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2015年3月21日

消えゆく鼻濁音〔山口百恵のきれいな鼻濁音〕

「鼻濁音」来世紀ほぼ消滅? もともと使わない地域も…(2015年3月5日 朝日新聞デジタル)

 日本語で優しく響く発音とされるガ行の「鼻濁音(びだくおん)」を日常生活で使う人は5人に1人しかおらず、全国的に著しく衰退しつつあることが、国立国語研究所の調査でわかった。来世紀には東北地方でわずかに残るだけとなり、それ以外の地域は消滅する可能性が高いという。

 ガギグゲゴには通常の濁音と、息を鼻に抜いてやわらかく発音する鼻濁音がある。たとえば「学校」のガは通常の濁音で、「鏡」のガは鼻濁音で発音する。特にアナウンサーの場合、鼻濁音の発音は欠かせない。ただし、もともと鼻濁音を使わない地域も多い。

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 西日本では濁音と鼻濁音の使い分けをしない人が多いという話は聞いたことがあったが,中国・四国・九州では,ほぼ100%が「鏡」に鼻濁音を使わないということに驚いた。それらの地方では,ローカル局のアナウンサーも鼻濁音を使わないのだろうか?

 私は崩壊アクセント地帯(無アクセント地帯=宮城・山形県南部〜福島県〜茨城県・栃木県あたり)である福島県の阿武隈高地の出身なので,上京したときから言葉の発音やアクセントに強いコンプレックスがあった。

 逆にそのコンプレックスが,鼻濁音の発音ができなくても平気なタレントやアナウンサーに嫌悪感を生じさせていたのかもしれない。「鏡」に鼻濁音を使わないしゃべり方が好きじゃないのである。一般人の場合はどちらでもいいのだが,テレビやラジオで濁音と鼻濁音の使い分けができない人が“しゃべりのプロとして”しゃべるのを聞くのがイヤだった。スポーツ中継以外の民放のテレビ番組をほとんど見ないのもそれが理由のひとつだ。

 実は,学生の頃からモダン・ジャズと山口百恵ばかり聴いていたというのも,「鼻濁音」の影響が大きい。とても意外に思えるかもしれないが,デビュー直後の14歳の頃から山口百恵は濁音と鼻濁音の使い方が完璧なのだ。

 『としごろ(作詞:千家和也 作曲:都倉俊一)』
 陽に焼けた あなたの胸に
 眼を閉じて もたれてみたい
 潮風「が」鼻をくす「ぐ」る
 めざめてくる とし「ご」ろよ

 『ひと夏の経験(作詞:千家和也 作曲:都倉俊一)』
 あなたに女の子の一番 大切なものをあ「げ」るわ
 綺麗な涙色にか「が」やく 大切なものをあ「げ」るわ
 愛する人「が」喜ぶなら それで幸せよ

 『教室を出たら大人(作詞:なかにし礼 作曲:鈴木邦彦)』
 喫茶店の〔ガ〕ラス窓にうつる(〔ガ〕は濁音)
 あなたの横「が」おは 大人の匂い「が」する
 お茶をのむ素振り「が」妹みたいだと
 たばこをもみ消しな「が」ら つぶやくあなた

 完璧な濁音・鼻濁音の使い分けである。2枚目のシングル『青い果実』からの「青い性路線」の曲は,ともすれば嫌らしくべとついた感じになってしまいそうな歌詞だったが,そうならなかったのは,濁音・鼻濁音を完璧に使い分けた丁寧な発音のおかげもあったんじゃないかと思う。

 山口百恵の引退後,そのまま松田聖子や中森明菜を聴くようにならなかったのは,彼女ら1980年代の歌手が鼻濁音をちゃんと使えていなかったからとも言える。その後のJ-POPも同様である。鼻濁音に関しては,どんどんひどくなっている。まさに,「鼻濁音を日常生活で使う人は5人に1人」という記事の通りだ。

 結局,ファドやシャンソンも聴くようになると同時に,日本の歌謡曲を年代を遡って聴くようになった。由紀さおりや青江三奈,伊東ゆかり,美空ひばりなどの1970年代以前の歌手(の一部)は,ちゃんと濁音・鼻濁音ができているから,聴いていて妙な違和感を感じない。

 まさに古い人間の戯言である。

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コメント

国立国語研究所はそれらの調査の結果をどう評価しているのだろう?憂うべきことと思っているのか、日本語の進化・国際化(?)とでも思っているのだろうか?
国立国語研究所は、「日本語をローマ字化するためにはどうしたらよいか」という研究をするために設立されたので、日本語のためになるような研究をするわけがないのだが。
鼻濁音を日本語から無くしたくないなら実は極めて簡単な対策がある。濁音と鼻濁音を表記の上で書分けるようにすれば決してなくならないだろう。具体的には
濁音=がぎぐげご、鼻濁音=か゜き゜く゜け゜こ゜
これこそまさに表音的で、現代仮名遣いにふさわしいと思うのだが、絶対に採用しないだろうな。

投稿: タカ | 2015年4月25日 00時08分

学校でダンスを必修化する前に、鼻濁音が出来るように教育しろや

投稿: | 2020年1月 4日 13時27分

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