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2016年7月 3日

日高町が日高本線の部分復旧を要望

 JR日高線 日高町が門別-鵡川間の先行復旧要望(2016年06月17日 北海道新聞)

 日高管内日高町は16日、部分的な不通が1年以上続いているJR日高線について、鵡川(胆振管内むかわ町)―日高門別(日高管内日高町)間20・8キロの先行復旧をJR北海道に求めていることを明らかにした。町側が同日の町議会一般質問で答弁した。

 沿線自治体による「被災箇所復旧、全線運行再開」以外の要望が明らかになるのは初めて。少なくとも38億円とされる復旧費用の負担をめぐって議論が進んでおらず、このままでは廃線論も浮上しかねないとして、段階的復旧に踏み込んだ。

 日高線は現在、苫小牧駅と、折り返し運転のできる設備がある鵡川駅の間で運行されている。町によると、日高門別駅に折り返し運転に必要な信号などの設備を整備すれば、苫小牧―日高門別間の運行が可能としている。費用は約1億円という。

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〔日高本線日高門別駅(2004年8月3日撮影)〕

 地元の人間ではないのに,とても気になる日高本線のニュース。日高町が鵡川〜日高門別間の先行復旧をJR北海道に求めているという記事が目に入った。

 このまま日高本線が廃線になってしまうのではないかと日高町が危機感を感じていることはわかる。しかし,この北海道新聞の記事を読む限りでは「ちぐはぐな印象の日高本線沿線自治体協議会」で書いた,復旧費用の負担をめぐるJR北海道と沿線自治体の間の「ばば抜き」状態はまったく変わっていない。

 日高門別駅に折り返し運転に必要な信号機を整備するために約1億円かかるという。日高町がこの金額を算出ことは難しいだろうから,これはJR北海道が提示した金額だろう。日高町がこの金額を負担しようという議論があるようには見えない。1億円はJR北海道に負担してもらい,日高門別駅まで復旧してほしいと要望しているとしたら,虫がよすぎるように感じる。

 また,日高門別駅まで先行復旧するのに本当に信号設備が必要なのだろうか。たとえば,留萌本線の末端区間の留萌〜増毛駅間で行っているように,鵡川〜日高門別間をスタフ閉塞にして日高門別駅で折り返せば,信号設備がなくても列車を動かすことはできる。長期間列車を走らせていない線路を点検,整備する費用で済むはずだ。
 そのような理由で,JR北海道側にも「動かしたくない」という意思を感じる。

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〔日高門別駅前(2004年8月3日撮影)〕

 昨年11月にJR北海道が営業係数ワースト10を発表した。留萌〜増毛間が4161,札沼線末端区間が1909,富良野〜新得が1430,赤字額は名寄〜稚内の21.6億が最悪という記事だった。

 ところが,実はJR北海道の道内全区間は札幌周辺も含めて赤字である。ローカル線の赤字額は留萌線留萌〜増毛が2.1億円,札沼線北海道医療大学〜新十津川が2.9億円であり,それに比べると幹線である函館本線函館〜長万部は42億円,根室本線帯広〜釧路32億円,札幌圏の小樽〜札幌〜岩見沢・苫小牧26億円と,幹線の赤字額のほうが圧倒的に大きく,赤字ローカル線を廃止してもJR北海道の経営が改善しないことは明確である。

 このように絶望的なJR北海道には既視感がある。国鉄末期に似ているのである。
 国鉄末期には営業係数2000を越える赤字ローカル線が悪者になっていたが,その赤字ローカル線の金額がわずか数億円だったのに対して,たとえば1983年の幹線の赤字は,東海道本線が1912億円,山陽本線1157億円,東北本線1016億円もあって桁違いに大きかったのだ。赤字ローカル線を廃止しただけでは何の改善にもならず,もっと根本的なところを見直す必要があったのだ。

 JR北海道全線での上下分離など,北海道の鉄道網のあり方について抜本的な対策が必要だと思う。それには,北海道や沿線自治体がどのようなまちづくりをしていくのか,明確なビジョンがなければならない。

 ひとつ追記すると,本州では明治以前に形成された町の外縁部に鉄道の駅が作られたところが多いが,北海道には鉄道の駅が作られた後で駅前に形成された町がほとんどである。つまり,北海道では市町村の中心が鉄道の「駅」になっているため,交通の結節点としての駅が重要であることに留意する必要がある。

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〔紋別中学校近くの日高本線踏切(2004年8月3日撮影)〕

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コメント

道民として、沿線自治体になけなしの金を出す余裕がないのは分かりますが、既に学生以外地元で利用する住民は
あまりいない路線ですからね・・・。
以前も書きましたが、高齢や病気・障がいを持つ人以外は
道民の足はとっくに車がメインですし、
札幌市内ですら地下鉄沿線以外は車無しでは不便な状況です。
これも以前書きましたが、そもそも北海道の中でも
日高地区は格段に積雪も少なく、おまけに並行して
日高自動車道が静内まで建設が進んでいるという有様。

通学の足以外は、公共交通は恐らくマイクロバスで事足りるでしょう。

何よりも北海道には東日本や東海・西日本と異なり
ドル箱となりうる路線が存在せず、これらの巨額赤字路線を
カバーできる収益源は存在しないのです。
存廃論議になると感情論や本州の状況を引き合いに出す
鉄ヲタが多いのですが、(三日画師さんのことでは全然ありませんが)北海道の交通事情を全く理解せずに語られても机上の理論でしかありませんので・・・。

投稿: BOY | 2016年7月 4日 22時50分

1億円だったら、ふるさと納税で集まらないものかなぁ。と感じております。

投稿: | 2016年9月22日 15時59分

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