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2014年11月の8件の記事

2014年11月23日

Googleマップの進化と劣化が止まらない

Google

 最もポピュラーな地理情報システム,Googleマップ。2005年にサービスが始まって以来,リニューアルを繰り返し,どんどん機能が追加されている。今では航空写真と建物の高さ情報を組み合わせて,3Dの鳥瞰図を生成することもできる。徒歩での経路検索もできる。

 基本的な地図機能さえしっかりしていれば,よほど地図が読めない人でない限り,徒歩経路検索が必要になる人は少ないだろう。逆に,Googleマップの進化に伴って街の様子が把握しにくくなり,街歩きを趣味にする人にとっては,使いにくい地図になっているような気がする。

 たとえば,航空写真に3D表示用の情報が付加されたため,建物の輪郭が不正確になっている。道路のラインを消すこともできない。以前のGoogleマップのように航空写真がそのまま見られたときには,航空写真が鮮明であれば,建物が普通の住宅なのか,看板建築なのか,ペンシルビルなのか……などの判別が容易だった。

 これは西蒲田の東急池上線沿いのGoogleマップ航空写真である。

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 3D情報の付加に伴って,建物が微妙に歪み,写真にあった輪郭情報が欠落・改変されている。極端なところでは,たとえば東急池上線沿いの道路に並ぶ建物の一部が線路側に膨らんでいる。

Google2

 鳥瞰図で見ると,建物の歪みがよくわかる。

 航空写真に高さ情報と壁面情報を付加して,鳥瞰図を作ってしまう技術はものすごい。Googleマップ以前には,このようなことが可能な時代がこんなに早く来るとは思いもしなかった。
 しかし,Googleマップの航空写真を見て街歩きをしようとする場合,この航空写真情報の微妙な欠落・改変によって街並みの把握がしにくくなってしまったと感じる。

 Googleマップの地図表現にも不満がある。

 JR蒲田駅西口の様子を各種地図で表示してみる。地理院地図や国土地理院地形図は用途が違うこともあり,参考のために並べてみた。

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[Googleマップ]

Photo
[Mapion(マピオン)]
 地図を見て,古い飲み屋街と判別できるところを赤丸で囲んでいる。

Yahoo
[Yahoo! 地図]

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[参考:地理院地図]

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[参考:国土地理院地形図]

 2014年3月12日の『街歩きのときに参考にする地図は……』というエントリーにも書いたが,Googleマップは表示が平板でメリハリがなく,情報量が少ない。

 Mapion(マピオン)では,赤丸のところに古い飲み屋街・スナック街を見つけることができるが,GoogleマップやYahoo!地図では判別できない。その道路にバスが通るか通らないかがわかるのもマピオンだけだ。住宅街において,住宅と商店の違いが表現できているかどうかにも差がある。マピオンには,古くから“日本の”地図情報サービスを提供してきた強みがあるように思う。

 Web用の地図だけではなくスマートフォン用のアプリでも,Googleマップの表現力はいまいちだ。
 富山市の中心商店街である総曲輪の地図を例にする。数分で歩ける範囲をiPhoneのGoogleマップとマピオンで表示したものを並べてみた。左がGoogleマップ,右がマピオンである。

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 Googleマップもマピオンも,詳細表示と簡略表示が縮尺によって数段階に切り替わる仕様になっているのだが,街歩きをして街の雰囲気を感じる程度の縮尺で,Googleマップはとても大ざっぱな表示になってしまう。
 Googleマップは道路の幅が簡略化されていて,広い通りなのか細い路地なのかの区別もできない。古くからの街道なのかバイパス道路なのか,商店街なのか裏路地なのかもわからない。家並みを想像するどころか,GPS情報で現在位置を表示しなければ,現在位置を把握することすら難しい。

 街の中で立ち止まって周囲を見渡すときには,もう少し地図を拡大表示することになるが,その場合でもGoogleで表示される情報量はマピオンにかなわない。

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 マピオンの情報量が圧倒的である。総曲輪二丁目と総曲輪三丁目の境界がわかる。住宅か商店の区別ができる。それでいてごちゃごちゃしたりせず,見た目も美しい。

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 富山駅前の地図を比較しても,Googleマップはマピオンにかなわない。町名の範囲,地番の有無,歩道の広さ,交差点名,バス停の位置,バス通りかどうか……,マピオンの圧勝だと思う。

