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2016年7月 1日

岡山県で相次ぐ用水路への転落事故

 「人食い用水路」岡山の怪 交通死亡事故の1割が転落死(2016年6月29日 朝日新聞)

 岡山県で人々が用水路に落ちる事故が相次いでいる。自転車やバイク走行中の転落死は、過去3年間で31件。県内の交通事故死者数の1割を超える。なぜこうも危ないのか。
(中略)
 「全国の病院で勤務してきたが、こんなに用水路に人が落ちる街は初めてだ」。倉敷中央病院救命救急センターの市川元啓(もとひろ)医師は驚く。昨年、用水路に落ちて救急搬送されたのは89人にのぼり、うち14人が集中治療室に。首や顔から落ちて骨折するケースが多い。市川医師は「歩いて来院する人も含めれば、さらに増える」。昨年12月には県外出身の前県警本部長が県議会で「全国で本県のみが突出して最多という特異な状況だ」と答弁した。ネット上では「岡山の用水路は人食い用水路」とのコメントが書き込まれた。

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〔倉敷市川西町の倉敷用水や橋には柵がない(2015年5月7日撮影)〕

 岡山県では歩行者や自転車が用水路に落ちる事故が多いのだという。岡山県警の統計では,自転車やオートバイを運転中の転落死者数は全国ワースト1位。ずいぶん前にも別のメディアで同様の記事を読んだ記憶がある。

 そして,その理由は「用水路に柵がないから」という結論になっている。

 瀬戸内気候で降水量が少ない中,江戸時代から広大な平野に農地整備を進めた際に,河川やため池から農業用水を引くために用水路が作られ,その総延長は約4千kmにもなるという。農業用水路の周囲の宅地化が進んだ際に柵を設けようとしたが,県民が子供の頃からザリガニをとったりして親しみ,日常の風景となった用水路であるため,用水路の掃除がしにくくなるとか,道路が狭くなって不便になるという声もあり,柵の設置が進んでいないという。

 用水路全部に柵なりガードレールを設置すれば完璧に解決するかといえば,そんなに簡単な問題ではなさそうだ。もちろん,明らかに危険と思われる箇所に柵を設けることは必要だと思う。

 だが,用水路に柵を設けることで,失ってしまうものもある。用水路の掃除がしにくくなると言う声に表れている通り,住民と川の心理的な距離が遠くなってしまう。また,柵がないことにより生み出されている景観も失ってしまう。

 たとえば,同じ岡山県内の倉敷美観地区は舟運で賑わった倉敷川沿いの町並みの美しい景観で知られる。

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〔倉敷川沿いの倉敷美観地区(2015年5月7日撮影)〕

 江戸時代からの伝統的な町並みが保存されている倉敷美観地区では,倉敷川に架かる橋に欄干はあるが,倉敷川沿いの道には柵もガードレールもない。
 美観地区に自転車はそれほど多くはないが,歩行者の数はその他の住宅地の用水路沿いよりはるかに多い。それでも,倉敷美観地区の倉敷川に柵がないことで,転落事故が問題になっているという話は聞いたことがない。

 それでは,なぜ倉敷美観地区では問題にならず,その他の用水路での転落事故が問題になっているのだろうか。

 注目すべきは「自動車」の存在である。

 人や自転車の転落事故をどのように処理しているのかは不明だが,自動車に追い抜かれるとき,あるいは対向して走ってくる自動車を避けるために用水路に近い道路の端に寄ることが,事故の原因になっているケースが多く含まれてはいないだろうか。

 マイカーの少なかった時代には転落事故が少なく,マイカーが増えた近年になって転落事故が増えていないかに注目する必要がある。柵のない用水路や小川は,かつてはどこにでもあったものだと思うから。

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〔福島県三春町の桜川沿いの裏道(1996年8月16日撮影)〕

 参考までに,私が生まれ育った町の桜川沿いの裏道にも,柵やガードレールはなかった。カーブしている部分や,防火用水のために堰を設けて水深が深くなっているところにはガードレールが設置されていた。現在はたぶん全部にガードレールが設置されているかもしれない。

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