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2013年10月26日

新型MacPro……パイプファイル置くの禁止ね

New_macpro_2

 6月のAppleの開発者向けイベントWWDC 2013で発表された円柱型の新MacProが,とうとう12月に発売されることになった。ネット上では「ゴミ箱」や「茶筒」などと揶揄されているが,その小ささと放熱構造のエレガントさに感心した。

 今度もAppleによるメイキングビデオがある「Making the all-new Mac Pro」

 暖められた空気は膨張し,体積当たりの重さが軽くなるので上昇する。自然対流だ。煙突は,高熱になった空気が上昇するという自然対流の原理を利用して,煙などを上空に排出するものだということはよく知られている。煙突のような構造にすれば,送風ファンのような装置を取り付けなくても,煙を上昇気流に乗せて排出できるのだ。

 昔は家庭に走馬燈・回り灯籠があって,ロウソクの火や電球だけで円筒形の灯籠がくるくると回ることが体感でき,幼い知的好奇心がむくむくと大きくなったりしたものだ。関東地方以西では家に煙突があることも少ないし,町に銭湯があることも少なくなってしまった……

 機器の放熱構造を考えるときに,暖められた空気が上昇するということを考慮するのは基本中の基本である。たとえば,放熱フィンを下向きに取り付けることは基本的にはありえない。筐体全体では,下から空気を吸い込んで,暖まった空気を真上に逃がすのが最も放熱効率が良い。実際に,空冷のメインフレームやスーパーコンピュータでは,フリーアクセス床の下から空気を吸い込み,上方から排出している。

A_single_breakthrough_fan

 新MacProの放熱構造が,まさにその構造になっている。空気は下から上へ……。

 一般的なパソコンでは,前から吸い込んだ空気を横に動かし真後ろに排出するために,放熱ファンに余分な負荷が掛かる。冷えてほしい部分に風量を確保するため,複数のファンを搭載したり,部分的にヒートパイプを設けたりしている。

Unified_thermal_core

 新MacProでは,円筒形筐体の中心部に三角柱の放熱フィン「Unified thermal core」を設け,それに各基板の高発熱部品を直接熱結合している。放熱フィンの中の空気は基板上の部品の発熱により暖められて上昇気流となり底部の空気取入口から空気を吸い込む。円柱の上部には放熱ファンがひとつ(サーマルコア)だけ設置されていて,サーマルコアの中を上昇してきた空気を筐体外へと吐き出す。これは美しい。

 この放熱構造は,放熱ファンがなかった不遇の?PowerMac G4 Cubeや初代Macintoshを思い出させる。

Macintosh_128k

 私が某コンピュータメーカーに就職して最初にもらったボーナスで買ったのが,Macintosh 512K 通称〝Fat Mac〟だった。同時にドットインパクト式プリンタのImageWriter IIや日本語化ソフトのSweetJAM,表計算ソフトのExcelなどもまとめて買ったので合計約100万円もしたっけ(9万8千円もしたExcelにはキヤノン販売〝手作り〟の日本語マニュアルが付属してた)。

 学生時代にはNECのPC-8801を使っていて,パソコンに放熱ファンがないことは普通のことだったので驚かなかったが,初代Macintoshの放熱構造のエレガントさには驚かされた(元々メカ屋でコンピュータメーカーに就職したぐらいだから,どうしてもそっちに興味が行ってしまう)。暖められた空気の上昇気流を利用する放熱構造になっていたからだ。

Macintosh

 電源やディスプレイ用のRF回路など,高発熱部品を搭載したアナログ基板を筐体の上部に設置し,高温になった空気を上面のスリットから逃がしている。同時に,その上昇気流によって生じた力で,筐体側面下部のスリットから新しい空気を取り込んでいる。この側面下部左右のスリットの前には,DRAMや68000プロセッサを搭載したディジタル基板を水平に設置し,スリットから入り込んだ空気が基板上面を流れるようにしているのだ。

 新入社員当時に現行機種だったのは,スパコンVP-100シリーズやメインフレームM-380シリーズだが,そのプロセッサの実装である「MCC(Multi Chip Carrier)の3次元スタック構造と五重塔型放熱フィン」と同様の機能美を感じる。

 ただ,エレガントな初代Macintosh(PowerMac G4 Cubeも?)の放熱構造は,ギリギリのバランスの上に成り立っている。

 自宅ではMacintosh IIcxを使うようになり,職場に持ち込んで机の上で使っていた初代Macintosh(中身はApple社のサービスでMacintosh Plusに入れ替わっていた)を悲劇が襲った。会議室かどこかに忘れたパイプファイルを,誰かが親切にも私の机のところまで持ってきてくれて,ちょんとMacintoshの上に置いてくれたのだ。
 私が戻ってきたときには,既に画面にスクリーンセーバーのトースターは飛んでおらず,真っ暗になっていた。放熱用スリットがパイプファイルでふさがれてしまったため,アナログ基板が高温になり昇天したのだった。

 上部に放熱用の開口部を設置した機器では同じことが起こりうる。新MacProも例外ではない。
 開口部が上を向いていると,そこからゼムクリップが入ってしまうなどというトラブルも考えられる。そんなことも考えると,全面に吸気口があり,背面から放熱ファンで排気する一般的なPCの筐体は,上に物を置くこともでき,異物混入のトラブルも起こりにくい等,それはそれで合理的な構造なのかと思えてくる。

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