 そんなマピオンにも問題がないわけではない。動作がやや不安定で,iPhoneでスリープから復帰したときに縮尺がリセットされてしまうという不具合がときどき発生する。この不具合はずーっと直っていない。検索機能はまともに使えず,イライラするほどだ。
 けれども,街歩きにはやっぱりマピオンが手放せない。iPhoneの純正マップ? それは論外。

【参考】
2014年3月12日:街歩きのときに参考にする地図は……

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2014年11月21日

Fotodiox社の角型レンズフードが届いた

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 郵便受けを開けたら国際小包郵便が届いていた。ずいぶん前にネットで購入したFotodiox社の角型レンズフードだ。

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 さっそくSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAに取り付けてみる。
 やっぱり角型レンズフードはかっこいい。

 ちなみに,純正のレンズフードはフジツボ型(ドーム型)で,こんな外観である。

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 フジツボ型のレンズフードは小型だし,遮光効果も高い。レンズ保護効果も十分。でも,これは完全に個人の好みの問題であるが,フジツボ型フードは見た目がいまいちなんである。私はミーハーなので,持ち歩くカメラやレンズは見た目が第一なのだ。

 フジツボ型レンズフードがかっこいいのは,パンケーキレンズだけだと思っている。たとえば,ニコンやPENTAXのパンケーキレンズは,純正のフジツボ型レンズフードを付けて使っている。

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[Nikon Ai Nikkor 45mm F2.8Pのフジツボ型フード]

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[PENTAX DA40mm F2.8のフジツボ型フード]

 こんな感じで,パンケーキレンズならばフジツボ型レンズフードが似合うと思う。しかし,SONYのSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAは,どこからどう見てもパンケーキレンズではない。ずっとレンズフードの形が気になっていた。

 MF時代のレンズならば,さっさと汎用のねじ込み式のフードに交換してしまうところだが,純正のレンズフードはバヨネット式なので,簡単に代替品に換えることができない。フィルター枠に汎用のねじ込み式丸形フードを付けても,いまいちカッコ良くないのだ。

 そんなときに,2014年11月3日の記事『Fotodiox社からEマウント強化キットが登場』の最後に出てきた角型のレンズフードが目に入った。
 そして,Fotodiox社のサイトを確認すると,どうやらこの角型レンズフードがSONYのフルフレームセンサー搭載コンパクトデジカメDSC-RX1用だということがわかった。DSC-RX1は35mm単焦点レンズだ。同じ35mmレンズで,バヨネット部分が共通らしい。

 Googleで検索してみると,DSC-RX1用のフードLHP-1を流用している人もいることから,バヨネット部分が共通なのは確かだ。
 DSC-RX1用のLHP-1は丸形だが,なかなか格好がいい。ちょっと怪しげにも感じる海外のベンダーの製品よりも,SONY純正のレンズフードが使えるならそれでいいかと思った。が,値段を見てびっくり。ソニーストアでは税抜きで1万2千円オーバー。さすがにレンズフードに1万円以上は払えない。

 というわけで,Fotodiox社のDSC-RX1用レンズフードを購入。価格は$69.95なので,LHP-1よりちょっと安い。送料を入れると$82.9なので,円安の今はけっこうな金額になってしまったが……

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2014年11月18日

iPhoneのSiriと友達になったら

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 iPhoneでメールを確認していたら,メールの宛先のところがオイラの“昔のあだ名”になっていることに気付いた。
 自分で設定した記憶はない。キーボードで“昔のあだ名”を入力した記憶すらない。

 思い当たるのがSiri……

 Siriに昔のあだ名を教えたような気がする。Siriに「俺は誰?」と聞くと,冒頭の写真のように答える。

 まさかメールの宛先のニックネームが書き換わるとは思わなかった。

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2014年11月17日

買ったべ! Vario-Tessar T* FE16-35mm F4

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 ソニーのα7Sを7月に入手した時点で,発売されたら買おうと思っていたレンズ「Vario-Tessar T* FE16-35mm F4 ZA OSS (SEL1635Z)」が,やっと11月7日に発売された。

