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2010年9月の20件の記事

2010年9月25日

函館まで24分かもしか短縮しない東北新幹線

 東京へ弘前31分・函館24分短縮 特急かもしか廃止(2010年9月24日 朝日新聞)

 JR東日本は24日、12月4日付のダイヤ改定を発表した。この日、東北新幹線が新青森駅(青森市)まで全線開業するのに伴い、在来線特急も再編する。特急と新幹線を乗り継いだ東京駅までの最速時間が、弘前駅(青森県弘前市)は31分短い4時間10分、函館駅(北海道函館市)は24分短い5時間44分になる。

特急「かもしか」@東能代
 東北新幹線全線開業時に廃止となる特急「かもしか」(2006年8月 東能代駅)

 東北新幹線全線開業時の,在来線も含めたダイヤがやっと発表された。時刻表等を見ていないので詳細は不明だが,おおむね次のような変更になるようだ。

・青森(弘前)−八戸間を走っていた特急「つがる」は青森・新青森−秋田間に変更
・青森−秋田間を走っていた特急「かもしか」は廃止
・八戸・青森−函館間を走っていた特急「白鳥」「スーパー白鳥」は新青森−函館に変更
・新潟−青森間を走っていた特急「いなほ」は新潟−秋田止まりに短縮

 その結果,青森(−新青森)−弘前間の特急列車は減便となるが,普通列車を増便することで対応するらしい。新幹線からの弘前までの乗り継ぎでは,特急列車が対応しない場合もあるってことだろうか。新青森−弘前は普通列車だと40分以上かかるので,それはちょっと可哀想かもしれない。

 また,今回はJR東日本の発表なので仕方がないが,青い森鉄道のダイヤがどうなるのかが気になる(発表はまだ? 同時発表にすれば良かったのに)。八戸−青森間を走っていた特急「つがる」「白鳥」「スーパー白鳥」が無くなるのだ。浅虫温泉,野辺地,三沢からの乗り継ぎはどうなるのだろうか。

 JR北海道が東北新幹線の新青森開業に関して今年5月にリリースした文章には,新青森と函館間について「列車の運転本数やアクセス輸送につきましては、現行と同等程度のサービスレベルを維持する計画です」という記述がある。しかし,青い森鉄道が現行のJR東日本と同程度のサービスレベルを維持するのかどうか,現時点ではよくわからないのは問題だ。
 青い森鉄道は,青森県や沿線自治体が主要な出資者となる第三セクターなので,八戸−青森間の列車をどのようにするのか,新幹線アクセスとなる速達列車をどうするのか等を主体的に考え,JR東日本にも積極的に働きかける必要があるはずだ。

 青森(新青森)−八戸間を走っていた特急列車がなくなってしまったら,浅虫温泉,野辺地,三沢からの利用者は,新幹線の恩恵どころか,逆に東京駅までの所要時間は増加しかねない。いわゆる「走るんです」こと701系に長時間乗らなければならないとしたら,そりゃもう二重苦である。
 特急「つがる」を青い森鉄道に(たとえば青森−八戸間は快速列車として)乗り入れてもらう等して,沿線の利用者が受けるサービスのレベルを維持しなければならないのではないだろうか。
 その点で,今回の発表内容は残念でならない。

 それにしても,東京へ弘前31分・函館24分しか短縮しないというのは,(それまでの発表がウソっぽかったことは)わかっていたことだが,それが実際に発表されると,やっぱりショックだ。

 9月8日の朝日新聞の記事はこうなっていた。

 全線開業時のダイヤは、同社の清野智社長が7日の記者会見で発表した。
 それによると、東京—新青森間の所要時間は、最短で上りが3時間20分、下りが3時間23分。上りは現行(東京—青森間、八戸での乗り換え時間を含む)より39分、下りは36分の短縮となる。仙台—新青森間は最短で上りが1時間42分、下りが1時間41分となり、いずれも現行より約40分短くなる。

 新青森までは“約40分短くなる”のに,その後は現行の特急と同じ速さで走っても,なぜか弘前までは31分,函館までは24分しか短縮されないのは,9月9日に書いた『東北新幹線全線開業時のダイヤを発表』のように,まやかしだったわけだ。期待していた人も多いだろうに,残念な話である。

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2010年9月24日

秘境駅ツアーは禁じ手では?

 探検、発見「秘境駅」 人気急騰、鉄道会社も便乗(2010年9月19日 朝日新聞)

 周囲に人家がなく、鉄道でしかたどり着けないような山間の「秘境駅」を巡る人たちが増えている。自然豊かな県内は、秘境駅の宝庫。人気に目を付けた鉄道会社が、ツアーを組んだり臨時急行を走らせたりして売り込んでいる。

 JR飯田線の豊橋駅(愛知県豊橋市)から2時間半。静岡、長野、愛知の県境に近い山中の小和田駅(浜松市天竜区)に降り立つと、人の気配が消え、秘境ムードが漂う。両側をトンネルに挟まれ、周りに人家はおろか、車道もない。

 古びた木造の駅舎がたたずみ、レトロな雰囲気を醸し出す。聞こえてくるのは、虫の鳴き声や風の音だけ。待合室の机には、訪れた人たちの思いがびっしりと書き込まれたノートが並んでいた。


新改駅
 1970年10月に無人駅となった新改駅。秘境駅としても有名らしいが,2〜3時間に1本程度の本数は確保されている。[2002年5月撮影]

 古びた木造駅舎のホームにたたずむと,人の気配がまったく無く,虫の音や風のささやきだけが聞こえてくる……。まあ,秘境駅だけじゃなくて,ローカル線の郊外の駅だったら意外に簡単に味わえるような気がするけどね。

 それにしても,そういう雰囲気を楽しめそうな駅に,ツアーで大勢の人が降りてきたら,そりゃツアー以外の人はドッチラケだな。雰囲気もクソもなくなり,無粋きわまりない。
 ツアーってんだから,ひとり・ふたりじゃ成立しないだろうから,ツアーに参加している人自体,のんびりした駅の雰囲気を楽しめるのかどうか疑問だ。

 変な世の中なので,そのうちに「全国ひとり旅ツアー」なんてのも出てきそうだな。気持ちわりい。

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2010年9月23日

紀州鉄道 開業以来初の大幅減便

 紀州鉄道、10月から5往復減 開業以来初の大幅減便(2010年9月18日 朝日新聞)

