« 鉄道林より中学校からの景観が大事な村 | トップページ | 九州の電車や駅で見かける注意書きがヘンだ »

2015年12月17日

客貨混載は地方公共交通復興の糸口となるか

 宮崎交通とヤマト運輸、宅配に路線バスを活用(2015/9/25 日本経済新聞)

 宮崎交通(宮崎市)とヤマト運輸は24日、路線バスを活用して宅配便の荷物を輸送する「客貨混載」事業を10月1日から始めると発表した。宮交は荷台スペースを設置した専用バス車両3台を配備し、まず宮崎県西都市と西米良村を結ぶ路線でヤマトの「宅急便」を運ぶ。利用者が少なく苦戦が続く中山間地域の路線バスの利用法として注目されそうだ。

 客貨混載用に通常のバス車両を改装した。中央部の座席8席を撤去して荷台スペース(縦197×横73×高さ64センチ)を設置。ヤマトの宅配用ボックス2個を収納する。

 ヤマトは西都市東米良地区と西米良村向けの荷物を宮交の西都バスセンターに輸送し、路線バスに積み込む。宮交は両地域の停留所でヤマトの担当ドライバーに荷物を渡す。一方、両地域でヤマトが集めた荷物は西米良村発のバスが各停留所で積み込み、西都バスセンターでヤマトの担当ドライバーに引き継ぐ。

 今年(2015年)6月には,岩手県北自動車とヤマト運輸が,岩手県の盛岡市と宮古市を結ぶ都市間路線バス,および宮古市内と重茂半島を結ぶ一般路線バスにおいても,後部座席を荷台スペースにした車両で貨客混在バスの運行が始まっている。

 いずれの事業にもヤマト運輸がからんでいる。確かヤマト運輸では,京都の京福電鉄の路面電車を使い,京都中心部での「宅急便」の輸送も行っている。さすがに目の付けどころがすばらしいと思う。

 人口減少に伴い路線バスの利用者が減少し,廃止される路線が増えている。路線バスの空きスペースを有効活用し,物流ターミナルからバス停最寄りの集配所までの輸送をトラックから路線バスに代替することによって,物流を効率化する。バス路線が安定して維持できれば,地域住民の生活も安定する。まさに一石二鳥だ。

 モーダルシフトの取り組みでも,ヤマト運輸は2015年の「モーダルシフト最優良事業者賞(大賞)」を受賞している。トラック主体だった九州から関東への荷物の幹線輸送を,JR貨物駅に近い福岡ベースに一旦集約し,鉄道の貨物列車で羽田空港に隣接する国内最大級の24時間稼働の物流施設「羽田クロノゲート」に運び,そこから関東各県に向けて配送することで,年間延べ約2300台のトラックを削減,約1800トンのCO₂削減を達成したという。

 客貨混載というと,私は古い人間なので混合列車を思い出す。

Photo
〔関東鉄道常総線の混合列車(映画「大冒険」から)〕

 その昔,列車の本数が少ないローカル線では,旅客列車に貨車を連結した混合列車が走っていたのだ。貨物列車より旅客列車を優先する列車ダイヤだったため,旅客列車のダイヤで走る混合列車は比較的速く荷物が運べるという特徴もあった。
 厳密には混合列車とは言えないが,旅客列車に荷物列車を組み込んだり,列車の一部をカーテンで仕切って荷物列車として,手荷物や郵便物を運ぶ列車は,最近まであちこちで見ることができた(一部ではまだ新聞輸送などに残っている)。

1
〔混合列車(蒸気機関車C12の後ろに有蓋車と旧型客車2両)〕

2
〔草軽電鉄の混合列車(映画「カルメン故郷に帰る」から)〕

040228175339
〔寝台特急「はやぶさ」の荷物車に新聞などが運び込まれる〕

 ローカル路線バスの客貨混載輸送が他地域にも広がり,路線バス網を維持する力になることを期待したい。

 路線バスだけでなく,鉄道ローカル線で同様の客貨混載輸送を実現するのは難しいだろうか。路線がある程度柔軟に変更可能なバスと違って,既に敷かれている線路が現在の物流の動線に沿っていないことも多い。旅客列車の効率的な運行を優先し,国鉄末期から客貨分離を積極的に進めてきた経緯もある。整備新幹線によってずたずたになりつつある鉄道幹線の貨物輸送の再構築を含めて,民間企業に頼らずに,新しい貨物輸送の枠組みを構築する必要がありそうだ。

040927161928
〔神奈川県相模原市中央区を走る神奈中バスには,傘やお菓子類を売っているバスがある。買うときには代金投入箱にコインを入れる信用販売〕

|

« 鉄道林より中学校からの景観が大事な村 | トップページ | 九州の電車や駅で見かける注意書きがヘンだ »

雑記」カテゴリの記事

鉄道」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 客貨混載は地方公共交通復興の糸口となるか:

« 鉄道林より中学校からの景観が大事な村 | トップページ | 九州の電車や駅で見かける注意書きがヘンだ »