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 ソニーEマウント135フィルムフルサイズ対応で,16mmから35mmまで通して開放絞りF4固定の広角ズームレンズである。商店街や路地の飲み屋街を撮影するときには,やっぱり広角ズームが便利なのだ。
 ほとんどAE(自動露出)で撮影する今では,開放F値が固定かどうかはあまり重要ではないが,好きで写真を撮っている人間にとって,気分が良いかどうかはとても重要なんである。

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 現在使用している広角ズームレンズは,ニコンのAF-S Nikkor 18-35mm F3.5-4.5G EDとAF Nikkor 20-35mm F2.8D,PENTAXのFA20-35mm F4 ALとM24-35mm F3.5の4本。古いレンズは,長く使っていて愛着のあるレンズばかりだ。

 AF-S Nikkor 18-35mm F3.5-4.5G EDだけがズーミングによって開放F値が変動するタイプだが,昨年買ったばかりで,Vario-Tessar T* FE16-35mm F4 ZAとスペックも近いので比較してみる。

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 左がSONYのVario-Tessar T* FE16-35mm F4 ZA OSS(最大径78mm×長さ98.5mm,518g),右がAF-S Nikkor 18-35mm F3.5-4.5G ED(最大径約83mm×長さ95mm,約385g)。

 サイズはほぼ同じ(フード先端までだとNikkorのほうが少し長い)だが,質量が約130gも違っていて,手にするとVario-Tessar T* FEレンズはずっしりと重い。だが,AF-S Nikkor 18-35mm F3.5-4.5G EDは廉価版のレンズということもあって,鏡胴の造りやピントリング,ズームリングの滑らかさはVario-Tessarの圧勝。違うクラスのレンズだということが明確だ。

 残念なのは,廉価版のAF-S Nikkor 18-35mm F3.5-4.5G EDにさえ付いている距離目盛りがないこと。10万円を越えるレンズに距離目盛りが付いていないのは,個人的には生まれて初めての経験である。

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 広角端にズームしたところ。ニコンのレンズは広角端にズームしても全長が変化しないが,Vario-Tessar T* FE16-35mm F4 ZAは全長が伸びるタイプだ。

 広角側で前玉が前に飛び出る光学設計ならば,前枠ではなくレンズ鏡胴にフードを固定するような構造設計にすれば,いわゆるズームフードになって効果的に遮光できるのに,もったいない。

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 あまり参考にはならない比較だが,Vario-Tessar T* FE16-35mm F4 ZA OSSとPENTAX M24-35mm F3.5(1970年代後半から1980年前後の古いレンズ)の写真である。
 最新の技術によってズームレンズはどんどん小型化・高性能化しているが,こうやって比較してみると面白い。

 このPENTAXのレンズは,世の中にズームレンズがやっと普及し始めた頃のレンズである。24mm〜35mmとズーム比のとても小さなレンズだが,ズーム全域で開放F値3.5一定(Vario-Tessar T* FE16-35mm F4より1/2段〜1/3段明るい)の,当時としては大口径の広角ズームレンズである。古いMFレンズだからピントリング・ズームリングのねっとり・まったり感はすばらしく気持ちがいい。でも,AFはできないし,周辺部の画質はボロボロである。
 α7S用のKレンズ用マウントアダプターがあるので,ときたまこのM24-35mm F3.5をα7Sにつけて,いにしえの空気に触れたいと思う。

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 というわけで,ヨドバシでレンズを買って(ポイントカードのシステムが不調で,ポイント分の現金割引だった。ラッキー?),近くのテーブルで箱から出してカメラに装着。

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 そのまま横浜野毛に向かい,試し撮り。いまどきのレンズらしく,隅から隅まで良く写る。

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 野毛から大岡川を渡りハマの歓楽街福富町へ。広角端の16mmで撮影。

 私はRAWデータの現像などという面倒なことはしないので,歪曲収差を補正しているのがレンズなのかボディ側なのかはわからないが,歪曲を気にせずに使えそう。

 いずれにせよ,このVario-Tessar T* FE16-35mm F4 ZA OSSは,今後α7Sを使うときのメインレンズになる予定だ。

□ 良かった点
・ピントリング,ズームリングともにスムーズで滑らか
・鏡胴がしっかりした造りで,がたつきは感じない
・JPEGで撮ると歪曲収差は気にならない
・周辺部もまんべんなく良く写る
・AF速度はSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAと同じ程度か,少し速いかも
(・ズームリングの回転方向がNikon・PENTAXと同じ)