 御坊市内を走る紀州鉄道(西御坊—御坊、2.7キロ)が10月1日にダイヤ改定をして5往復を減らす。経費節減が目的で、1931(昭和6)年の開業以来初めての大幅減便だという。「乗客が0〜2人と少ない時間帯を選び、影響を最小限にした」と説明している。

 紀州鉄道御坊事業所によると、現在のダイヤは、6時台から21時台までに1日計26往復している。10月の改定で、10、11、12、14、20時台の各1往復がなくなり、計21往復になる。

紀州鉄道 開業以来初の大幅減便
[昨年まで定期運行されていたキハ600形(2006年1月撮影)]

 紀州鉄道といえば,全長わずか2.7km。年間の営業収入がわずか約800万円という,超ミニミニ鉄道である。鉄道ファンにはよく知られているが,一般的に知られた観光地が沿線にあるわけでもなく,正直なところ,21世紀になって10年経った今日も残っているのが奇跡的に思える路線である。
 1日の乗客は100〜200人で,約7割が学門駅近くの県立日高高校の生徒だという。

 不動産業を主力とする親会社の鶴屋産業が,鉄道会社を所有していることで信用を得るのが目的だという話を見聞きするが,実際のところはよくわからない。毎日利用している乗客にとって,なくてはならない「足」であることに違いはない。

 とにかく,この超ミニミニ鉄道が,JRのローカル線のように一日わずか5〜6往復しか列車を走らせずに赤字額を押さえ込んでいるのとは違って,1時間に1〜2本の運転本数(大幅減便とはいえ21往復)を確保し,地方ローカル私鉄の廃止が相次いだ2000年代を乗り切って現存しているのは,誰がなんと言おうと奇跡なのである。

 紀州鉄道御坊事業所の国分所長の「鉄道は経営状況にかかわらず続けるのが社の方針」という言葉は心強い。

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2010年9月22日

手弁当で9年続く大畑線キハ85動態保存会

 鉄道愛好家が守る大畑線 保存会、手弁当で9年(2010年9月20日 朝日新聞)

 下北半島の「まさかり」の柄と刃の境を南北に結び、2001年に廃線となった本州最北の鉄道、下北交通大畑線(下北—大畑間)。終点だった大畑駅(むつ市大畑町)のだれもいないプラットホームは、毎月第3日曜だけ人気が戻る。「大畑線キハ85動態保存会」の運転会だ。

 大畑線は1939年に開通、85年に旧国鉄から下北交通に移管された。だが、収益悪化によって01年3月限りで廃止と決まった。

 これを知った鉄道愛好家で航空パイロットの嶋望海(もちみ)さん(51)は、下北交通社長に手紙を書いた。北海道旅行などで乗って親しみがある寒冷地仕様のキハ85を、航空会社の仲間でつくる鉄道愛好会で保存したいという。社長は申し出を受け入れ、全国的にも珍しい車両が動く形での保存が実現した。

下北交通大畑線キハ85いか丸くん
 下北交通大畑線大畑駅に停車するキハ85いか丸くん(1997年4月撮影)

下北交通大畑線キハ85
 下北交通大畑線下北駅に停車するキハ85(2000年9月撮影)

 約10年前に廃線となった鉄道の車両(しかも2両)が,愛好者の手で動態保存されているというのは素晴らしい。車両の維持費や燃料費を会員が出しているというのは,ボランティアによる保存鉄道先進国のイギリスならいざしらず,国内では非常に珍しい。

 旧大畑駅のホームから残っている約200mのレール上を走るだけだが,全部私有地なので運転経験のないメンバーでも運転できるそうだ。

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2010年9月19日

富士吉田駅がまさかの富士山駅に……

 「富士山駅」誕生へ 富士急行に来年7月(2010年9月18日 産経新聞)

「富士山駅」誕生へ−。富士急行(山梨県富士吉田市)は来年7月1日、富士急行線の富士吉田駅(同市上吉田)の名称を富士山駅に変更すると発表した。7月1日は例年、富士山の開山日。周辺に古来の富士信仰の面影が残る同駅を、富士登山や周辺観光の出発点と位置づけ、“富士山に一番近い鉄道”として知名度アップを図るのが狙い。同社によると、富士山の名を冠した駅名は全国初という。

フジサン特急

フジサン特急
 富士急2000形「フジサン特急」(元JR165系の改造車)

 スイスのように,富士山の山頂近くまで登る山岳鉄道が新しくつくられて,そこに「富士山駅」ができるわけではなく,既存の富士吉田駅を富士山駅に名称変更するというニュースだ。驚きである。

 富士山の周辺には「富士」をウリにする自治体が多く,町村合併や市制施行を機に「富士」を付けて,富士山の威光にすがるようになっている。たとえば,次のような都市だ。

・富士吉田市(瑞穂・福地 or 下吉田・上吉田)
・富士市(加島・吉原)
・富士宮市(大宮)
・富士河口湖町(河口湖)

 括弧内に書いたのは,合併もしくは市制施行前の中心となる町の地名である。はっきり言って,平成の大合併で各地に登場した無粋な地名とさほど変わらないレベルだと思う。

 そんな地名ではあるが,長く使われて馴染んできている富士吉田市。富士急行線の富士吉田駅は富士吉田市の表玄関でもある。その駅名を単なる話題作りとしか思えない「富士山」駅に変えてしまって,本当にいいのか?……と富士急の人と富士吉田市の人に聞いてみたい。

 しかも,来年の富士山の開山日である7月1日に名称変更をすると言う。

 現在,富士吉田駅を経由して富士登山をする人の数は多くないと思っているが(富士吉田駅の一日平均乗降人員は1445人/日しかない),それでも富士山の開山日には普段よりもたくさんの人が富士吉田駅で下車するであろう。事前に富士吉田駅を目指して地図や時刻表を調べ,当日初めて富士吉田(富士山)駅にやってくる人もいるのではないだろうか。

 しかし,来てみてびっくり。富士吉田駅が見あたらない……。富士山駅で下車しても良いかどうか迷っているうちに列車の発車時刻が近づいてしまう(富士吉田駅は終着駅ではなく途中駅である)。隣の駅は富士急ハイランド駅……そっちが元富士吉田駅だろうか?……とあわててしまう人が出てくる心配は,富士急行の方にはないのだろうか?

