラストラップを縦吊りするための穴も空いていて,なかなかよくできている。
ブラケットを使わずに三脚にネジ止めするための穴も,レンズ軸の中心とカメラボディの中心の2カ所に設けられていて,気にする人は気にする場所なので,気が利いている。
付属していた六角レンチ(いわゆるアーレンキー)が安っぽくて,焼入れが甘くてすぐにヘタってしまったことを除けば,よくできた製品だと思う。
そういえば,ソニー純正の「GP-X1EM」を使うと三脚はあきらめなければならないし,バッテリー交換をするときには取り付けねじを緩めて,グリップエクステンションをずらさなければならない。その点,INPON製ブラケットはそのままバッテリー交換が可能だ。値段も「GP-X1EM」は12,130円と高価だ。
あれっ,ひょっとして中華製L型ブラケットのほうが良かったりして……
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