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2013年4月 7日

日立電鉄線跡地にBRT運行開始

 日立電鉄線跡地にBRT運行開始 日立南部(2013年03月26日 朝日新聞)

 廃線となった日立電鉄線跡地を専用道にバスを走らせるバス高速輸送システム(BRT)が25日、日立市南部で運行を始めた。公設民営方式で、日立電鉄交通サービスが専用のバス2台を走らせる。県内では鹿島鉄道の線路跡のBRTに次いで2例目。

 運行区間は、おさかなセンター―JR大甕駅前の約3・2キロ。うち専用道(幅約4メートル)は約1・3キロで、残りは一般道。11カ所の停留所を設けた

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〔大橋駅〜川中子駅間のヘロヘロの跨道橋を登り始める日立電鉄の電車(2004年3月)〕

 BRT(Bus Rapid Transit) というのは,本来ならばブラジル・クリチバ市のRIT幹線バスのような都市内大量輸送機関であり,市街地にバス専用レーンを設けて鉄道並みの定時・高頻度運行を可能にしたもののはずだが,どうやら日本では,鹿島鉄道跡のBRTといい,東日本大震災で被災した三陸の鉄道跡を転用したBRTといい,違ったイメージでBRTが認識されているような気がする。

 駅間隔が大きく運行頻度の低いローカル線の場合,バスのほうが低コスト&便利になる部分もあって,少子高齢化時代の救世主的な交通機関システムとしてBRTが扱われる理由もわからないではないが,逆に,本来のBRT普及の妨げになってしまうのが心配だ。

 たとえば,宇都宮市や堺市において遅々として進まないLRT計画も,既存鉄道への乗り入れや,郊外での高速走行というLRTとしてのメリットが大きくないのであれば,BRTのほうがはるかに現実的な選択にも思える。

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〔大甕駅のホームに入ってきた日立電鉄の電車(2005年3月)〕

 今回,BRTとしてバス専用道路が整備されたのは,JR大甕駅からおさかなセンターまでの約3.2km(専用道は約1.3km)。日立電鉄時代の駅で言うと大甕駅から久慈浜駅までのわずか一駅分だ。

 2020年度にはJR日立駅まで運行区間を延伸させるらしいが,今回はわずか1.3km……。その事業費は約5億円で,JR日立駅までの延伸(バス専用区間は約8.5km)するための総事業費は約44億円だという。運行本数は一日に往復48本で,廃線直前に運行本数が激減した日立電鉄時代の往復52本よりも少ない。

 2004年10月22日の茨城新聞によると,日立電鉄の後継事業者として名乗りをあげた岡山電気軌道は,電車の運行のみを請け負う場合で約20億円,鉄道施設も引き継ぐ場合で約35億円の公的負担が,引き継ぎ後10年間に必要だと試算したことになっている。後者の中には,鉄道資産20億円が新会社へ無償譲渡されることにより発生する法人税8億2000万円も含まれている。法人税は確か国税だから差し引きしちゃいけないんだろうけど,鉄道会社の負担が差し引き約27億円と考えれば,今回のBRTに対する日立市の44億円という金額がいかに大きいかがわかる。

 日立電鉄の代替バスが,現在どのような収支で運行されているのか,路線自体が維持できているのか不明だが,もともと代替バスが年間数千万円から一億円もの赤字が予想されていたわけで(代替バス運行開始後1ヶ月間の利用者数は,鉄道のときの一日約1300人に比べて約70%も減少しているという記事もある),なぜあのときに慌てて店仕舞いするかのように鉄道を廃止してしまったのか,いまさらながら疑問を感じる。本当にイマサラだけど……。

 とはいえ,日立電鉄線跡のBRTが順調に運行され,便利な公共交通機関となるのを期待したい。

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〔廃止間近い電車を見送る(川中子〜常陸岡田間:2005年3月)〕

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〔茂宮駅付近の俯瞰(2005年3月)〕

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コメント

こんにちは。
記事拝見しコメントを入れさせて頂きました。
私は、廃線になる半年ほど前に、一度だけこの日立電鉄を訪れたことがありました。
http://kazetabiki.blog41.fc2.com/blog-entry-1383.html
なぜか日本の各地で、既存の大切な社会インフラである鉄道にはお金をかけずに、バスなどに転換した結果、初期費用ばかりがかかって維持費が鉄道同様にかかってしまうケースが散見されるように思います。
この日立電鉄も、鉄道に同様のコストをかけて、真剣にLRT化などを行っていれば、地域の規模間やニーズにあった永続性のある交通システムになっていたのではないかと考えています。一言で言えば、もったいないし無駄なコストをかけているな、と思ってしまいます。
既に失われた鉄道を元に戻すのは現実的ではなく、今後、このバスシステムが地域に根ざして発展していくことを願うばかりです。
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/

投稿: 風旅記 | 2013年11月15日 12時05分

 バスに転換しても,鉃道並みの利用客を維持できず,結局はバス路線の存続問題になってしまうところが多い印象があります。本当に難しい問題ですね。

投稿: 三日画師 | 2013年11月23日 00時10分

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