 まぁ,今回,富士吉田駅の一日の平均乗降人員が1445人/日しかないことも驚きで,富士急行としては,話題になることだったら何でもやるほど追い詰められているということだろうか。
 富士急行にはJRの電車も乗り入れているのだが,駅名の変更に伴うJR内の費用だけでも,相当な金額になると思う。余裕がないんだか,余裕があるんだか,よくわからないが,地名や駅名のように長く使われてゆくものについては,命名時にも変更時にもあれこれ熟慮してほしいものである。

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2010年9月17日

特急「はつかり」が何度目かの復活(限定商法)

 特急「はつかり」1日限定の復活 250人に抽選発売(2010年9月13日 朝日新聞)

 JR東日本は13日、2002年に廃止された特急「はつかり」を上野—青森間で10月16日に走らせると発表した。当時の電車「583系」を使い、抽選制の旅行商品として売り出す。

はつかり
 [2002年 郡山駅にて]

 東北新幹線の新青森延伸時の列車名を「はやぶさ」にしたのは,こうやって「はつかり」を限定商品として使うためだったのか(半分冗談)。

 一日限定とはいえ,いったい何度目の復活運転だろう。人気者の583系電車は相当な老朽車両だが,あちらこちらと引っ張りだこで,さすがは国鉄時代に設計された丈夫な車体だな,という印象だ。

 個人的には,こうしたイベント列車もいいとは思うけど,もう少し公共交通機関(本業)の部分にアイデアを絞ってほしい気がする。

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東京モノレール延伸計画が本格化

 東京モノレール 延伸計画 東京か 新橋か(2010年9月17日 東京新聞)

 羽田空港と浜松町駅を結ぶ東京モノレール(本社・東京都港区、路線距離一七・八キロ)が、路線をJR東京駅か同新橋駅まで延伸することについて本格的な検討に入ったことが十六日、分かった。羽田空港が来月、「二十四時間国際化」することに伴い、成田空港との接続を改善し、空港間の輸送力を強化する狙いだ。

秋雨後 雫玉散るモノレール 田町
 田町付近を走る東京モノレール(2008年10月)

 羽田空港へのアクセス路線として,動きの多かった京急に対して,沈黙を続けてきた東京モノレールが動き出したようだ。

 羽田空港と成田空港の移動では,JRの成田エクスプレスを使うと,どうしても乗り換えが二回必要(東京・浜松町)になってしまうため,競合するリムジンバスや京急−京成の直通電車より利便性が劣ってしまう。
 東京モノレールの新橋延伸(+成田エクスプレスの新橋停車),もしくは東京駅までの延伸は必然の流れだと思う。東北・上越新幹線方面や,中央線沿線からの乗り換えの利便性を考えれば,是が非でも東京駅まで延ばしたいところだろう。

 問題は,東京延伸に掛かる費用が一千億円を越える試算になっていることと,便利になりすぎて,モノレールの輸送力が不足する可能性があるというあたりだろうか。
 新橋駅までの延伸なら,費用は三分の一程度,早ければ数年程度で延伸が可能ということで,東京延伸を視野に入れつつ,とりあえず新橋まで延ばすという判断もありそうだ。

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なんと,在来線並みの東京−大宮間の東北新幹線を視察

 シュワ知事、東北新幹線を視察 JR東、安全性をPR(2010年9月14日 朝日新聞)

 日本を訪問している米カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事(63)が14日、東北新幹線を視察した。知事は来年3月にデビューする同新幹線の新型車両「E5系」に乗り、東京—大宮を1往復。JR東日本や国土交通省の幹部が、新幹線の安全性や定時運行をPRした。

 カリフォルニア州の高速鉄道計画では,ヨーロッパ勢や中国,韓国との受注獲得競争をしているJR東日本勢にとっては,大きな売り込みのチャンスである。もちろん,この程度の試乗で受注が大きく影響するわけではないだろうが,強い印象を持ってもらうに越したことはないはず(知事の任期が迫っているらしいけど)。

 それなのに,それなのに,なんで110km/hの速度制限がある東京−大宮間なんだろう。在来線並みの速度しか出せない区間だよ。
 いや,もちろんシュワルツェネッガー知事のスケジュールも詰まっていただろうし,同じ車両が折り返し運転する設備を考えれば,大宮で折り返すしかなかったのだろう。だが,でも,しかし……だ。もう少しなんとかならなかったんだろうか。

 ちなみに,翌日にシュワルツェネッガー知事が試乗した韓国のKTXは,300km/h以上の速度で快走したそうだ。

 今回の新幹線の売り込みでは,日本は当初から出遅れている感があるが,実質TGVの韓国KTXや,「高速鉄道技術は既に世界をリードする地位を獲得している」と主張するメイド・イン・チャイナの「はやて」ソックリさんには,負けてほしくないものである。

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古い駅舎の保存機運が高まる?

 携帯CMにも登場、レトロな駅舎の保存機運(2010年9月12日 読売新聞)

 木枠の窓ガラス、古びた木製のベンチ、むき出しの蛍光灯――。

 80年以上前に建てられ、大正時代そのままの姿を残している木造建築の駅舎がある。福井県越前市中心部にある福井鉄道・北府駅。今年1~2月、携帯電話会社のテレビコマーシャルに登場、レトロな雰囲気が注目を集めた。

 その駅舎を保存しようという機運も高まっていると聞き、ある朝、駅ホームに降りてみた。

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 ソフトバンクのテレビCM(白い犬のやつ)に使われた西武生(現北府)駅のホームと駅舎(2003年10月)

 戦後日本の近代化,高度経済成長を支えてきた近代化遺産に注目する機運は,多少盛り上がっているようではあるが,残念ながら世間一般的にそれが認知されているようには思えない。

 各地に残る古い駅舎は,そこに鉄道が敷設された時代の雰囲気や街の賑わいを感じさせてくれる貴重な存在である。たとえ,それが日本の歴史上の文化遺産(鉄道遺産)ではなくても,その地方の大工がその地方に受け継がれている作り方で作った,どこにでもあったはずの普通の駅舎も立派な文化財なのだ。

 この読売新聞の記事を見つけたときに,ひょっとしたらそういう古い駅舎を保存する気運が高まっているというニュースだと思い,心が躍る感じになったが,何のことはない,テレビCMでのロケ地が人気になっているという,あまりにありきたりのニュースでがっかり。