■ 残念な点
・期待していたよりも大きく重い
(レンズのサイズはセンサーサイズの影響を大きく受け,
 ミラーレスカメラ用の広角レンズとはいえ,驚異的に
 小さくはならないということを実感した)
・距離目盛りがない
・広角側で全長が伸びる光学設計なのにズームフードになっていない
(・ピントリングの回転方向がNikon・PENTAXと逆)

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2014年11月14日

ATOK for iOSがQWERTYキーボードに対応

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 ATOK for iOSがアップデートして,やっとQWERTYキーボード入力に対応したということで,さっそくインストールしてみた。

 iTunes Storeでダウンロードしつつ,ジャストシステムのATOK紹介ページを見ていて,キーボードの最下段にテンキーとQWERTYを切り替える「A」マークがあることがちょっと気になっていた。日本語と英語を切り替える地球儀マークだけあれば十分なのに,その横の一等地に地球儀マークと機能が重複するキーボード切り替えが必要なのかどうか疑問を感じるからである。

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 さっそくATOK for iOSを使ってみた。

 そして,約3分ほど使って,使うのをあきらめた。こりゃ使えない。少なくとも,今回のバージョン1.1.0についてはそう結論づけ,ATOK for iOSを泣く泣く削除した。
 理由は次の通り。

・(私の場合は)使うことのないテンキーがOFFにできない
・英語モードから日本語モードに変えると,必ずテンキーに切り替わってしまう
・日本語テンキーから日本語QWERTYキーボードに切り替えるには,ボタンのタップだけではなく,フリック動作が必要になる。耐え難いほど面倒くさい

 MacやPCのATOKは20年ぐらい使っていて,変換精度が高いことは十分承知している。

 しかしながら,今まで英語と日本語を切り替えるためには地球儀マークだけで十分だったところに,機能がやや重複する「A」マークを設けてまで新しい機能を追加したにしては,UIがまったくこなれていない。
 iPhoneのキーボードの幅は有限であり,(利用者の使い方によっては)まったく使わなくて済むようにできる機能を,「A」マークのような一等地のキーに割り当てるのは不可解である。

 ATOK for iOSの次のバージョンアップに期待したい。1500円も支払ったわけだし。

・テンキーを使わない人は,テンキーを隠せるようにする
(たぶんQWERTY日本語を見たくないというテンキーユーザーからの要望もあるはず)
・英語モードから日本語モードに復帰するときには,何の操作もなしに日本語QWERTYキーボードが選択されるようになること(事前に使っていた日本語モードが自動的に選択されれば十分)
・「A」マークを使わない設定も可能にし,その分最下段のキーサイズを大きくする

 iPhoneの日本語入力で切羽詰まっているわけではないので,次のアップデートを気長に待ちたい。その頃にはAppleのiOS側の制限解除の交渉も進み,インライン入力もできるようになっているといいな〜

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2014年11月 8日

ルーペからRetinaディスプレイへ〔写真鑑賞環境〕

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 デジタルカメラの普及につれて,写真の鑑賞方法が変わってきた。銀塩フィルムカメラ時代は,写真は印画紙にプリントして見るのが一般的だった。写真は印画紙にプリントしてこそ写真だった。現在ではそれが多様化し,プリントせずにSNSに投稿して見せ合ったり,パソコンやスマートフォンのディスプレイで見ることも多い。

 リバーサルフィルム(ポジフィルム)で撮って,プロジェクタ用の枠にマウントしてスライドを映写して鑑賞するという習慣は,日本にはほとんどなかった。しかし,リバーサルフィルムをライトボックスに載せ,ルーペで鑑賞したときの美しさ,透過光のみずみずしさに圧倒され,リバーサルフィルムでの撮影にはまった人も多いと思う。私もそうだった。そのせいで,35mm(135)フィルムでは満足できなくなり,120・220フィルムを使うPENTAX 67,67 IIを使ったりしていた。

