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2012年7月 2日

整備新幹線が着工認可 3区間で三者三様の反応

 整備新幹線3区間、国交相が着工認可 総事業費3兆円超(2012年6月29日 朝日新聞)

 羽田雄一郎国土交通相は29日、整備新幹線の未着工3区間(北海道、北陸、九州・長崎ルート)の着工を正式に認可し、発表した。順次、着工し、開業は九州が着工から10年後、北陸は14年後、北海道が24年後の見通しだ。新幹線の新区間の認可は4年ぶりで、民主党政権では初めてとなる。

東北新幹線全線開業の悩み

 消費増税法案の騒動の裏でこっそり通しちゃいました,という感じだろうか。
 大きな経済効果をもたらしてきた新幹線も,整備新幹線区間に関しては,開通しても費用対効果に見合う路線は残っていないと思う。

 北海道新幹線(新青森〜札幌)は,札幌までの延伸には少し期待できるのではないかと思うが,新青森駅と新函館(仮称)の位置が悪すぎて(特に函館市から遠い新函館),新幹線の便利さにも街の賑わいににも水を差すことになりそう。青函トンネルについても問題山積み。そして,新函館〜札幌延伸の際にも,新幹線から遠く離れた室蘭本線の伊達市,室蘭市,登別市,苫小牧市あたりは,かなり厳しい状況になるものと推測される。
 かといって,函館本線山線側がバラ色というわけでもなく,新小樽駅は港のイメージのある小樽の街からかなり離れた山の中に作られる。

 各地方の新聞記事を見てみた。

 「北斗函館駅」と決議 北斗市議会(2012年06月16日 朝日新聞)

 2015年度に開業する北海道新幹線の北斗市内の新駅の名称について、北斗市議会は15日、「北斗函館駅」とするように求める議案を多数決で可決した。新駅の名称をめぐっては、仮称が「新函館」となっていることから、北斗市と函館市が「綱引き」を続けている。

 函館市は,並行在来線問題でJRからの経営分離に最後まで賛成しなかった。これはある程度理解できる行動だが,この北斗市の無駄な綱引きは何なんだろう。私としては,「北斗」という地名自体が,矜持に欠けているように思うので,基本的に「新○○」という駅名は好みではないが,何とか「新函館」で決まってほしいと思っている。

 北陸新幹線延伸認可 県活性期待の声続々(2012年6月30日 読売新聞)

 認可決定を受け、西川知事は報道陣の取材に「県民全体の大きな願いだった事業だ。率直に喜びたい」と述べた。今後については「早期に開業できることが大事だ」とし、国が掲げた開業時期が早まるよう用地買収や関連事業を円滑に進めるとした。

 ここは一番ハッピーな感じかな。高岡の駅が在来線高岡駅からかなり南側に外れたところ位置していること以外,あまり大きな問題はなさそうにも思う。糸魚川,直江津あたりは,現在の在来線〜ほくほく線経由で越後湯沢駅から上越新幹線に乗るのと,時間短縮的な魅力があまりないのが玉に瑕だが……。

# 南越駅も在来線武生駅から離れたところにできるらしい。

 長崎新幹線「ノーサンキュー」 在来線沿線住民、恨み節(2012年6月30日 朝日新聞)

 九州新幹線・長崎ルート(長崎新幹線)が10年後に全線開業する見通しになった。国にお金がないなかで、便利になるのは大都市間のみ。わずかな時間短縮のために新たな新幹線が本当に必要なのか。取り残される形の並行在来線の沿線住民からは、うらみ節も聞かれた。

 新幹線ノーサンキューと,最も対応がきつかったのは九州新幹線・長崎ルートだ。以前から書いているように,ここは新幹線による時間短縮効果が小さいわりには,その分のメリットが全然見えてこない。フリーゲージトレインにしても,山陽新幹線で大阪まで乗り入れるのは夢また夢の話だし,新鳥栖駅での接続問題も解決していない(どんだけ大回りの迂回路線を設けるのか)。

 こんな書きかけのような記事もある。

 長崎新幹線、武雄温泉―諫早「10年後には完成」(2010年6月30日 朝日新聞)

