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2015年10月の6件の記事

2015年10月20日

JR西日本が三江線の廃止を検討

 JR西日本、三江線廃止を検討 地元に戸惑い広がる(2015年10月17日 朝日新聞)

 島根県江津市と広島県三次市を結ぶJR三江線(108・1キロ)について、JR西日本が利用者低迷のため、廃止も含めてあり方を検討していることが分かった。JR西の説明を受けた島根県などが16日、明らかにした。今後、沿線自治体などと対応を考えていくという。

 小林淳一副知事によると、今月5日、JR西日本の幹部から電話があった。「三江線は厳しい状況が続いている」とした上で、「三江線を利用している人のニーズ、沿線のことを考えながら、地域交通のあり方について検討に入りたい」と、同社の意向を伝えられたという。

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三次駅にあった三江線専用0番線ホーム

 2013年8月の記録的な豪雨で濁川にかかる井原川橋梁の橋脚が流されるなどの大きな被害を受け,昨年7月にやっと全線が復旧したばかりの三江線に,存廃問題が持ち上がっている。

 三江線は広島県三次市の三次駅と島根県江津市の江津駅を江の川に沿って結ぶローカル線で,全通は1975年と比較的新しい路線である。福山と三次(塩町駅)を結ぶ福塩線と合わせて,山陰地方と山陽地方を結ぶ陰陽連絡路線という位置づけも弱く,開通したときには既にマイカー時代になっており,沿線における代替道路未整備という理由によって廃線を免れている状況だった。

 沿線の主な自治体の人口は広島県三次市5万3千人,島根県美郷町約5千人(中心は粕淵駅で2012年の1日平均乗車人員は23人),島根県川本町約3.5千人(石見川本駅の1日平均乗車人員は35人),島根県江津市約2万4千人であり,いずれも人口が大きく減少している。全国どこのローカル線にも共通しているが,県境を跨ぐ区間は利用客が極端に少なくなるので,この沿線人口の少なさは致命的だ。

 三江線の旅客輸送密度はJR全路線で最下位の約50人/日で,1992年度には1日平均1409人だった利用客が,2014年度は183人にまで減少しているという。国鉄再建法では,鉄道からバスへ転換する目安となる旅客輸送密度は4000人/日とされ,廃止対象となる特定地方交通線に指定されており,三江線の50人/日という数字は,既に公共交通機関としての役目が終わっていることを示す。

 三次から雲南市木次町・三刀屋町を通り出雲・松江方面とを結ぶ松江自動車道(中国横断自動車道尾道松江線)が2013年に全線開通した。三次東から三刀屋木次は新直轄方式で建設され,無料区間となっている。無料とはいえ,建設・運用に掛かる費用は税金でまかなっているわけだから,交通行政の判断で税金を投入していることになる。
 三江線の赤字を税金で補填しようとすると,今後の10年間で10億円ぐらいだろうか。松江自動車道に島根県がどのぐらいの税負担をしているのか不明だが,これから沿線の自治体が三江線をどうしたいのかを判断することになるだろう。

 2013年の豪雨被害で不通になった三江線の復旧には,トータルで10億8千万円かかったという(JR西日本が約6億円,地元自治体などが約4億8千万円)。約3年前,全国の多くの人が「とうとう廃線だろう」と感じていた三江線に巨額の税金を投じて復旧したばかりだ。どの時点で判断を誤ったのか,きちんと検証しておく必要があると思う。

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2015年10月19日

リニア名古屋駅が年度内にも着工

 リニア名古屋駅、年度内にも着工…開削工法採用(2015年10月17日 読売新聞)

 JR東海が2027年に東京(品川)―名古屋間で開業を目指すリニア中央新幹線の名古屋市ターミナル駅の本体工事が、年度内にも始まる見通しとなった。
(中略)
 名古屋市駅では、資材置き場設置など工事に向けた準備がおおむね整った。同駅はJR名古屋駅に交差するような形で、最大幅約60メートル、長さ1キロに及ぶ。地下空間が巨大なため、掘削機で地中を掘り進める「シールド工法」では地表部分が崩落する恐れがあり、地上から露天掘りのように掘り進める「開削工法」を採用。真上にある東海道新幹線や在来線の営業運転は止めず、ホームや線路を下から支えながら、地下約30メートルまで掘削する。

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〔工事中のJRゲートタワーとJPタワー名古屋(2015年5月撮影)〕