 全国でCMが放映された後は,観光客まで訪れるようになるとは,テレビCMおそるべしである。

 とはいえ,解体の予定があったはずの北府駅(旧西武生駅)に,「北府駅を愛する会」のようなものができて,駅舎を保存しようという運動が行われるのは,古い駅舎好きの人間としては嬉しいことだ。

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2010年9月10日

サイクルトレイン:ローカル線復活のきっかけになるか

 主婦にもお年寄りにも好評 弘南鉄道のサイクルトレイン(2010年9月9日 朝日新聞)

 青森県の弘前市と大鰐町を結ぶ弘南鉄道大鰐線(13.9キロ)に、自転車持ち込み可のサイクルトレインが登場した。2両編成の後部車両に10台まで乗せられる。サイクリングを楽しむ子どもたちに、買い物に出かける主婦やお年寄りまで利用客も幅広く好評だ。

 同鉄道の工藤司営業課長(38)によると、利用者減の対策として会議で出たアイデアがサイクルトレインという。月に数台程度との予想だったが、時間限定で始めた5、6月の試行では毎月約60台の利用があり、本格実施の7月からは土日・祝日は一日中持ち込み可に。同月は41台、8月は83台に伸びた。

 弘前市と大鰐町を結ぶ弘南鉄道大鰐線のサイクルトレインが好評のようだ。
 サイクルトレインは,従来のように自転車を分解して輪行袋に入れたりせず,乗車可能なそのままの状態で列車の中に持ち込むことができるサービスである。
 2010年5月30日の記事「電車に自転車を気楽に持ち込みたい!」に書いたように,最近では全国のローカル私鉄でサイクルトレインを実施するところが増えており,鉄道利用者の減少に悩むローカル線の利用促進のきっかけのひとつになりそうな勢いに感じる。

 現状では,列車が混雑する通勤・通学時間帯は利用できないが,車両のやりくりを工夫して,通勤・通学時間帯にも利用できるようになれば,鉄道利用客の増加や,駅前の放置自転車の解消など,良い方向に事が運んでいきそうな感もある(もちろん,都市部のラッシュ時には難しいだろうが)。

弘南鉄道大鰐線
 中央弘前駅近くの土淵川沿いを走る弘南鉄道大鰐線の電車(2006年8月)

弘南鉄道大鰐線
 土砂降りの雨の中,中央弘前駅のホームに入る弘南鉄道大鰐線の電車(2006年8月)

弘南鉄道大鰐線
 中央弘前駅のホーム(2006年8月)

弘南鉄道大鰐線
 大鰐駅のホームに停車する弘南鉄道大鰐線の電車(2006年8月)
 左側のホームは,JR奥羽本線大鰐駅。

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2010年9月 9日

懐かしの木原線再現 いすみ鉄道が大糸線のキハ52を購入

 懐かしの木原線再現 鉄道ファンにアピール いすみ鉄道(2010年09月08日 千葉日報)

 いすみ鉄道(大多喜町)は、JR西日本から中古のディーゼルカー「キハ52」を購入し、来春から運行を始める。昭和時代、同鉄道の前身となる国鉄木原線で活躍したキハ20系と同系列で、思い出の形と色をよみがえらせる作戦だ。国内唯一の現役車両とのプレミアも付き、鉄道ファンを呼び込む通年型の観光資源にしたい考え。

 公募で選ばれた社長さんが,訓練費700万円を自己負担することで列車運転免許を取得するというビックリ仰天の運転士養成プランを発表して話題となったいすみ鉄道だが,こんどは老朽化した車両の代替車両にサプライズを用意していた。

 その車両は,今年3月まで大糸線を走っていた「キハ52」。老朽化した車両の代替と言うには,最初からいきなり老朽化してしまっている車両だが,大糸線での運行終了前の鉄道ファンの人気は絶大だった。


[2005年8月14日:小滝駅近くの姫川の鉄橋を渡る大糸線のキハ52。右に見えるのは黒部川電力姫川第六発電所]

 どの程度の鉄道ファンを呼び込むことができるか(いわゆる「撮り鉄」の人は列車に乗らないからねぇ),よくわからないところは多いが,鉄道存続に向けての取り組みとして注目したい。


[2005年8月14日:小滝駅の西側,姫川の鉄橋を渡る]

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東北新幹線全線開業時のダイヤを発表

 東北新幹線ダイヤ、県内で明暗 2次交通網整備本格化へ(2010年9月8日 朝日新聞)

 JR東日本は7日、12月4日の全線開業時の東北新幹線のダイヤを発表し、東京—新青森間は15往復、仙台—新青森、盛岡—新青森間は各1往復の運行となった。八戸駅は終着駅でなくなるものの、当面、全便が停車。一方、延伸で新たに開業する七戸十和田駅は、全体の約3割が通過することになった。県などは今後、2次交通網の整備を本格化させる。

 全線開業時のダイヤは、同社の清野智社長が7日の記者会見で発表した。

 それによると、東京—新青森間の所要時間は、最短で上りが3時間20分、下りが3時間23分。上りは現行(東京—青森間、八戸での乗り換え時間を含む)より39分、下りは36分の短縮となる。仙台—新青森間は最短で上りが1時間42分、下りが1時間41分となり、いずれも現行より約40分短くなる

 東北新幹線新青森開業時のダイヤが発表された。新青森駅発の列車は17往復(内15往復が東京行き),七戸十和田駅は12往復が停車するらしい。
 朝日新聞の記事では「県内で明暗」というタイトルが付いているが,七戸十和田駅に12往復も停車するというのは,ほとんどの人が予想していたよりも多いのではないだろうか。

 さて,相変わらず気になるのは,東京−新青森駅間の所要時間の比較である(ツッコミが細かい?)。

■ 東北新幹線開業後
 上りは,新青森〜八戸・乗り換え〜東京が最短で3時間20分。
 下りは,(       〃        )3時間23分。

■ 現行
 上りは,青森〜八戸・乗り換え〜東京が3時間59分(3時間20分+39分)
 下りは,(      〃     )3時間59分(3時間23分+36分)

 ということで,上りは39分,下りは36分の短縮ということになっている。

 が,これはどう考えてもウソが入っているよね。
 新幹線が到着するのは新青森駅であって,比較となる青森駅になっていない。

 現行の奥羽本線新青森駅〜青森駅の所要時間は6分。新幹線ホームから在来線ホームへの乗り換えに,約7分かかるとすると,東北新幹線開業後の数値には,約11分13分(足し算ができなかった)の時間を加えなければ正当な比較にはならない。