 在来線の長崎線と新幹線(鹿児島ルート)の接続点となる佐賀県鳥栖市の新鳥栖駅では現在、高架を走る新幹線と地上を走る在来線が直角に交わっている。高架と在来線の高低差は約10メートルある。

 在来線の長崎本線(地上)と九州新幹線(高架)は直角に交わっており,高低差は約10m。ここにフリーゲージトレインの切り替え設備と線路乗り換え設備が必要になるのだが,新幹線は自動車のように直行した交差点を曲がれないし,10mの高さを飛び降りることもできない。以前から言われているこの問題を,大手の新聞が書いたのを初めて読んだ。

 この問題について,佐賀県の「佐賀県:こちら知事室です」のページでは,九州新幹線西九州ルートのレール規格についての質問の回答(下記)は,あまりに他人事すぎるようで,唖然とする。

 なお、長崎本線と新鳥栖駅との接続については、現在の工事実施計画の中に含まれていませんが、工事を行う鉄道・運輸機構からは、肥前麓駅付近から新鳥栖駅まで弧を描くような線路をつくる検討をしていると聞いています。

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コメント

正直なところ、こういう箱物はもう受け入れられないんじゃないかなと思います。消費税増税の裏でちゃっかり国土交通省のシロアリを太らせるまねしてるってのを考えるとちょっと見ていて情けないというか。長野新幹線の開業からずっと思っていたんですけれども、そうやって平行在来線のJRからの切り離しをしてメリットがあるかといったら全くなく、かえって利用者を混乱させてしまうのが目に見えていますし。

代表的なのが花輪線でしょうね……盛岡~好摩間がIGRになったせいで、それまで通しで計算できてたのがえらく面倒になり、しかも好摩まででも3倍近い値上がりになったわけで。しかもホームまでがえらく遠くなり(一部はJRの3番線から発車してますが、基本JR改札から大幅にはなれた0・1番線からですし…)、新幹線からの乗り換え客のことを全く考慮してません。

北陸新幹線はまあ一番妥当なところかもしれませんけれども、それでも強引に線路をねじ曲げて設置するわけですし、ちょっと疑問符がつきます。果たして飯山線に乗り入れて乗客が利用するのか…途中駅の経済的な要素を考えると、どうも微妙なところです。まあ、複線化されるということになりますから、単線のほくほく線を利用するよりはいくらかましになるかなというのはありますが。でもそうなるとほくほく線の存在もどうなるのか気になるところです。

長崎新幹線のミニ新幹線化に関しては…山形新幹線のようにスパッとうまくいくというわけではなさそうで…むしろ停車駅が減ってスピードも大して変わらない、そうなると不便なだけですよね、これ。

3兆円あったらどれだけ他のことに回せるか、そのことをもう一度民主党は考えるべきです。とりわけ沿岸部の被災地ではそう思う声が強いと思われます。この程度の発想しか出来ないのであれば政権与党としては失格ですね…自民党政権と何一つ変わりない。政権交代した意味がないわけですし。政権交代すると宣言するのなら、あらかじめどういう攻め方で行くか、きちんと予定を組んだ上で政権を作るべきだったのではなかろうかと思います。

投稿: クリス_NK | 2012年7月 4日 16時51分

 クリス_NKさん,こんにちは。

 整備新幹線と並行在来線の問題は,ホント,考えるのもイヤになります。ただ,個人的には,整備新幹線を作らないほうが良いのかというとそうではなくて,20年も30年もの長期間でだらだらと作るよりも,ちゃんと予算を付けて,さっさと作ってしまったほうがトータルでは安上がりで,投資効率が高いのではないかと思っています。

 たとえば,同じインフラ予算でも,各都市の市街地拡大政策(最近はコンパクトシティを基本に据えるところも多くなっていますが)によって,人口密度の薄い都市郊外の道路や上下水道の整備,およびその維持等の予算があまりにも多すぎるような気がします。整備新幹線3区間の総事業費は約3兆円ですが,約20年間のトータル。1年あたりで考えてみれば,道路予算等に比べると巨額とは言えない金額だと思います。収入源や財布を持っているところが違うので,予算配分は簡単に変えられないんでしょうけど。

