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2016年5月30日

ちぐはぐな印象の日高本線沿線自治体協議会

 日高線利用促進に40億円 JRが初期投資試算 地元は負担増警戒(2016年5月27日 北海道新聞)

 不通が続くJR日高線鵡川―様似間の復旧に向けた方策を議論する沿線自治体協議会が26日、日高管内新冠町役場で開かれた。JR北海道は、沿線自治体が求めていた札幌直通列車の導入など、運行再開後の利用促進策5項目について、最大約40億円の初期投資が必要で、減価償却費を含むランニングコストが年間3億3800万円に上るとの試算を示した。

 出席した日高管内7町の町長は「なるべく経費をかけない現実的な対応を考えてほしい」と反発。JRに対し、次回会合までに内容を精査するよう求めた。

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〔海岸の盛土が流出した日高本線厚賀〜大狩部間(2004年8月2日撮影)〕

 日高管内7町の町長が言う「なるべく経費をかけない現実的な対応」と,沿線側がJRに要望しているという「浦河町内の新駅設置・列車の行き違い設備の新設・札幌直通の特急列車やイベント列車用として261系車両12両を新たに製造」という内容が矛盾している。

 以前の新聞記事に,被災現場の復旧工事だけでも30億円以上の費用がかかるとのJR北海道が試算結果があった。海岸浸食対策の程度によっては長期の工事期間と約57億円の費用がかかるという試算だった。

 261系車両12両だけでも20億円近いはず。復旧工事の30億円(最大57億円)に加えて,沿線自治体はさらに約40億円の初期投資が必要な利用促進策を求めているということだろうか。

 JR北海道としては,経営が苦しく,できることなら復旧工事をせずに日高本線を廃止したいし,なんとか復旧したとしても将来にわたって赤字が見込まれる路線を押しつけられたままになりたくない。
 沿線自治体としても,上下分離経営で利用者の多くない日高本線の「下」の部分を引き受けたりしたくないし,代替となるバスを運行するなどの面倒なことはしたくない。少ない初期費用なら出すけど,あとはJR北海道がうまい具合に利用促進策を実行して,赤字が続いたとしても頑張って列車を運行してほしい。

 そんな具合に,JR北海道と沿線自治体の間で「ばば抜き」をしているように見えてしまう。

 輸送量や平行する道路の整備状況などをみれば,バス輸送に転換しても問題のない状況かもしれない。道路整備費用やバスの運行費用維持費用をトータルで考えると,単純にバスのほうが安いとは言えないようにも思うが,自治体としては予算化しやすいというメリットがありそうだ。

 全国を鉄道やバスを使って旅している立場で言えば,バスは鉄道よりもちょっと利用しにくいところがある。

 たとえば,バス路線は地図に載らない。バス路線図だけを見ても,バスの終点は地図に地名のない辺鄙なところに設けられていることが多く,バスの行先を見ただけではどこに向かうバスなのか検討がつかない。さらに,バス停名は地図に載っている地名ではなく,地元の方が昔から使い続けている旧地名になっていることも多い。橋の名前のバス停名もよく見られるが,よほど大きな橋でなければ地図に橋の名前は載っていない。

 また,無人駅でひとり列車を待っているときに,列車が10分遅れても特に不安を感じることはないが,ひとりのバス停でバスが10分待っても来ないと,バスが早発して既に行ってしまったのではないか,あるいはバスが違う経路を通ってしまったのではないかとか,いろいろ考えることになる。長距離のバスだと,10分ぐらいの遅れは頻繁にあるにもかかわらずだ。

 過去に数回日高本線を利用しての印象だが,鵡川・静内などの主要駅で乗降客は意外に多い。夏休み期間などは観光客と思われる利用者も増え,大型のバスでも乗りきれないほどの乗客数になっていたように思う。バスに転換するとしても,安いマイクロバスだけではなく,コストの掛かる大型のバスも必要になる。

 日高本線の車窓は,現在観光列車が走っているJR九州などの路線に勝るとも劣らない素晴らしいものだ。平行する道路は日高本線よりも内陸側を走っており,海に沿って走る車窓は楽しめない。
 鉄道よりバスのほうが旅におけるハードルが高いことを合わせて考えれば,日高本線沿線を訪れる観光客は,交通機関が鉄道からバスに変わることによって減少するはずだ。既に鉄道利用の観光客自体が少なくなっているということであれば,それが多少減少しても全体的な影響は小さいのかもしれないが,実際のところはどうなのだろう。

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〔日高本線静内駅の乗降客(2004年8月3日撮影)〕

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コメント

あまりにも沿線自体の主張が虫が良すぎで
荒唐無稽にしか思えません。
JR北海道の経営難と日高線の営業係数を知っていながら
赤字負担や利用喚起策の提案など何もせず、
ただただJRの自助努力に頼っている現状で、
どれだけ面の皮が厚いのでしょうか?

日高地方は道内ではかなり温暖で積雪も少ない地域ですし、
並行する日高自動車道も静内までの工事が進んでいます。

今のままでは更なる収支悪化と廃止を、
無策のまま座して待っているようにしか思えません。

投稿: BOY | 2016年5月30日 21時32分

 北海道新聞の記事がどこまで正確なのか気になるほど,虫が良すぎるように感じますよね。
 どのような結論になったとしても沿線自治体の負担は避けようがないと思われますが,各町長さんがどう考えているのか知りたいです。

投稿: 三日画師 | 2016年5月31日 07時32分

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