■ 東北新幹線開業後
 上り 青森〜新青森〜八戸・乗り換え〜東京が最短 3時間33分(3時間20分+13分)
 下り(        〃          )3時間36分(3時間23分+13分)

 ということで,東京−青森間は,現行の3時間59分から上り26分,下り23分しか短縮していないことになる。

 大規模な工事を行い,現行の青森駅から離れた位置に新青森駅の設置を我慢したわりには,あまり高速化されていない印象だ。
 奥羽本線の新青森〜青森間の電車がどのような電車になるのかはよくわからないが,東北地方を席捲している701系…いわゆる「走るんです」だったりしたら,なんだか嬉しくないね。

青森駅:新幹線の影響は?
 新幹線を待ち続けた青森だが,結局青森駅に新幹線はやってこなかった(2006年8月)

青森駅:新幹線の影響は?
 現行の青森駅を中心にした賑わいが,今後どうなって行くのか心配である(2006年8月)

青森駅:新幹線の影響は?
 青森駅前の商店街(2006年8月)

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JR美祢線廃線を否定! 早ければ11月から復旧工事を開始

 JR美祢線、廃線を否定 広島支社長「現時点でない」(2010年9月9日 朝日新聞)

 JR西日本広島支社の杉木孝行支社長は8日、7月の豪雨災害で不通となり、地元で存続が懸念されているJR美祢線について「現時点ではそういう考えはない」と廃線の可能性を否定した。早ければ11月から復旧工事を始めたい意向で、全体で10億〜15億円かかるとの見通しも示した。

 拙ブログにも「美祢線 廃止」というキーワードで訪問していらっしゃる方がとても多く,地元の方にはこのまま廃線になってしまうのではないかという懸念が広まっていたと思うが,JR西日本広島支社長が自ら強く廃線の可能性を否定したそうだ。
 不安を感じていた人には,心強いニュースになったことだろう。

 復旧工事に関して,JRと山口県が工期の問題や技術面での協議を行っているところだということで,復旧までは少なくとも1年かかるとの見通しは変わっていないそうだ。

 JRと県や沿線自治体が話し合う場が増えて,JR美祢線が地元には欠かせない公共交通機関であると言うことを確認し合い,地域住民の方が使いやすい鉄道に生まれ変わることを期待したい。

【関連記事】
2010年7月29日/大雨被害の美祢線がやばいかも

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2010年9月 8日

明知鉄道にグルメ列車 キノコづくしや恵那の四季堪能

 明知鉄道にグルメ列車 キノコづくしや恵那の四季堪能(2010年9月8日 朝日新聞)

 グルメ列車は、赤字で厳しい経営が続く同鉄道が乗客増の一助にと企画運行している特別列車。「きのこ列車」ではマツタケなど9種のキノコ料理入りの弁当が味わえ、「四季の里山 花白ごほうび列車」では恵那栗、山菜など恵那の食材で彩った弁当が賞味できる。沿線の仕出し料理店4店と提携しており、調理してもらった弁当を恵那発午後0時45分の明智行きの車内で乗客に食べてもらう。

 往復の運賃込みで一人五千円。ちと高いような気がしないでもないが,うまい料理が食べられれば,案外満足できそうかも。もちろん,明知鉄道沿線のきれいな風景はプライスレスということで。

 で,四季を謳ってるからには,冬・春・夏にも運行するんですよね>明知鉄道さん

 あ〜あっ,キノコ食いてえ。

明知鉄道
 明知鉄道東野駅を出て急勾配を登っていくディーゼルカー(2003年2月)

明知鉄道
 東野駅を出てしばらくは田園地帯を走る(2003年2月)

明知鉄道
 すぐ両側に急峻な山が迫ってくる(2003年2月)

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2010年9月 6日

北陸鉄道石川線、赤字進み苦境,利用者アンケート実施へ

 北陸鉄道石川線、利用者アンケート実施へ 赤字進み苦境(2010年9月5日 朝日新聞)

 昨年10月末に北陸鉄道石川線の鶴来—加賀一の宮間が廃止されて間もなく1年。部分廃線後も同線の利用客減少と赤字拡大は進み、残る野町—鶴来間の存続も危うい状況が続く。地域を支えてきた鉄道の苦境をもっと知ってもらおうと、5、6両日に利用者を対象にアンケートが実施される。

(中略)

 利用者の減少を受けて、これまでに様々な利用促進策が取られてきた。00年には自転車を折り畳んだり専用の袋に入れたりしなくても、そのまま車内に無料で持ち込める「サイクルトレイン」が通勤通学の時間帯や冬季を除く期間でスタート。昨年8月には、国の緊急雇用対策を利用して、車内での切符販売や高齢者の介助などに携わる女性アテンダント5人が交代で乗務を始めた。

 いずれも利用者にはおおむね好評だが、アテンダントには3年間の雇用期限があるなど、効果は限定的で、利用者増加に直接結びつくまでには至っていない。

 北陸鉄道石川線の,鶴来〜加賀一の宮間は昨年10月に廃止されたばかりだが,北陸鉄道の2009年度の連結決算は,主力のバス、鉄道事業ともに厳しく、4期連続の減収減益となった。特に鉄道事業は平成に入ってからでは最大の約1億円の赤字。同社は「このままでは存続は厳しい」として、沿線自治体や県に引き続き協力を求めていく考えを示していた。

 誰が見ても,鉄道事業は厳しい状況にあるようだが,そんな中での「日本航空株の売却損が約1億5千万円」ってのは巨額すぎるし,アンケートの前にはそのけじめも付けてほしいものだ。

 しかし,正直言って,この北陸鉄道石川線の利用者アンケートは,先月初めのニュースに載っていた富山市のモビリティ・マネジメントのアンケートとはずいぶん発想が異なっているように思う。
 富山市のほうは,最終的には利用者が自発的にクルマから公共交通機関に乗り換えてくれるように,回答に応じて公共交通機関の利用を提案して行くものであるのに対して,勝手な印象ではあるが,北陸鉄道石川線が公共交通としての利用価値が少ないことを証明し,廃線もやむなし……という方向に持って行く基礎資料を作ろうとしているんじゃないかという気がしている。

北陸鉄道の鉄道事業が約1億円の赤字……存続問題へ
 水が入ったばかりの田んぼの中を走る石川線の電車。[2004年4月30日撮影]

北陸鉄道の鉄道事業が約1億円の赤字……存続問題へ
 現在の石川線の終点,鶴来駅。[2004年4月30日撮影]

北陸鉄道の鉄道事業が約1億円の赤字……存続問題へ
 石川線のかつての終点,加賀一の宮駅。[2004年4月30日撮影]

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鉄道荷物輸送の復活なるか?

