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2010年12月 4日

さて,本当の東北新幹線の所要時間を調べてみた

 新幹線 きょう待望の出発式(2010年12月4日 読売新聞)

 新青森発 午前6時31分 東京まで3時間20分

 東北新幹線はきょう4日、全線開業する。八戸―新青森駅間の81・8キロが延伸し、東京と青森を直結する大動脈が始動する。各駅では、それぞれの一番列車に合わせて出発式が行われ、関係者が38年越しの開業を祝福する。県民の期待をのせた新幹線が、いよいよ走り出す。

 新青森駅発の一番列車「はやて12号」は、午前6時31分に新青森駅を出発。東京まで3時間20分の同区間最短時間で到着する。下り「はやて11号」は、午前6時28分に東京駅を出発する。

東北新幹線全線開業の悩み
 雨の中を疾走する東北新幹線E2系(2003年8月)

 とうとう東北新幹線全線開業の日を迎えた。期待していた人の夢を乗せた新幹線である。
 この文章を書いている早朝の6時30分,テレビニュースの生中継で,新青森駅を発車する一番列車が動き出したところだ。

 過去のブログ記事で私は,青森のコンパクトシティ政策との整合性とか,アクセス交通機関の整備の不安とか,新幹線の時間短縮効果は公表されているよりも小さいんじゃないか,などということを書いてきたが,八戸〜新青森開業当日には,三点目の,新幹線の開業による青森県内各地から東京までの所要時間の変化について,ちょっと書いてみたい。

東北新幹線全線開業の悩み
 新幹線がやってくることはなかった青森駅(2006年8月)

 よく知られているとおり,東京まで最短3時間20分とかいうのは,あくまで新青森〜東京間のごく一部の最速列車の所要時間であり,普通に走っている新幹線は途中に停車する駅も多く,そんなに速いわけではない。
 最近は鉄道路線経路探索サイトが便利なので,同じ条件を設定して,新幹線全線開通後と開通前の在来線を特急列車が走っていた頃の電車が,実際にはどのぐらいの所要時間で走っていたのか(走ることになるのか)を簡単に調べることができて便利だ。

 というわけで,青森県内の主要都市から東京までの所要時間を,「東京駅に15時00分までに到着する」「東京駅に18時00分までに到着する」という二つの条件で,検索してみた。
 結果を手抜き表示で羅列するが,簡単に言うと上が新幹線開通後,下が開通前の在来線使用時の所要時間である。在来線の料金には特急列車使用時の自由席特急料金が加わっている。

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青森〜東京(新青森から新幹線)
 09:07→13:08所要4時間01分16,170円乗換1回(普通〜はやて20号)
 12:45→17:08所要4時間23分16,170円乗換1回(普通〜はやて28号)
青森~東京(在来線〜八戸乗り換え)
 09:46→14:08所要4時間22分16,640円乗換1回(つがる12号〜はやて12号)
 12:49→17:08所要4時間19分16,640円乗換1回(白鳥18号〜はやて18号)
※ 朝日新聞の記事で,上りは従来より最大39分の短縮になるということだったが,それほど早くなっていない。これはちょっと意外……でも真実だ。
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弘前~東京(新青森から新幹線)
 09:41→14:08所要4時間27分16,490円乗換1回(普通~はやて22号)
 12:58→17:08所要4時間10分16,490円乗換1回(普通~はやて28号)
弘前~東京(在来線~八戸へ乗り換え)
 09:09→14:08所要4時間59分17,150円乗換1回(つがる12号~はやて12号)
 11:54→17:08所要5時間14分16,950円乗換2回(普通~白鳥18号~はやて18号)
※ 弘前からは新幹線による高速化のメリットを直接享受できる。
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浅虫温泉~東京(新青森開通後:八戸乗り換え)
 09:09→14:08所要4時間59分16,900円乗換1回(快速~はやて22号)
 12:18→17:08所要4時間50分16,900円乗換1回(普通~はやて28号)
浅虫温泉~東京(在来線~八戸乗り換え)
 09:58→14:08所要4時間10分16,320円乗換1回(つがる12号~はやて12号)
 13:02→17:08所要4時間06分16,320円乗換1回(白鳥18号~はやて18号)
※ 残念ながら,大幅な所要時間の増加となる。温泉地として,とても厳しい結果だ。
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野辺地~東京(新青森開通後:八戸乗り換え)
 09:30→14:08所要4時間38分16,450円乗換1回(快速~はやて22号)
 12:46→17:08所要4時間22分16,450円乗換1回(普通~はやて28号)
野辺地~東京(在来線~八戸乗り換え)
 10:14→14:08所要3時間54分16,320円乗換1回(つがる12号~はやて18号)
 13:18→17:08所要3時間50分16,320円乗換1回(白鳥18号~はやて18号)
※ 予想されてはいたが,野辺地も所要時間は大幅に増加する。
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三沢~東京(新青森開通後:八戸乗り換え)
 10:27→14:08所要3時間41分15,700円乗換1回(快速~はやて22号)
 13:12→17:08所要3時間56分15,700円乗換1回(普通~はやて28号
三沢~東京(在来線~八戸乗り換え)
 09:22→13:08所要3時間46分15,560円乗換1回(しもきた~はやて10号)
 13:17→17:08所要3時間51分15,560円乗換1回(普通~はやて18号)
※ 八戸まで近いこともあって,所要時間に変化は少ない。
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蟹田〜東京(新青森から新幹線)
 07:08→12:08所要5時間00分16,490円乗換2回(普通〜普通〜はやて18号)
 11:28→17:08所要5時間40分16,490円乗換2回(普通〜普通〜はやて28号)
蟹田〜東京(在来線:八戸乗り換え)
 08:26→13:08所要4時間42分16,840円乗換1回(S白鳥10号〜はやて10号)
 11:42→17:08所要5時間26分16,640円乗換2回(普通〜白鳥18号〜はやて18号)
※ 蟹田に八戸行きの特急が停車するときには,従来のほうがかなり早かったようだ。
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八戸~東京(新青森開通後)
 10:57→14:08所要3時間11分15,150円乗換0回(はやて22号)
 14:06→17:08所要3時間02分15,150円乗換0回(はやて28号)
八戸~東京(従来:八戸始発)
 10:57→14:08所要3時間11分15,350円乗換0回(はやて12号)
 14:06→17:08所要3時間02分15,350円乗換0回(はやて18号)
※ 八戸は,当然ながらほぼ変化無し。
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 とうわけで,簡単にまとめれば,奥羽本線の新青森駅より西側(弘前方面)は,東北新幹線延伸のメリットを享受できるが,そのほかの都市はあまりメリットが感じられないという結果となった。正直なところ,これがショックだと感じる人もいるだろうし,うすうす感じていたという人も多いことだろう。
 青い森鉄道を利用することになる区間は運賃が上がることによって,在来線特急を使った場合に比べても,あまり安くなっていない。