 リニア中央新幹線の名古屋駅の工事が年度内にも始まるという。開業は2027年とだいぶ先になるが,大規模な工事になるため,できるところからどんどん進めていくことになるのだろう。

 名古屋駅の地下には名鉄・近鉄の地下駅があり,それよりも深いところを地下鉄東山線が通っている。必然的に,リニア中央新幹線は,さらにその下を通ることになる。大深度地下になるので,シールド工法で工事を行うのかと思っていたが,地下空間が巨大になるため開削工法にするようだ。

 JR東海が発表しているリニア中央新幹線のルートは,現在の名古屋駅の中心よりもわずかに北側を通っている。超高層ビルを建築中のJPタワー名古屋(旧名古屋中央郵便局),JRゲートタワー(松坂屋名古屋駅店の旧名古屋ターミナルビル・バスターミナル),そして大名古屋ビルヂングに重なるので,開削工法は無理だと思っていた。

 しかし,地図をよく見ると,重なっているのはJR東海のJRゲートタワーだけのようだ。とすると,既に完了している基礎部分の工事は,リニア中央新幹線の名古屋駅を考慮したものになっている可能性が高い。地下鉄東山線よりもさらに深いところを走っている地下鉄桜通線を避けるために,ルートを名古屋駅の少し北にずらしたのかと思ったが,なるほど,建築中も含めて既存の超高層ビルを避け,自社のJRゲートタワーの真下を選定していたのか,と合点がいく。

 名古屋駅は,JR在来線・新幹線,あおなみ線,近鉄,名鉄,地下鉄東山線の駅がほぼ並行に並んでいて,乗り換えがしやすいかと思いきや,駅が存在する名駅(めいえき)一丁目をもじって「迷駅(めいえき)」と呼ばれることもあるほど,乗り換えが面倒な構造になっている。

 名鉄名古屋駅・近鉄名古屋駅や名鉄バスセンターがある名鉄のビル群を高層ビルに建て替え,同時に乗り換えやすい駅構造にする計画もあると聞く。リニア中央新幹線の名古屋駅が開業する際には,鉄道会社同士や名古屋市が協力して,もっと便利な駅になってほしい。リニアから名鉄に乗り換えるのに,大深度地下から一旦地上に上がって,また地下に降りる……というのは勘弁してほしいなと思う。

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〔名古屋駅前のシンボル(新)大名古屋ビルヂングも完成間近(2015年5月撮影)〕

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2015年10月 7日

上大岡最後のC北地区は32階建てビルに

 上大岡C北地区再開発(横浜市港南区)/32階建て複合ビル想定/準備組合(2015年9月17日 日刊建設工業新聞)

 横浜市港南区の上大岡駅前で再開発事業を計画している「上大岡C北地区市街地再開発準備組合」(鳥毛康男理事長、参加組合員13者)は、再開発ビルを32階建て延べ5万平方メートルの規模で構想していることを明らかにした。
(中略)
 再開発事業の計画地は港南区上大岡西1(対象区域面積約8000平方メートル)。市営地下鉄と京浜急行が乗り入れる上大岡駅前に位置し、現在は富士ショッピングセンターなどの商業施設や店舗ビルが立っている。再開発ビルは、地下1階地上32階建て延べ4万9000平方メートルの規模で構想。下層階に商業施設、上層階に約320戸の共同住宅が入る複合施設にすることを想定している。

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 京急線上大岡駅前の再開発事業区域の中で,最後まで残っていた上大岡C北地区の再開発事業の計画が明らかになった。

 上大岡C北地区は,現在の富士ショッピングセンター(元長崎屋は地下がフジスーパー)一帯から全蓋式アーケード商店街「パサージュ上大岡(上大岡中央商店街)」の南側である。

 再開発ビルは地上32階地下1階で,B地区のカミオ(地上30階),C南地区のミオカ(地上33階)とほぼ同じ高さとなる。

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 富士ショッピングセンターの裏側の路地には古くて小さなスナック街が残っている。C南地区の工事が始まった頃,スナック街の向かいにあった「味楽」が早々と移転(当初は店仕舞いかと思った)してしまい,C北地区も一緒に再開発が始まるのかと思ったが,地権者の合意形成が難航したため,C北地区の再開発が遅れたようだ。