 宅配便、地下鉄で運んでみたら…エコになる?(2010年9月2日 読売新聞)

 地下鉄を使って宅配便の荷物を運ぶ全国初の社会実験が2日、札幌市で始まった。輸送をトラックから地下鉄に切り替えることで、二酸化炭素の排出量を減らすとともに、交通渋滞緩和につなげる狙い。

 来年度以降の実用化を目指し、乗客への影響や安全性、コストなどを検証する。

 輸送実験で地下鉄に積み込まれる荷物(札幌市の地下鉄東西線大通駅で)=原中直樹撮影
 この社会実験は,ヤマト運輸や大学教授らでつくる「都市型新物流システム研究会」と札幌市が今日直視手実施したものらしい。ゆうパックや佐川じゃなくて,ヤマト運輸だというのがさすがだと思った。  混雑した時間帯に車内に荷物を積み込むのは大変なので,その点をどう解決するのかも課題になるだろう。

 駅構内に宅配業者の事務所を置き,荷物の追跡システムと組み合わせれば,安全で効率的(低コストで渋滞への影響を少なくできる)な方向に持って行けそうなきがする。

 実験が上手く行って,都会の電車の一部に荷物車が復活することを期待したい。はっきり言って,こういう細かで新しい具体策の積み重ねからじゃないと,目指す低炭素社会なんてのはできっこないんだから。


【関連ニュース】
2010年2月11日「新聞専用列車廃止は時代に逆行では?」
新聞専用列車、3月で幕 経費削減「時代の流れ」(河北新報

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2010年9月 4日

Apple が Special Event September で新 iPod 等を発表!

 Apple が Special Event September 2010 で新 iPodラインナップ,Apple TV,そして iTunes 10. 等を発表した。


同時発表されたiPod shuffle,iPod nano,iPod touch のサイズ比較(AV Watch)

 iPod shuffle が先祖返りしたような仕様(市場からの要求が大きかった?)で,ちょっとサプライズだった以外は,ほぼ事前の予想通りだったように思う。Apple TV は,旧Apple TVのユーザー(物好きだな俺って)からすると,正常進化だと思うが,映画の配信どころか,テレビ番組の配信すらも始まっていない日本では話題にならないだろう。
 正直なところ,日本はいまだに「ネットで借りてポストに返却」ってのが便利だと思っている人が多い国なので,Apple TVの凄さが伝わるには,あと5年ぐらいは掛かりそうな気がする。

 さて,新製品のあれこれ,個人的にはどうしようかな……と考えている(ブログだから,誰も興味なさそうなことを書いても文句は言われまい)。なぜなら,我が iPod・Apple TV 群に問題が生じているからだ。


 増殖が止まらない手持ちの iPod 群(2008年9月)

 ひとつは,便利に使っていた旧Apple TVの調子がいまいちなこと。
 しかし,リビングのスピーカーでiTunesの音楽を聴くという目的は,AirMac ExpressのAirTunes機能で十分だし,日本で映画やテレビ番組の配信が始まる気配はないので,これはもう用済みということでいいかなという気分だ。

 もうひとつは,1ヶ月ほど前に「音楽(ほぼ)全部入り iPod」として使ってきた iPod 60GB のバッテリーが膨らんで,とうとう動かなくなってしまったことである。
 こっちのほうは問題で,今回のAppleの発表では,このiPod 60GBの後継機種……具体的には,flash driveで160GB以上の容量を持つiPodを期待していたのだ。


 バッテリーが膨らんで壊れた iPod 60GB(2010年7月)

 だが,残念ながら,新 iPod touch の最大容量は64GB止まり。既に容量不足だった iPod 60GB の代わりとしては心許ない。iPod classic 160GBのflash drive版がでたら,それで決まりだと思っていたのだが,iPod classicのほうは価格変更(22,800円と,ちょっと安くなった)のみ。

 うーむ,ガジェットとして新iPod nanoは魅力的だが,ここはあきらめて iPod classic を買うしかないかな。なんか,全然ワクワクしない決断だな。


 以下は蛇足。Appleにはいっぱい貢いでしまっていることを実感する……。


 iPod 30GB と iPod nano(2005年9月)
 最近,このiPod nanoはバッテリーの発煙・発火問題で話題になっている。


 iPod 5GB と iPod nano(2005年9月)
 この初代 iPod に使われていたホイールの官能的な動きは最高だった。

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2010年9月 2日

高校野球の一塁へのヘッスラ批判は妥当なのか

 過去の気象記録をことごとく上回るほどの猛暑だったこの夏,同じように熱かった甲子園の高校野球が終わった。

■ 興南は強かった

 優勝した興南高校は強かった。各打者が思いきってボールをたたく(しかも引っ張る)打撃の集中力。島袋君のここぞというときの,上向きスピンのかかった見事なフォーシーム。興南高校には,本州の強豪チームのような恵まれた練習環境は無いと思っているのだが,いったいどんな練習をしているのか,見てみたくなった。

 福島県高校野球史上最強チームだと多くの人が認めていた聖光学院。春の東北大会では仙台育英に勝って優勝し,広島の広陵,大阪の履正社,奈良の天理の4校が集まった「死のブロック」を勝ち抜いたことで,その実力が紛れもない事実であることを証明してくれた。その聖光学院でも歯が立たなかったほど,興南高校は強かった。


■ 野球は面白い

 高校野球に対しては根強い批判がある。チームや選手個人をドラマチックに取り上げすぎるとか,真夏の暑い時期に開催し,ピッチャーに連投を強いるスケジュール等々,批判には共感する部分も多い。

 でも,純粋に野球(ベースボール)としてみたときに,高校野球にも面白い部分があるのは確かだ。
 もちろん,選手の技量ははるかにプロ野球の選手のほうが上だから,たとえばプロ野球の選手がサッとボールを捕って投げるという動作をしただけで観客を感動させる(野球をやってた人なら絶対にわかるはず)ような凄さはない。