 印画紙に焼き付けた写真は印画紙からの反射光で見ることになる。印画紙の「白」以上の明るさ・輝きは得られない。
 それに対し,リバーサルフィルムをルーペで鑑賞する場合は透過光によって写真を見ることになる。ネガフィルムに比べてラチチュードの狭いリバーサルフィルムだが,それが効果的に働き,暗いところは暗く,明るいところが鮮やかに輝き,ハイライトが光ることになる。その美しさは,たぶん見たことのない人にはわからない。

 そして,我々人類は,Retinaディスプレイ(やそれと同等の)高解像度の液晶ディスプレイを手に入れることによって,やっとルーペを覗いたりせずに透過光による大画面の美しい写真を見ることができるようになったんじゃないかと思う。そう思うようになったのは,2880×1800ピクセルのMacBook Pro 15インチRetinaディスプレイを使うようになってからのことだ。

 約10年前から24インチのWUXGA1920×1200ピクセルのディスプレイをデュアル(Appleの23インチ液晶ディスプレイとEIZOの24インチだったが,液晶のサイズは同じだった)で使っていたが,1920×1200ピクセルのディスプレイでは解像度が完全に不足していて,カラープリンタでA3サイズに印刷した写真には追いついていなかった。

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 MacBook Pro 15インチRetinaディスプレイを使うまでは,15インチのディスプレイの解像度がいくら高いといっても,24インチWUXGA1920×1200ピクセルのディスプレイの迫力にはかなわないだろうと思っていた。しかし,実際に使ってみると,2880×1800ピクセルのRetinaディスプレイはまったく別物だった。

 1920×1200ピクセルの24インチディスプレイでは,ペイントソフトで1ドット単位で点を描いたり消したりすることができる。なんとか1ピクセルが見えるし,そこにマウスポインタをあてることが可能だが,Retinaディスプレイは220ppi(1インチあたりのピクセル数)を越えており,一つ一つのピクセルを認識することが難しい(厳密には,昔から300ppi以上で認識できなると言われてきた)。

 これがどういうことかというと,ちょっと古い500万画素以下のデジカメの写真だと,写真をドットバイドット表示(いわゆる等倍表示)しても写真が画面いっぱいに広がらないということだ。デジカメの写真を等倍表示することでピントの確認ができるのは,24インチWUXGA1920×1200ピクセル程度のディスプレイは1ドットがとても大きいからにすぎない。Retinaディスプレイでは,等倍表示=拡大表示にはならないのである。

 等倍表示してピントを確認する,等倍表示でレンズのあら探しをする……というのは,数年後にはもう時代遅れの言葉となるだろう。

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 MacBook Pro 15インチRetinaディスプレイで,Mac OS Xの「スペース拡大」機能を使い,ディスプレイを3840×2400ピクセル(ほぼ4Kディスプレイ)として使用している状態で,古いデジカメの写真をドットバイドット表示(等倍表示)してみるとどうなるのか,キャプチャー画面を見ていただきたい。

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[RICOH DC-1(0.38Mピクセル:768×576)]

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[FUJI FinePix700(1.5Mピクセル:1280×1024)]

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[PENTAX Optio330(3.3Mピクセル:2048×1536)]

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[Canon IXY DIGITAL 800 IS(6Mピクセル:2816×2112)]

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[EPSON R-D1s(6Mピクセル:3008×2000)]
 なんとR-D1sの写真を等倍表示しても,画面いっぱいに広がらない。

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[PowerShot G7(10Mピクセル:3648×2048ワイド)]

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[Nikon D3(12Mピクセル:4256×2832)]

 12MピクセルのNikon D3になって,やっと写真の上下端がディスプレイの端に達し,縮小表示となる。10MピクセルのPowerShot G7の写真では,ドットバイドット表示(等倍表示)では写真がディスプレイの大きさにならず,拡大表示しないとディスプレイいっぱいに写真が広がらないのである。

 そして今度,5K解像度5120×2880ピクセルのディスプレイを搭載した新しいiMac Retina 5Kディスプレイモデルが出た。1470万ピクセルである。Nikon D3の写真も,画面いっぱいに表示するためには拡大しなければならない大きさだ。

 初代MacintoshからiMac Retina 5Kのディスプレイがどのぐらい進化したのか,それが一目でわかるように,それぞれの画面を比較したサイトがある。

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 左下にちょっとだけ見える白黒画像が,初代MacintoshでペイントソフトのMacPaintを動かしているところだ。初代Macintoshは私が最初に買ったMacなのでとても懐かしい(正確に言うと,買ったのはMacintosh 512K)。ディスプレイは白黒2値の512×342ピクセルだった。それから30年。自分もずいぶん歳を取ったものだ……