 さて,C北地区の再開発事業が完成すれば,上大岡駅前の再開発が終了することになる。どのような街になるのか楽しみである。

 と同時に心配もある。上大岡駅周辺は,既にオーバーストアの状態にあると思われる。京急線上大岡駅と一体化した京急百貨店側は賑わっているが,カミオの2階以上やミオカは既に閑散としているように見える。下層階が商業施設となるC北地区の再開発ビルは,なかなか厳しい環境の中に誕生することになる。

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2015年10月 6日

いよいよPENTAX大口径標準ズーム発売へ

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 いよいよPENTAXが,35mm判フルサイズデジタル一眼レフカメラ用の大口径標準ズームHD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WRを発表。発売日は2015年10月16日となる。

 いろいろなところで話題になっているように,デザインやレンズ構成から,光学系はタムロンのSP 24-70mm F2.8 Di VC USD Model A007に非常に似ている気もするが,タムロンのレンズ構成図にある前群の高屈折率レンズ2枚などの一部が異なっており,実際のところはよくわからない。

 まあ,SP 24-70mm F2.8 Di VC USDはニコンFマウントでのDxOMark Scoreは,D810での測定において31(Sharpness P-Mpixは22)であり,ニコン純正のAF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G EDの29ポイント(Sharpness P-Mpixは21)を上回っており,まったく同じ光学系だったとしても,それは喜んでも良いことだと思う。タムロンよりもかなり高価になってしまうが,大人の事情もあるだろう。

 PENTAXではあまり評判が良くなかったSDM(レンズ内超音波モーター)の採用や,PENTAXお得意の防塵・防滴AW (All Weather) ではなく,WR (Weather Resistant) 簡易防滴構造にとどまったことに対しても残念だとする声も多いが,レンズ駆動はタムロンのUSD (Ultrasonic Silent Drive) であり,“タムロン初の簡易防滴構造”だと思えば納得できる。クイックシフト・フォーカスはあるし,贅沢は言わない(笑)

 なぜ D FA☆(スター)レンズにならなかったのか,これはかなり気になる。何かしらが☆レンズの基準に達しなかったからだろう。値段は立派な☆レンズ並だし,防塵防滴のAWじゃないことぐらいしか思いつかない。

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〔愛用していた大口径標準ズーム smc PENTAX-FA☆28-70mm F2.8 AL〕

 HD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WRを買うかどうかが悩ましい。20年近く前に買った旧大口径標準ズームレンズ smc PENTAX-FA☆28-70mm F2.8 ALを持っているからである。このレンズは,ほとんど使わない電動ズーム機能が付いていて,昔のカメラだと露光間ズームなどという変態行為も可能だったりするのだが,その分,大きくて重いという印象が強いレンズだった。

 ところが,写真が銀塩フィルムからデジタルとなり幾星霜,一眼レフの交換レンズは次第に大きく重くなり,いつの間にかsmc PENTAX-FA☆28-70mm F2.8 ALは大きいレンズではなくなっていた。

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〔所有しているPENTAXとNikonの旧大口径標準ズーム28-70mmレンズ〕

 今では考えられないことかもしれないが,20年前,ニコンは大口径標準ズームの製品化でキヤノンはもとより,PENTAXにも後れを取っていて,smc PENTAX-FA☆28-70mm F2.8 ALに対抗するレンズは長らくAF Zoom Nikkor 35-70mm F2.8Dであった。

 そんな状況で,1999年に満を持して登場したのが超音波モーター駆動のAF-S NIKKOR 28-70mm F2.8D EDである。PENTAXとNikonを併用していた私は,これをすぐに購入した。そして,今でもD3とD800Eのメインレンズとして使用している。

 同じ28mm〜70mm F2.8というスペックだが,PENTAXは直径85mm × 長さ104mm・質量800g,ニコンは直径89mm × 長さ122mm・質量935gと,後発なのにニコンのほうが大きく重い。ニコンの新しいAF-S 24-70mm F2.8Eにいたっては,長さ154.5mm・質量1070gもある

 そして,新しく発売されるPENTAXのHD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WRは,直径88.5mm × 長さ109.5mm・質量787g……

 ニコンの新しい大口径標準ズームは買うのを思いとどまっているが,このレンズ巨大化時代にあって,HD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WRのコンパクトさは(たとえ以前は大きくて重いと思っていたレンズと同程度でも),魅力的に感じないでもない。