 しかし,プロ野球よりもボールが飛ばない高校野球では外野の守備位置が浅めになるため,外野の間を抜ける打球が長打になって,二塁や三塁でタッチプレーになることが多いのだ。打球が外野手の間を抜けたときの野手の連係プレーの動きと,ベース上でのタッチプレーは,選手の技量によらない野球の最大の楽しみのひとつである。


■ 一塁へのヘッスラ批判

 さて,高校野球への批判の中で,ちょっと気になるのが「一塁へのヘッドスライディング」批判である。それも,ヘッドスライディングは危険だからという批判ではなく,「走り抜けたほうが早いのに」「思い出作りのヘッドスライディングだな」というものだ。

 確かに,私が野球をやっていたときも「一塁は駆け抜けろ」と指導された。「一塁は駆け抜けたほうが早い」と。それが,ほぼ常識となっているのは確実である。
 これは本当に科学的に根拠のあることなのだろうか。実測した数値はあるのだろうか?

 高校生のヘッスラを批判する人は,実際に実測を試みた雑誌なり新聞なりを読んだことはあるだろうか?


■ 古い新聞記事の記憶

 私は実測値が載った新聞記事を読んだ記憶がある。ずいぶん古いことなので,何年何月という記憶はまったく残っていないが,確かに一度だけ,朝日新聞の記事に,一塁へのヘッドスライディングは本当に遅いのかどうかを実測した結果が載っていたのを覚えている。
 新聞の縮刷版等を調べなおしたわけではないので確証はない。しかし,載っていた結果が印象深かったので,記事の概要は覚えている(記事には到達時間の測定結果まで記載されていた)。それは次のようなものだった。

 ヘッドスライディングが得意な選手は,ヘッドスライディングしたほうが早い


■ 一塁ベースを駆け抜けたほうが早そうな理由

 一塁ベースを駆け抜けたほうが早いという理由に,陸上競技を例に挙げる人がいる。

 ひょっとしたら,女子100m走・100mハードルのゲイル・ディバース選手を思い出す人がいるかもしれない。バルセロナオリンピック,アトランタオリンピックの女子100m走の金メダリストである。
 バルセロナオリンピックの女子100mハードルでも金メダル候補だったディバースは,最終ハードルを跳び越える瞬間までは他の選手を大きく引き離していた。が,その瞬間に最終ハードルに脚を取られ,よろめき,ヘッドスライディングをするかのように転倒しながらゴールしたのだった。ほんの少し前につんのめっただけだったのだが,その瞬間に4人の選手に抜かれ,順位は5位だった。

 2位以下の選手を大きく引き離し,あとは(ヘッドスライディングするように)前に倒れるだけでも1位でゴールできそうな位置での出来事。そのまま駆け抜けたほうが圧倒的に早いことを示すかのような出来事でもあった。


■ 野球のベースランニングは走り幅跳びに近い?

 しかし,野球のベースランニングは,単にある地点を駆け抜ければゴールとなる陸上競技の短距離走とは違っている。

 野球のベースランニングにはベースを踏むという行為が重要になる。これが最大の違いだ。全力で疾走した状態で一塁ベースを踏むためには,事前に足を合わせるというある意味で高度な調整が必要になる。
 草野球をやると,初心者がベースを踏まずに走り抜けてしまうことがよくある。野球をやったことがない方には信じがたいことかもしれないが,これは本当によくあることだ。

 ゴールの瞬間に足を合わせてベースを踏まなければいけないという意味で,ベースランニングは100m走よりも走り幅跳びの助走に近いと言えるかもしれない。一塁ベース付近を早く走り抜けるだけではセーフにならないのだ。

 ただし,一塁ベースに足を合わせることをせずに,ひたすら全力疾走できる方法がひとつだけある。それがヘッドスライディングで一塁ベースに触塁するケースである。


■ スライディングには2種類ある

 と言っても,フット・ファースト・スライディング(脚からの滑り込み)とヘッドスライディングの2種類という意味ではない。二塁,三塁に到達するときのように,オーバーランできない状況でのスライディングと,一塁と本塁のように,オーバーランが許される場合のスライディングがあるという意味である。

 スライディング中の状態,つまり砂や芝生の上を身体が滑っている状態は,推進力がまったく存在せず,速度を低下させる摩擦力のみが働いているので,滑っている時間が長ければ長いほど(つまり遠くからスライディングすればするほど),ベースへの到達時間は遅くなる。
 二塁や三塁ではオーバーランが許されないため,全力疾走状態の速度をベース上でゼロにするために,スライディング時間を長くする必要が生じる。これは仕方がない。オーバーランしてしまっては,アウトになる可能性が高くなるし,逆にベースの近くでスライディングすれば,急激な減速のためにケガをする危険性が高くなる。

 走り抜けるよりも早く一塁ベースに触れるためには,オーバーランできない状況でのスライディングのように,一塁ベースのかなり手前からヘッドスライディングしてしまっては,遅くてダメなのは当たり前なのである。


■ 一塁へはヘッドスライディングのほうが早い場合がある!

 一塁へヘッドスライディングで早く到達する,それはどういう場合か。ここまでの考察から結論は導かれる。

 一塁ベースのすぐ近くまでひたすらに全力疾走し,指先からベースに触塁した後はベースの上を勢いよく滑り抜けるぐらい(滑り終わったときにはベースが腹や太股の位置にあるぐらい)ベースの近くでヘッドスライディングするのだ。一塁ベースではオーバーランが許されるので,指先で一度ベースに触れていれば,その後は一塁ベースに触れていようがいまいが関係ない。

 ただし,ケガをする危険性が増えることを考えると,指導者は「ヘッドスライディングしたほうが良い」とは言えないと思う。

■ 素人のたわごとにしないために

 素人がかすかだってんでねえ(適当なことを言うもんじゃない),という批判がありそうなことを長々と書いてしまった。根拠らしいものが少しでもあったほうが良いので,朝日新聞の記事,もしくはその元になった情報を探してみた。新聞社のWebサイトは,過去の記事の検索に対してまったく無力なのは,まあ,ご存じの通りである。

