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2012年11月18日

福鉄延伸「ひげ線」議論が平行線となる理由

 福鉄延伸「ひげ線」議論平行線(2012年11月18日 読売新聞)

 福井市が福井鉄道の通称「ひげ線」(約400メートル)の終点を、現在の西武福井店近くからJR福井駅の駅前広場まで約150メートル延伸する計画を進めている。乗り継ぎの利便性を高めるのが目的で、今月末に二つの案からルートを絞り込む方針。だが、客の素通りなどを恐れる地元商店街は計画そのものに反発、議論が平行線をたどっている。

えちぜん鉄道で勝山へ
〔福井鉄道福武線の通称「ひげ線」の福井駅前電停〕

 福武線の「ひげ線」の存在及び「ひげ線の延伸」に反対している地元商店街の,反対の理由は以下の通りだという。

・クルマでやってくるお客様の邪魔になる
・商店の荷さばき車両の邪魔になる
・周辺道路が渋滞して客足が遠のく
・客が商店街を素通りする

 ロードサイドの型の大型店に客が流出している状況に商店街の方が焦る気持ちはわかるが,反対の理由に矛盾があるのではないだろうか。「ひげ線」を残すのも反対,廃止にも反対,停留場が残るのも反対,停留場が無くなるのも反対では,議論にならない。

 正直な印象を書けば,クルマでやってくるお客様の邪魔になるという発想が,昭和ノスタルジーだと思う。商店街で買い物をせず,ロードサイド店を利用する客に「なぜ商店街を利用しないのか?」のアンケートを取れば,そりゃ「駐車場がない」「クルマが駐めにくい」「電車が邪魔」(「魅力的な店がない」)という結果が多く集まるだろう。
 だからといって,ロードサイド店の利用客を,クルマに乗せたまま駅前の商店街に呼び込もうとするのは無理がある。そんなことは,全国の各都市で実施された施策(路面電車廃止,道路拡幅,駐車場整備)とその結果(シャッター通り)で既に明らかになっている。最初からクルマ中心に設計されている郊外のショッピングモールに,もともと歩行者中心に作られた商店街がかなうわけがない。

 商店街が存続する道を探すならば,「商店街を利用しない理由」ではなく,今現在商店街を利用している人に,「商店街利用する理由」を訊ねるべきだと思う。商店街によってその結果はいろいろあると思うが,「公共交通機関で来るのが便利だから」「安心して歩けるから」「馴染みの店があるから」……と,「(郊外に便利な店があるにもかかわらず)商店街利用する理由」を増やす方向にしか,商店街が存続する道はない。

えちぜん鉄道で勝山へ
〔ひげ線が延びる福井駅前の電車通り〕

 ひげ線が通る電車通りは,全体で3車線分の幅員があり,荷さばき用駐車スペースと片道福井駅前電停を除けば,中央の1車線分が福井電鉄福武線,両側の1車線が走行車線になっている。福井駅前から大名町までは,片側3車線の中央大通りが平行して通っているため,ここがクルマで通りにくいとは思えないし,ひげ線を廃止したからといって,特に走りやすくなるとも思えない。
 福武線をJR福井駅前まで延伸したときに,商店街を利用したい客が駅前まで連れて行かれるのは不便だから,降車専用の電停は残した方が良さそうだ。

えちぜん鉄道で勝山へ
〔福井鉄道の福井駅前電停から福井駅前方向を見る〕
 ここを真っ直ぐ線路が延びることになる。

 福井市の計画をみてとても驚いたのは,正面のアーケード商店街(駅前商店街)を潰してしまい,屋根付き広場に作り替える計画になっていることだ。

小浜〜敦賀〜福井へ
〔駅前商店街のアーケードから電車通りの福井鉄道駅前電停方向を見る〕

 昨年の5月,福井駅前を歩いたときに,この駅前商店街のアーケードに賑わいが無くなっていることが気になったが,実は福井市からも見放されていたようだ。

 読売新聞記事の最後の利用者女性のコメント「駅周辺の再開発ではなく、中心市街地をどう活性化していくかが問題。どうすれば市民が福井鉄道や商店街を利用したくなるのか、という視点が、市にも商店街にも欠けている」というのに同感だ。

 JR福井駅にひげ線の福井駅前停留場を近づけることには大賛成だが,たしかに福井市の施策が一貫していないように思う。
 JR福井駅の高架化にあわせて新しい駅舎となった福井駅ビルが,従来の駅舎よりも商店街から遠ざかり,駅前広場が大きくなった。駅前がスカスカになった気がした。
 その広くなった駅前広場を利用して,中央大通りに広く点在しているバス乗り場(遠いところはJR福井駅よりも,大名町交差点・市役所前電停に近い)を駅前に集約するのなら納得できなくもないが,そうやらその気はないようだ。利用者は不便なままというより,JR福井駅が遠ざかった分だけ余計に不便になっている(福井鉄道福武線駅前電停と同様に商店街には近い。商店街の意向が強いのかな)。

 というわけで,福井鉄道の駅前延伸の議論が平行線なのは,利用者の利便性という視点が欠けているからに違いない。

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〔JR福井駅と駅前商店街のアーケードが直結していた頃の写真(1998年4月)〕
 正面のステーションデパートがJR福井駅で,駅を出るとすぐ左側にアーケード商店街(駅前商店街)が隣接していた。

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〔JR福井駅が新しい駅舎になって30〜40mぐらい商店街から離れた写真(2011年5月)〕
 駅から屋根も付けてもらえない悲しい商店街。

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〔アーケード商店街は今まで隣接していた駅と離れ,駅前広場で寂しい状態(2011年5月)〕

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 かつてJR福井駅があった場所は,駅の正面以外は空き地になっている。商店街と駅ビルの間の切断面がとても痛々しい。
 こんなに駅と駅前商店街が離れていたら,電車の発車前の10分間を利用して,商店街でサンドウィッチを買い込んだり,ソースカツ丼をTAKE OUTすることは難しい。駅前の商店街じゃなく,駅構内の品揃えイマイチな系列売店で済ますことになる。これは悲しい。

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コメント

こんにちは。
現在の駅前広場は仮のものです。
バスターミナルも広場に移ります。
取り壊されるアーケードを含む一帯は再開発ビルができるので、いずれ駅と商店街は屋根づたいということになります。
ヒゲ線の問題に関しては、市と地元商店街との間で新たな振興策などを含めた話し合いの場がもたれるとのことで、少しですが前進しつつあるよう(反対の横断幕をとりはずした)。
いずれにせよ、福井市の対応はとにかく遅いし、仮の広場なのであまり手がつけられないとはいえ、ご指摘のような状態が何年も続いているのは不幸な事です。
今日、商業ビルの取り壊しが始まりました。ようやく動き出した駅前再開発、今後とも関心を持っていただければと思います。

投稿: イサム | 2013年1月 7日 23時19分

 こんにちは。
 福鉄の駅前への延伸,バスターミナルの移設,そして駅前の再開発が徐々に動き出しているとのこと,少し安心しました。市民全員が望むような解決策はないかもしれませんが,少しでも多くの人が喜べるような駅前になるといいですね。

投稿: 三日画師 | 2013年1月 8日 00時54分

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