 個人的に気に入らないのは……

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〔「カメラの八百富|HD PENTAX-D FA 24-70mmF2.8ED SDM WRが新発売!フルサイズ対応です!」より〕

のように,望遠側でレンズ全長がにょきっと伸びること。広角側でしか役に立たないフードが付いていて,望遠側でレンズ全長が伸びるレンズがあまり好きではない。

 各社の大口径標準ズームは,昔はズーミングによってフード付き全長が変わらないタイプだったが,少し前からキヤノンが陥落。PENTAXもDA☆レンズで陥落。残るのはニコンだけとなった(そのかわり,全長がやたら長くなったが)。

 PENTAXのフルフレーム一眼レフは来春だから,ボディを買ってから考えるか。広角側24mmは魅力的だから,どうせ買うなら早めに買ってしまうか。悩んでいるうちに秋の夜長は更けてゆくのであった。

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〔PENTAXとニコンの大口径標準ズーム仕様比較〕

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2015年10月 4日

iPhone 6s発表。落胆そして感服

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 2015年9月10日(日本時間の)未明の『Apple Special Event. September 9, 2015.』で発表されたiPhone 6s / iPhone 6s Plus。9月25日からApple Storeや各キャリアで発売開始となり,さっそく入手した人も多いことだろう。

 まあ無理だとは思いながら,「4インチ以下の小型ディスプレイ機」「出っぱりのないカメラ」「いわゆる“Dライン”解消」という希望を持っていたのだが,いずれも期待外れに終わったので,iPhone 5s(と塩漬けのiPhone 5)をしばらくは使い続けようと思っている。


■ 外観はiPhone 6 から変更なし(だが,そこにApple社の利益率の高さの秘密がある)

 iPhone 6sはApple社が「すべてを新しくした」というわりには,外観も画面解像度も変わらず,変化が感じられずにガッカリしたという声も多いようだ。
 だが,そこにAppleのすごさがある。Apple社は,2015年度第3四半期の売上高は496億ドル(約6兆円),純利益が107億ドル(約1.3兆円),売上利益率はなんと39.7%という高さだ。

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 Android携帯勢は日本のメーカーも含めた合計でiPhone以上の売上げ台数を達成しながら,利益は小さく,売れば売るほど赤字が増えてしまうようなメーカーもあるようだ。

 なにが違うのだろうか?


■ Appleのエンジニアはものづくりをよく知っている

 えっ? Appleは自分のところで製品を作っていないじゃないか?……と思う人も多いだろう。

 たしかにiPhoneは台湾や中国のEMSで製造されている。
 しかし,自社内で製品を作っているメーカーのエンジニアが,Appleのエンジニアより「ものづくり」を知っているかどうかにはやや疑問を感じざるをえない。

 エンジニアは,外形寸法の変更が,どれだけ加工コストや組立コストその他を上げ,トータルでどのぐらいのコストになるのか,ちゃんと管理できているだろうか。そういう意味で,責任はエンジニアだけにあるのではなく,会社としてコスト管理体制が整っているかどうかが問題になる。

 新製品に「新鮮味」を求めて,客先であるキャリアや社内の営業や意匠デザイン部門から,無意味な外観変更の要求をされても,それをエンジニアとして突っぱねられる体勢になっているかどうか,である。

 製品の外形寸法を「変更しないこと」,あるいはどこをどの程度変更したら組立工程に影響するかを深く知ることによって,加工治具,組立治具,ハンドリング治具,試験治具など,製造ラインで使用する治具類がそのまま使えるし,組立装置や試験装置も基本的にはそのまま使える。このメリットは非常に大きい。

 中身の電子部品がすべて新しくなったとしても,電子部品を基板に搭載するチップマウンターはプログラムの変更だけで対応できる。エンジニアが,設計時点で基板の固定点などの制約や製造工程を理解していれば,治具や組立装置を変更せずに済む。

Apple iPhone 4 びっくり仰天のハードウェア
〔iPhone 4 ボディ加工中に使われている治具〕


■ 7000系アルミニウム合金採用の意味

 iPhone 6s / iPhone 6s Plusのボディ素材には,従来の6000系アルミニウム合金(60材・ロクマル材)ではなく,より強度の高い7000系アルミニウム合金(70材・ナナマル材)が使われていることが話題になった。