 しかし,さすがは国立情報学研究所「CiNii」のデータベースである。たぶん朝日新聞の記事のネタになったと思われる論文が見つかった。

 大阪体育大学 淵本隆文氏の「一塁ベースへのヘッドスライディングに関する動作学的分析」という1995年の論文である。

 この論文の結論は以下の通りである。

 一塁ベースへのヘッドスライディングは、ベースタッチまでのスライディング距離を短くすれば、走り抜けるよりもベースタッチが早くなる可能性が示唆された。

 興味のある方は,読んでみることをお勧めする。

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2010年9月 1日

こんどはNHK「SONGS」で山口百恵特集

 全国の山口百恵ファンの方は,昨年発売の『ザ・ベストテン 山口百恵 DVD ─ 完全保存版 ─』,そして今年の『山口百恵 in 夜のヒットスタジオ』というDVDボックスを観るのに忙しくて,寝不足の日々を送っているに違いないと思う。

 生オーケストラをバックにした生番組で生声の歌を披露する映像は,百恵ちゃん本人の魅力に加えて,お金をたくさん使ったであろうセットや,生番組で鍛えられたカメラマンの見事なカメラワークが,歌謡曲全盛時代のすごさを伝える貴重な映像記録だということを,否が応でも感じさせてくれる。

 さて,TBSが出し,フジテレビが出したとすると,次はどこが出してくるかが気になるのは人情だ。日本テレビには,歌手山口百恵を生み出した『スター誕生!』というオーディション番組他の画像が残っているはずだし,テレビ朝日(当時NET)だって負けてはいないだろう。

 そんな中,次に行動を起こしたのはNHKの「SONGS」という番組だった。
 その放送予定ページに,「山口百恵」の文字を発見した。

「SONGS」は、
大人の心を震わせる新しい音楽番組です。
1960年代から現代に至るJ-POPの名曲を中心に、
クオリティの高いサウンドと映像で
“いい歌をたっぷりと”お届けします。

 放送予定は,
・2010年9月29日(水)~山口百恵 Part1~
・2010年10月6日(水)~山口百恵 Part2~

 NHKでは,南極昭和基地の生中継の特別番組の際に,他では歌ったことのない「ANTARCTICA(未来大陸)」という山口百恵の歌を使っている。この歌は,その後のCDにもDVDにも含まれておらず,幻の映像になっているので,ぜひとも「SONGS」の中で放映されることを期待したい。


[19歳という史上最年少で紅白歌合戦紅組のトリで歌う山口百恵]


[NHKでしか聴けなかった“プレイバック Part2”の「真紅(まっか)なクルマ」バージョン]


[沢田研二との『ふたりのビッグショー』のときの映像。“曼珠沙華”は二十歳の記念碑となるアルバムの曲なので,セリフに「私はもう二十歳」と入る映像は貴重]

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北海道新幹線の札幌延伸に高いハードル

 北海道新幹線の札幌延伸に高いハードル 国交相が3条件(2010年8月28日 朝日新聞)

財源が課題とされてきた北海道新幹線の未着工区間の取り扱いについて、前原誠司・国土交通相は27日の定例記者会見で、着工の条件として「青函トンネルを含む共用走行区間の運行形態」「並行在来線のあり方」「最高設定速度の見直し」の三つを示した。新幹線と共用走行することになる貨物列車の安全確保などを求めたものだ。

 前原国交相は「条件が確実に満たされることを確認したうえで着工したい」としているが、課題がすべてクリアできなければ着工は先送りとなる。ハードルはいずれも高く、「札幌延伸」が近づいたとは言えない情勢だ。

 北海道新幹線の札幌延伸(函館延伸)も,課題が多いね。着工の条件の三つを順番に見ていく。

(1) 青函トンネルを含む共用走行区間の運行形態

 記事に「トレイン・オン・トレイン」が出てきていないので,既に荒唐無稽な案として相手にされなくなったのかな。逆に,政府案として「新たな別のトンネルの建設」というすごい案まで出てきて,その困難さが際だっている感じだ。
 実際問題,すれ違う際に新幹線が減速するしか無いんじゃないの……という印象だ。青函トンネル内で新幹線とすれ違ったわけでもないのに,貨物列車のコンテナが吹っ飛んだ事故もあるので,ちょっと怖いけどね。函館・札幌までの所要時間は長くなっちゃうけど,その間に10年以上かけて槍でもトレイン・オン・トレインでも,開発してもらいましょう。

(2) 並行在来線のあり方

 並行在来線の経営分離に関しては,不思議なことに函館市だけが揉めているらしい。今まで大沼方面から函館市まで走っていた鉄道が,函館本線だと思っていなかったのだろうか。よくわかっていなかったのなら,事前に「新函館(仮称)−函館間は並行在来線じゃないですよね?」と訊いてみれば良かったのにね。

 ■路線平面概要図
(リンク切れ)
北海道七飯町の北海道新幹線サイトより

 新函館(仮称)から函館市内への乗客を運ぶのは,バス・車・そして第三セクターとなった函館本線なのだから,新函館(仮称)より北の並行在来線よりもはるかに乗客数を期待できる区間だし,大沼公園も含めて,積極的に第三セクター鉄道を函館市が中心となって運営しても良いんじゃないだろうか。

 残念ながら函館市電はレールの幅がJR在来線とは異なっているので,富山市みたいに簡単にLRTに置き換えるわけにはいかないだろうが,もう少し街の活性化を考えて,函館市内や湯の川温泉,五稜郭を走る函館市電が新函館(仮称)まで,さらには大沼公園まで乗り入れるような,積極策を考えるべきではないかと思う。

(3) 最高設定速度の見直し

 2015年度末開業予定の新青森−新函館間の最高速度を,260km/hから,乗客の利便性を上げるために「国が」最高速度の引き上げを検討しているらしい。2015年というと,残りわずか5年しかないんですけど……。

 などと,新幹線についてダラダラと書いてはみたものの,個人的には函館市の人口急減のほうが気になっている。雑誌のアンケートなどで,住んでみたい街,行ってみたい街のトップクラスの街が,これではちょっと寂しい。

[函館市の人口変化(Wikipediaより)]
 1980年(昭和55年) 345,165人
 1985年(昭和60年) 342,540人
 1990年(平成2年) 328,493人
 1995年(平成7年) 318,308人
 2000年(平成12年) 305,311人
 2005年(平成17年) 294,264人
 2010年(平成22年) 282,604人

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