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 大事なことだから最後にもう一度書いておく。 
 “等倍表示”してピントを確認する,“等倍表示”でレンズのあら探しをする……という不思議な言い方は,詳細表示可能なディスプレイの普及に伴って,“等倍表示”が拡大表示を意味しなくなり,数年後にはもう時代遅れの言葉となるだろう。

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2014年11月 7日

ひっつき虫「オナモミ」が絶滅危惧II類に

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 Twitterのタイムラインを読んでいたら,オナモミが絶滅危惧種になったというツイートが流れてきた。
 リンクされていたURL(日本のレッドデータ検索システム)にアクセスしたところ,確かにオナモミが環境省カテゴリの絶滅危惧II類 (VU) に指定されており,東京や関西などでは既に絶滅しているようだ。

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[日本のレッドデータ検索システムより]

 オナモミは種子の周囲に曲がったトゲが形成するのが特徴で,センダングサなどと並んで「ひっつき虫」「バカ(子供の頃,福島ではこう呼んだ)」の代表的な植物だ。薮の中を走り回ったあとに,全身にひっついていて面倒なことになるアレである。

 子供の頃,セーターを着た友達の背中に,離れたところからひょいっとくっつけたりして遊んだあのオナモミが,今では珍しくなってしまったんだなぁ……などと思いつつ,ちょっとした違和感も感じる。
 わずか10年ぐらい前に,今は廃線になってしまった名鉄美濃町線の電車を撮影しようとして,ちょっと薮漕ぎしたら,身体中にオナモミがついてしまい,ひどいことになった記憶があるのだ。冒頭のオナモミの写真はそのときに撮ったものである。

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[名鉄美濃町線の上芥見駅付近(2003年11月23日撮影)]

 10年を長いとみるか短いとみるか,いろいろ状況によるだろうが,その後急激な都市化が進んだとは思えない場所である。オナモミの都道府県別の指定状況を見ると,名鉄美濃町線沿線の岐阜県のデータがない。愛知県との県境に近かったので愛知県を見ると絶滅危惧I類になっている。これではよくわからない。

 その後,オナモミについてあれこれググってみたら,日本に分布するオナモミ属にはいくつかの種類があり,日本では一番古い「オナモミ」,アメリカ大陸原産の「オオオナモミ」「イガオナモミ」などがあることがわかった。
 さらに,近年はオナモミが減少し,オオオナモミやイガオナモミが増えているという。オオオナモミは有害雑草として要注意外来生物に指定され,侵略的外来種ワースト100にも選定されているという。

 ちょっとデータは古くなるが,環境省の生物多様性情報システムのサイトに,第5回緑の国勢調査の結果をまとめた「'95-'97 身近な生きもの調査」のページがあり,そこからひっつき虫の分布を見ることができる。

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[オオオナモミの分布(第5回緑の国勢調査より)]

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[オナモミの分布(第5回緑の国勢調査より)]

 絶滅危惧種に指定されたのは「オナモミ」のほうであり,近所でよく見かけると思っていたオナモミは「オオオナモミ」である可能性が高いようだ。ひょっとしたら,子供の頃,僕たちが「オナモミ」だと思っていたのは北米産の「オオオナモミ」だったのかもしれない。

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2014年11月 3日

Fotodiox社からEマウント強化キットが登場

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[切削加工&手作業によりバリ取りされている金属マウント]

 発売開始以来,あちこちでマウントがたわむ,ふにゃふにゃすると言われていたα7・α7R。けっこうな中級機・高級機なのだが,レンズマウントのバヨネット爪の部分がプラスチックだったため,その話題は意外に大きくなった。プラスチック製のマウントは,従来から低価格機に使用されている技術だからだ。

 昔に比べればプラスチックの機械特性は向上しているし,重要な部分にプラスチックを使ったからといって,必要な性能を満たさない設計はしていないだろう。私が読んでいないだけかもしれないが,ソニーからマウントの不具合について公式な発表はないことから,多少マウントが動いたとしても正常な範囲内であるということになる。