 東京駅から新横浜駅までは東海道新幹線で18分。しかし,新横浜から横浜市営地下鉄や横浜線に乗り換えて横浜駅まで行こうとすると,乗り換え時間を入れて40分弱かかる。東京駅から東海道本線の在来線に乗ると,横浜までは乗り換え無しで30分弱。東海道新幹線を使うよりも早い。それと同じような事態が,東京〜新青森・青森間に生じている。

 何となく感じていた,東北新幹線の新青森延伸,北海道新幹線の新函館までの延伸の,むなしさを,強くだめ押しされたような結果となってしまった。

# 東北新幹線全線開通のこの日,新青森駅を朝一番に発車した電車が盛岡駅で秋田新幹線との連結に失敗したほか,北海道付近で発達した低気圧の影響による強風で,運転見合わせが続くなど,散々な初日になってしまったようだ。まったく縁起でもない。

【参考】
2010年4月15日:東北新幹線青森延伸のジレンマ
2010年8月30日:東北新幹線の玄関口,新青森駅が更地だらけで大丈夫か
2010年9月 9日:東北新幹線全線開業時のダイヤを発表
2010年9月25日:函館まで24分かもしか短縮しない東北新幹線
2010年11月18日:わかっちゃいるが「はやぶさ」通過にため息
2010年10月 7日:「青い森鉄道 赤字軽減策」交渉してるの?

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コメント

某呟きでもぼやいたのですが、ネット上の生中継で、上り新青森駅を出る始発列車のクス球割りを見ていて、唖然としました。

式典に臨んだ国土交通大臣や青森県知事以下、お歴々の皆さんが、動き出した一番列車の方へ手を振るでも見送るでもなく、列車に背を向けて一斉にお互い握手を始めたのです。

ああ、この人達には、青森を訪れてくれた新幹線乗客への感謝も、一番列車への感慨も無いんだなぁ…と、露骨に伝わってきましたね。できちゃったら、もうそれでいいのかよ。

あの光景が、三日画師さんの懸念が残念ながら間違いでなかった事を、図らずも証明していた様です。本当に後味の悪い生中継でした。


投稿: もりあき | 2010年12月 5日 22時46分

 くす玉割りのシーンは,生中継を横目に,所要時間の検索結果を時刻表検索サイトからコピー&ペーストするのに必死で,見のがしてました。ニュースサイトの動画を見たら,おっしゃる通り,動き出した車両のほうには興味がないのがよくわかりますね。

 あの出発式典を行うために,ホームに来ていた人誰もが見たいと思っていたはずの新幹線の先頭車両のところは,すっかり人払いされて,報道カメラが先頭車両とお偉いさんらを一緒に写し込むスペースを大きく空けて……。まあ,入場券の人もお客さんなのに,そっちのほうには気が回らないようですね。

 某つぶやきで青森市民の方の話を聞いたのですが,「青森県民の悲願」だとは言うものの,青森県民より,他県からやってくる観光客のことばかり考えているという感じなのかもしれません。

投稿: 三日画師 | 2010年12月 6日 02時24分

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