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2013年7月27日

スペイン国鉄Renfeの〝Alvia〟がカーブを曲がれず大事故

 スペイン鉄道事故、原因は速度超過か―死者は80人に(2013年7月26日 THE WALL STREET JOURNAL.)

 スペイン北西部ガリシア州サンティアゴ・デ・コンポステーラで24日起きた鉄道脱線事故で、事故調査団は急カーブでスピードを出し過ぎていたのが原因との見方を強めている。政府当局者が25日明らかにした。この事故で少なくとも80人が死亡、140人が負傷し、スペインでは1940年代以降で最悪の列車事故となった。

 列車は218人の乗客を乗せ、サンティアゴ・デ・コンポステーラ駅まで3、4キロの地点で脱線し大破した。一部の車両は転覆し、盛り土の上に放り出され、少なくともエンジン一基が火災を起こした。現場に設置された監視ビデオカメラでは、列車はカーブを曲がるところで脱線し、線路脇の壁に衝突し、煙と塵に包まれた。

 スペイン国鉄Renfeの高速列車〝Alvia〟で大事故が発生してしまった。カーブに設置されていた監視カメラの映像が脱線転覆の瞬間をとらえ,それが公開されたため,世にも恐ろしい映像を見た人も多いことと思う。私は全身に鳥肌が立ち,異様な寒気を感じた。そういう映像だった。速度制限のあるカーブに超過スピードで突っ込んで,曲がりきれずに列車が脱線した様子は,福知山線の尼崎での事故も速度は異なるが,同じようなイメージの脱線転覆したのだろうと想像され,心が痛む。
 なぜあの場所に列車を写す固定カメラが設置されていたのかは気になるが,その話はとりあえず置いておく。

 事故を起こしたのは,非電化区間でも走行できるように,先頭の機関車と客車の間に電源車を繋いだタイプのハイブリッド車両730系(S730)である。繰り返し脱線転覆する映像を見ると,列車の2両目,つまりこの電源車が最初にカーブを曲がりきれずに外側に倒れたように見える。

 工学院大学の曽根教授は,〝Alvia〟を非電化区間でも走行できるように追加した重心の高い電源車及び台車の構造的問題が事故発生のカギではないかと説明している。

talgo230
〔http://img69.imageshack.us/img69/5735/talgo230.jpg〕

 事故原因として「速度超過」の次に指摘されているのが,2両目の電源車の構造だ。その構造がわかる写真をネットで見つけたのでリンクしてみた。

 客車はスペインお得意の一軸台車連接型客車「タルゴ」である。日本を走っているような普通の列車は,1車両に2つのボギー台車が付いていて,1車両あたり(片側が)4つの車輪で車体を支えることになる。しかし,タルゴは車両と車両の間に台車がある連接台車を採用している。

 連接台車は小田急線のロマンスカー等にも使われている。車両と車両の間に台車を配置するため,トータルでは台車の数を減らすことができ,車体の揺れも少なく,カーブの速度向上が可能になり,乗り心地が良いというメリットがある。しかし,車体と車体の連結を切り離すと,台車がどちらか一方にしか無くなってしまうので,列車を増結したり短くしたりするのが非常に不便になる。

 タルゴが変わっているのは,その連接台車が一軸台車であることだ。小田急のロマンスカーは連接台車にはボギー台車を使っている。タルゴは車体の長さを極端に短くするとともに,1軸台車を使うことで編成を大幅に軽量化しているように見える。

 このタルゴは古くからのスペインの技術の蓄積があるので,今回の事故とは無関係だと思われる。さらに言えば,タルゴのもうひとつの特徴である軌間可変機構も,古くから使いこなされた技術なので,今回の事故とは無関係だろう。日本では新幹線と在来線を直通走行することを目的として,軌間可変機構を持ったフリーゲージ・トレインの開発を進めているが,残念ながら実用性能においてはヨーロッパの鉄道の域にまでは達していない模様だ。

 さて,写真に写っている2両目の電源車の構造を見てみる。この写真は,非電化区間を走行しているところなので,2両目の電源車が電力を作り出し,先頭の車両のモーターを駆動しているところの写真だ。電源車の台車は,先頭側は機関車と同じボギー台車となっている。しかしながら,客車側の台車は,客車に使用されているものと同様の一軸の連接型台車になっているように見える。
 電源車は非常に重い車両だと思われるが,その重量のかなりの部分を先頭側のボギー台車だけで受け止めるというアンバランスな構造になっている。さらには,電源車と客車の両方を支える一軸の連接型台車は,前後の車両からの荷重受けているのだが,前の電源車からは強い力を受け,客車からは弱い力しか受けない。これもアンバランスだ。

 せめて,ここの連接台車にだけはボギー台車を使うというような設計にはできなかったのだろうか。その場合,客車の前部の旅客スペースが減少する。安全より利益をとったのかもしれない……

 事故を起こした運転士が,Facebookに「200km/hを出した」とかのスピード自慢を綴っていたという話も聞こえてくる。
 事故報告書が出るまでは半年から1年ぐらいはかかるだろう。こういう事故はなぜか類似の事故が続いてしまうことが多い。日本の新幹線も,この事故を他山の石として,安全性向上の努力を続けてもらいたい。

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ネット上のニュース記事などで盛んに報じられており、ご存知の方も多いかと思いますが、今朝(現地時間は昨夜)スペイン北西部のサンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)で高速列車が脱線、70名を超える多数の死者発生し、他に100名を超える多数の負傷...... [続きを読む]

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