 しかし,写真を撮るという行為は論理的思考におさまるものじゃなく,とても気分的なものだ……と思う。嗜好と同じだ。とても美味しいと思いながら食べていたお好み焼きに,大嫌いな素材がひとつ入っているということを知ったとたんに食えなくなってしまう。

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 そこで登場したのが,Fotodiox社の「‘The TOUGH E-Mount’ modification kit」である。

 実に単純な製品で,純正のパーツが金属のプレートとプラスチック製バヨネット爪の二つのパーツから成り立っているものを,一つの金属パーツにしたものである。
 Eマウントでは,バヨネット爪裏側に必要な押さえバネはボディ側に付いているので,このような単純な製品が可能になっている。また,ニコンFマウントやPENTAX KマウントのようなAF駆動用カプラはないし,Kマウントのような電気接点もないから,ネジを4本外すだけでバヨネットマウントを交換することができる。
 このような製品の登場は必然だったのかもしれない。

 Fotodiox社のサイトの上記写真で,バヨネットマウントを外したα7のボディとバヨネットマウントのパーツを見ると,いろいろと気になるところがある。

 たとえば,ボディ側に4本のボスが立っていて,プラスチックのバヨネット爪パーツのボス部分の逃げ穴は,金属プレートのザグリ穴よりも大きいように見える。これだと,ネジを締めたときに金属プレートが均等にバヨネット爪を押さえられず変形する(もちろん,変形量が許容範囲かどうかは別の話)。プラスチックの爪の強度はマウントの機能として十分だったとしても,プラスチックのヤング率はアルミ合金や黄銅よりもはるかに小さい。少なくともプラスチック部材の穴の径は,金属プレートの穴径よりも小さくしたほうが良い。

 マウントの強度に直接関係はないかもしれないが,Eマウントのネジは4本だが,私の手元にあるニコンFマウントとPENTAX Kマウントのネジは5本ある。4本で十分だとソニーの設計者が判断しているのだろうから尊重したいけど,強度的にはずいぶん違ってくる。

 各社からの公開特許を検索してみると,バヨネットマウントを安く精度良く実現する方法についての出願が多く見つかる。それほどまでに,従来のような切削加工のバヨネットマウントのコストは高いのだ。

 たとえば,キヤノン株式会社が1995年6月6日に出願した特開平8-334816「バヨネット装置及びそれを用いた光学機器」は,マウントベース(プレート)とバヨネット爪の二つのパーツでバヨネットマウントを構成することによって,手間のかかる切削加工を使わず,プレス加工のみで安価にマウントを作ることができるというものである。
 少し引用してみる。

 この従来例のバヨネット装置の加工手順としては、例えば金属丸棒材を施削、穴明け、フライス加工の順で行っている。又、材質としてはレンズ本体の質量が大きい場合はステンレス鋼や黄銅、質量が小さい場合はアルミニウム合金を用いている。
 従来のバヨネット装置はマウント基準面を有するマウントベースとレンズ鏡筒に取着するマウントリングとが一体構成になっていた。この為、被加工材より所望の形状の部材に仕上げるのに加工工程が長くなり、特に複雑な形状のバヨネットの爪形状の加工を行うフライス加工の加工工程が長くなるという問題点があった。
 本発明はバヨネット装置を構成するマウントベースとマウントリングを適切な形状の別部材より構成することにより、所定の強度を有し、カメラ本体側に着脱可能に装着することのできるバヨネット装置及びそれを用いた光学機器の提供を目的とする。

 カメラの歴史はコストダウンとの戦いだった。バヨネットマウントを切削加工ではなく,二つのパーツで構成したり,二つのパーツのうちのひとつをプラスチックにするというのは,性能向上・機能強化のためではなく,すべてコストダウンのための技術である。

 同等程度の性能の製品が安く買えればいいという人もいれば,安っぽいのは気になるという人もいる。なかなか難しい。

 どうでもいい話だが,このFotodiox社の‘The TOUGH E-Mount’ modification kitの動画で,私が一番気になったのは,動画の中のSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAレンズに付いている角型レンズフードだ。

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 このレンズフード,むっちゃカッコ良い。というか,純正のドーム型フードはコンパクトなのはいいのだが,個人的には形状があまり好きじゃないのだ。角型フード欲しい〜

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