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2011年6月12日

鎌倉大仏の大仏殿を流した大津波は想定しなくていいのか?

 釜石 死者など半数想定外地域(6月8日 NHKニュース)

大津波で被災した岩手県釜石市では、死者と行方不明者の半数以上が津波のハザードマップで浸水が想定されていなかった地域に住んでいたとみられることが、専門家の分析で分かりました。「ハザードマップの想定が、かえって避難を妨げる要因になった可能性がある」と専門家は指摘しています。

 ハザードマップの想定を越えた津波が発生し,津波ハザードマップで浸水が想定されていなかった地域の住人の被害が多くなってしまったというニュースである。
 結局,ハザードマップで浸水域を想定する津波(地震)を,いつの時代の何地震にするかが重要となる。

 さて,ちょっと気になっているのが,鎌倉市が作成している津波ハザードマップである。
 http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/sougoubousai/tsunamihm.html

 この鎌倉市の津波ハザードマップは,相模トラフが動いた関東大地震の再来型(南関東地震)を想定したものだという。
 同じ鎌倉市内でも,北部の大船地区(柏尾川を津波が遡上することは十分考えられる)の津波ハザードマップがないので,ちょっとがっかりなのだが,それはそれとして置いといて,「材木座から稲村ガ崎」の鎌倉市津波ハザードマップを見ても,大きな見直しが必要なのではないかと感じる。

http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/sougoubousai/documents/kamakurabver4.pdf

 江ノ電の長谷寺駅からほど近い高徳院は,一般には「鎌倉大仏」や「長谷の大仏」として知られる阿弥陀如来像が有名な寺である。
 もともと奈良の大仏と同様に,大仏は大仏殿の中に安置されていたのだが,1498年9月20日の明応地震によって倒壊,同時に発生した津波によって大仏殿は流されてしまったという。つまり,過去には,この高徳院の大仏の位置まで押し寄せた津波があったということになる(揺れで倒壊しただけという説もある)。想像するだけで恐ろしい。

鎌倉津波ハザードマップ2

 ここで,鎌倉市の津波ハザードマップを見てみると,高徳院(図中の赤丸)の境内は「津波来襲時緊急避難空地」となっている。もうひとつのマークは,1498年の明応地震で津波の被害を受けている場所であることを意味する表示だ。

 ものすごく矛盾した2つのマークがついている。

 宮城県石巻市の大川小学校は,学校が緊急時避難場所に設定されており,児童や先生達の他に近所の人も集まってくる場所だったが,想定外の津波に避難所もろとものみ込まれ,甚大な被害を出してしまった。

 高徳院の津波来襲時緊急避難空地も,関東大震災波の地震を想定して避難場所に設定されてはいるものの,1000年に1回レベルの大津波を受けると,大仏殿が流されてしまうような大変な被害を受ける場所なのである。福島県の第一原発付近で想定されていた津波と同様に,高徳院まで押し寄せる大津波が発生する確率はほぼ0%に近いかもしれないが,絶対に発生しないわけではないのだ。

 国土地理院の地形図を見ると,高徳院付近の標高は十数メートルだと読み取れる。もし,鎌倉市の中心街を十数メートルの大津波が襲ったことを想定すると,不快に感じられる方がいらっしゃるかもしれないが,鎌倉市の中心市街地は陸前高田市や南三陸町のような壊滅状態の被害を受けることになるだろう。

 それを想定した津波ハザードマップを作るか,大仏殿を流した津波のことは無かったことにするか,どっちが得かよく考えてみよう。

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コメント

いつも拝見しております。
実は鎌倉腰越に住んでいる友人が引っ越しましてその理由が津波でした。引っ越すとき地元の不動産屋に笑われたそうです。
なかには真剣に津波被害を考えている人もいると思いますが。
危機意識を市だけでなく市民全員が共有できるかにかかってるような気がします。
観光地ですからもし襲ってきたら三陸の倍の被害がでることが充分予想されますし備えあれば憂いなしとしたいです。

投稿: 藤沢住民 | 2011年6月14日 21時06分

 1000年に1回とか1万年に1回という頻度は,明日来るかもしれないし1万年後かもしれないという,人間の想像力を遙かに超えたレベルなので,腰越の方の話は笑えないですよね。その方の気持ちの問題ですからねぇ。
 実際のところは,明日交通事故に合う確率の方が,はるかに高いんでしょうけど,そこまで心配し始めたときのストレスは相当なもんでしょうから,それを考えれば引っ越しは合理的なのかもしれません。でも,そういうことで悩みすぎないように,人間には「忘れる」という機能が付いているとも言いますね。

 まあ,大仏殿は津波で倒壊したわけではないという説があったとしても,鎌倉市の津波ハザードマップは,避難場所を(津波警報と大津波警報とで)二段階にするとか,別の避難場所を設定するとかしたほうが良いと思います。

投稿: 三日画師 | 2011年6月15日 00時00分

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