 盛岡での花輪線の扱いはひどいですね。JRの駅に花輪線への乗り換え案内がほとんどないんですよね。JRの切符売り場に花輪線が表示されてなかったり……。

投稿: 三日画師 | 2012年7月 7日 07時59分

なぜ 整備新幹線の3路線に 秋田や山形のようなミニ新幹線構想が出ないのでしょうか?
既存の路線を整備し 狭軌の軌道で運行スピードを200KMほどまで引き上げる事は可能ではないでしょうか?
特に 北海道新幹線などは 土地の利用から考えても あえて高架軌道の新設に多額な費用をつぎ込む必要は無く充分ミニ新幹線でも対応が可能と思われます。

そもそも 函館-札幌間には10万人に達する都市も無い道南の地域にあって 北海道新幹線の採算性など取れるはずが有りません。
また 東京から札幌まで6時間近くかけて 2万5000円も出してだれが乗るのでしょうか?
現状でも航空機LCCの台頭の中で 1万円程で 1時間程度で東京-札幌間を結ぼうと言う昨今。ますますその状況はその存在を認めないものとなっています。

また北陸新幹線の敦賀までの路線が完成し運行する時期には JR東海のリニア新幹線が動き出す時でもあります。

北陸新幹線で敦賀までの所要時間想定は2時間30分ほどですが、リニアで 東京-名古屋間が40分 その後米原経由で福井入りしたとしても 時間とその乗り物の魅力でどちらに関心が向くのか?

投稿: くんた | 2012年7月 7日 11時34分

 コメントありがとうございます。

 北海道新幹線の東京〜札幌間の所要時間は5時間(メディアによっては4時間40分)と発表されてますね。

 乗り換え案内(駅前探検倶楽部)で,飛行機を使った場合の東京駅から札幌駅までの所要時間を検索すると,今日7月7日の昼12時に東京駅を出発したときの所要時間最短は4時間7分,乗り換え回数4回と出ました。

 乗り換え回数(徒歩移動時間)の少なさや,悪天候での運行安定性を考えれば,北海道・東北新幹線の所要時間が5時間なら,十分対抗できるのではないかと思います。

 さらに,東京北部,埼玉,群馬の方は大宮駅から新幹線を利用できます。大宮からなら新幹線と飛行機いずれも4時間半程度になるとすれば,これらの地域からは新幹線を利用する人のほうが多くなる可能性もあります。

 残念ながら,札幌まで飛行機は飛んでくれなくて千歳までですし,羽田や成田までのアクセス時間も考慮すれば,新幹線のシェアは50%ぐらい行くのではないでしょうか。また,それ故に,北海道新幹線には「高速」なフル規格新幹線が必要だと思います(ミニ新幹線なら作らない方が経済的かも)。

 同様に,JR東海のリニア新幹線が名古屋まで40分で結んでも,名古屋から米原経由で福井までは特急「しらさぎ」で約2時間。この区間をフリーゲージトレインが走っても,それほど時間を短縮できません。乗り換えの必要のない北陸新幹線(東京〜福井は約3時間と発表されてますね)の圧勝だと思います。

投稿: 三日画師 | 2012年7月 7日 12時15分

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: マナー | 2012年7月12日 20時55分

こんにちは。久々にコメントします。

個人的には、整備三線の中では、長崎は不要だと思います。
部分的にしか新線建設が行われないようなので、時短効果も限定的ですし、
そもそも、在来線の改良や、新鳥栖からのリレー特急などで、十分に対応できるような気がします。

北陸は、金沢ー敦賀ー小浜ー亀岡ー新大阪の、若狭ルートが
採用されれば、敦賀までの建設意義、時短効果も十分見込めますが、
米原乗り入れは東海道新幹線の容量逼迫で困難、
湖西線乗り入れだと、冬季の強風での徐行運転や運休増、
さらには東海道線もダイヤが逼迫しており、
両者ともにあまり建設の効果は見込めないと思います。
とは言え、若狭ルートは都市部では地下走行を余儀なくされるため、巨額の建設費用を見込まれていますしね…。