 70材の採用は,iPhone 6で指摘されていた強度不足に対応したためと思われる。

 iPhone 6のボディ内部にリブ形状を追加したり,部分的に肉厚にしたり,強度低下の原因となるボタン穴の位置や大きさを変えたりすれば,70材を使わなくても強度を上げられたはずだ。しかし,Appleのエンジニアはそれを選択しなかった。あくまで想像であるが,それらを変更すれば,基板の形状や固定点の位置,搭載部品高さの制限が変わり,大きなコストアップになると判断したのだろう。

 そのため,アルミニウム合金の中で最も高強度で超々ジュラルミンと呼ばれる7000系合金は,製品のさらなる薄型化でも,さらなる軽量化でもなく,ただ前機種と同じ形状を実現するために採用されたのだ。

 利益率30%以上を実現するAppleの「ものづくり」技術に感服する。

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撮り鉄のタイガーロープ撤去という悪行

 線路に設置のロープ切断か 「撮り鉄」少年逮捕(2015年10月2日 テレビ朝日)

 線路に設置されているロープを切ったとして鉄道マニアを逮捕しました。

 京都市に住む私立大学生の18歳の少年は今年6月、福島県白河市で、JR東北本線の白河駅と久田野駅の間に設置されていたロープを刃物で切った疑いが持たれています。少年は鉄道の撮影を趣味とするいわゆる「撮り鉄」で、警察の調べに対して「奇麗な写真を撮影するため1人でやった」と犯行を認めています。福島県矢吹町でも、2カ所でロープが切断される被害があり、少年の自宅からは矢吹駅周辺で撮影された写真も見つかっています。

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〔「テレ朝ニュース」より〕

 またもや「撮り鉄」の悪行が世間に知れ渡った。私はもう10年以上も前に「撮り鉄」からは足を洗ったつもりなのだが,周囲のイメージはそう簡単には変わらないし,元「撮り鉄」としても,こういうニュースが表に出ると,やっぱり恥ずかしくてたまらなくなる。

 しかも,保線作業員が通過列車に接触しないように設置されているタイガーロープの支柱を,「綺麗な写真を撮影するため」というくだらない理由で引き抜き,タイガーロープを刃物で切断し,線路脇に捨てるという最低な行為だ。白河署では器物損壊容疑で逮捕したようだが,タイガーロープは保線作業員の命を守るためのものであり,列車往来危険罪も適用してほしいほどの重罪だ。

 昔はこんなことはなかったとか,近年になって撮り鉄の行動が極端にひどいことになっているという意見には賛同できない。昔からひどい撮り方をしていた人はいたし,まだまだ鉄道会社側も大らかな時代だった。現在でも,ほとんどの人はまともであり,ごく一部の人の悪行が目立っている。

 最近になって変わってきたのは「世間の眼」「風向き」である。これを感じないようなら,カメラを持つ人間として(プロであろうがアマチュアであろうが)鈍感すぎると思う。

 以前,2010年3月14日の『マスコミの「撮り鉄」報道とマスコミの撮り方・煽り方』という記事において,マスコミ(主にテレビ局)は明らかに「撮り鉄」を煽っており,危険な撮り方に関しては「撮り鉄」と同じだということを書いた。

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 撮り鉄のマナーの問題については,テレビよりも鉄道雑誌の影響が大きいかもしれない。紙面に採用する写真の傾向や,写真コンテストの入賞傾向を積極的に変えてゆく必要があるだろう。たとえば,記念列車のようなものの走行シーンは,たくさんの一般人がそれを見に来ている姿も入れた構図にするなどである。

 今後の雑誌内で今回のタイガーロープ切断事件を取り上げずに黙認するようなら,鉄道雑誌の編集部は救いようのない事態にあると言えるかもしれない。世間一般が「撮り鉄」を非常に厳しい眼で見ていることに気付かない,あるいは気付かないふりをするのは,あまりに無神経であり,当事者意識が欠けていることになるからだ。

 また,鉄道会社側は,悪質な撮り鉄を助長するような鉄道雑誌の記事には気をつけ,鉄道雑誌との距離を置くことも必要だと思う。信号ケーブルを狙ったテロ行為を未然に防ぐため,線路沿いへの監視カメラの設置を進めたりして,線路敷地内への侵入には厳しく対処してゆく必要がある。

 今回の事件では,どのように京都の大学生にたどり着いたのかは不明だが(捜査手法を詳細に明かす必要はないので,不明なままでいい),福島県の白河署に拍手を送りたい。

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