個人的には、自分が道民だということもあり、
三線の中では、唯一北海道新幹線には肯定的な意見です。
新千歳はかなり冬期間閉鎖されますし、
LCCは、実際乗った人間なら分かると思いますが、
恐ろしいほど定時運行性が低いです。
先日、新千歳ー成田間でエアアジアを利用しましたが、往復で
合計4時間遅れました…。
出張等でLCCを利用できる
なんて甘いことを考えている人間は、LCCのメリットしか見えていないか、
マスコミの報道しか目に入らない人間なのでしょう。
ビジネスに利用するには、遅延がひどいため、予定が立たなさ過ぎて、ハイリスクすぎるというのが感想です。
そう考えると、北海道民が新幹線に期待を寄せるのは
ご理解いただけると思います。

新千歳を利用する場合、普通は30分前(LCCの場合は1時間前です)に新千歳空港に着いていなくてはなりません。
札幌周辺の利用客の多くが利用する、空港周辺の有料駐車場の場合は、
45分程度前には着いている必要があります。
このため、実際の搭乗時間に、これらの時間を加算する必要があります。

また、札幌から高速バスや自動車で新千歳空港に向かう場合は、1時間程度の所要時間を見込む必要があります。
さらに、仮に荷物を預けた場合は、羽田空港での受け取りでも時間を要しますし、羽田から大手町や新宿など、東京都心に入る場合は、通常、乗換でのロス等含めると1時間程度はかかります(リムジンバスでも同程度の時間はかかります)。

あと、基本的に念頭に置いておかなくてはならないのは、
飛行機は定時に離陸することはほとんどなく、
たいてい10~30分程度は遅れます(大抵は乗り継ぎ客待ちやギリギリで到着する不届き者待ちのため)。

それらを踏まえると、札幌都心から大手町などの東京中心部に向かうには、
飛行機だと通常4時間半程度は見込まなくてはならないということです。
新幹線で仮に所要時間が5時間かかる場合でも、
乗り継ぎの面倒さや、乗り心地を考えると、
JRにとって決して勝ち目のない戦いではなく、
そもそも日本でもトップクラスの利用客の多い路線でありますし、
十分飛行機と勝負できると思われます。
これが、4時間台前半程度にまで短縮されれば、
相当数の乗客が、新幹線にシフトするでしょう。

長文なので、一度切りますね。

投稿: BOY | 2012年8月23日 18時40分

続きます。
無視できないのは、東北~北関東の新規需要の掘り起こしでしょう。
群馬・埼玉北部(大宮駅以北)・栃木の三県をの人口を合わせると、
おそらく北海道以上の人口かと思われますが、
上記地域は羽田・成田空港からのアクセスが不良で、
北海道に向かうには相当不便な地域でした。
新幹線開通により、アクセスが改善されれば、
旅行やビジネス面でも新たな需要が生まれる可能性はあります。
同様に、東北四県と、道内のアクセスが改善されますので、
新たな経済効果は期待できるのではないか、と思われます。

皆さんおっしゃられていますが、新函館駅が、函館市街地から遠いのはネックですね。
函館市の同意が得られず、新幹線着工が延び延びになっていた一因でもありますし
(桔梗駅あたりにしておけば、アクセスも大幅に改善できていたと思われるのですが)。

尚、途中駅だと、新八雲・長万部は大きな観光名所もなく、人口希薄地域ですので、大した需要は見込めませんし、新小樽も札幌至近地域の上、既存駅と接続しないため、微妙な感じですが、
倶知安はニセコのリゾート地域の玄関口でもあり、
夏の避暑・冬の温泉・スキーなど、
今後関東からの観光需要増は、大いに見込めると思います。

投稿: BOY | 2012年8月23日 18時50分

 上のほうのコメントにも書きましたが,私も北海道新幹線には賛成ですよ。所要時間5時間で,十分飛行機に対抗できると思います。上の7月7日のコメントを読んでいただければ,その旨書いています。

投稿: 三日画師 | 2012年9月 8日 10時50分

ここまで四国が放ったらかしにされ北海道が赤字開業が何事無かった様にされると複雑です

投稿: まー | 2015年11月11日 22時09分

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