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2010年8月23日

交通手段の自発的転換を促すモビリティ・マネジメント 富山

 以前から富山市の都市交通行政に興味があって,富山市が発行している「ふるさとメール富山市」というメールマガジンを購読している。発行は富山市で,記事の内容は富山新聞データベースサービスからの抜粋とのこと。(同様に,高岡市の情報メールマガジン「ほっとホットメール高岡」も購読している)

 送られてくる記事は富山市に関するものだから,富山市民か故郷が富山にある人以外にはピンと来ないものも多い。けど,ときどき都市交通行政に関してはハッとさせられる記事があって面白いのだ。

 さて,富山市といえばコンパクトシティ(現在は「コンパクトなまちづくり」)である。
 コンパクトシティとは,郊外に向かって膨張してしまう都市機能(商業,医療,教育等)を,公共交通機関でのアクセスが容易な都市の中心部に集約し,徒歩圏内での生活を可能にすることで,都心部への住居回帰,都市生活でのコスト・環境負荷を削減しようとする都市政策で,その先頭集団にいるのが富山市である。

 もちろん,郊外に住宅を持ち,移動はもっぱらマイカー。道路が混雑する都心部よりも,ロードサイドにあるショッピングモールで買い物をするほうが面倒くさくないし楽しい……という意見は多いだろうし,実際にそういう生活をしている人も多い(それしか選択肢がないという問題もある)。

 だから,実際にコンパクトシティを目指そうとしても,具体的な施策が伴わず,都市計画書にWordで描かれた餅になってしまっているところも多いと聞く。

 そんな中,具体的な活動が目立っているのが富山市なのだ。2010年8月6日付けの配信に,次のような記事があった。

2010年08月06日(金)付富山新聞朝刊----------------------------☆

◎車から自発的に転換 富山市 全市的な新施策検討 

 富山市は路面電車や鉄道、路線バスなどの利用者を増やすため、市民に交通手段の自発的転換を促す新しい手法「モビリティ・マネジメント」の全市的な取り組みを検討している。市は「広く意識の変化を図り、公共交通の活性化につなげたい」(交通政策課)としている。

 モビリティ・マネジメントは、行政が個人とコミュニケーションを図りながら、移動を過度に車に頼らず、公共交通や自転車などに自発的に転換するよう誘導する交通政策。1990年代後半以降の考え方で、グッズを配布するような一方向の利用促進キャンペーンではなく、双方向の意思疎通などで意識の変化を促す。

 全国でさまざまな方法が試みられ、福岡市では職員が各家庭を戸別訪問して公共交通の利用を促し、大阪府池田市では地域通貨と連携した取り組みをしている。小学校で環境問題と組み合わせて公共交通の重要性を児童に教えている自治体もある。
(続く)

 マイカーから公共交通機関への転換は,この記事にもあるように,全国の都市に共通の問題である。しかし,実態は「○○鉄道を使いましょう」「乗って残そう○○電鉄」という利用促進キャンペーンにとどまってきた。
 なかなか公共交通機関への転換は難しく,ローカル線が廃止になった後は代替バスへの転換も進まず,マイカーへの移行が交通渋滞を悪化させてしまっているという話も漏れ聞く。

(続き)  富山市では、2008年10月に柳町小で市と北陸信越運輸局が交通エコロジー教室を開いたが、全市的な取り組みはない。

 このため、今年度はまずJR高山線の沿線住民を対象とした記名式のアンケートを実施し、回答に応じて公共交通の利用を提案する方法でモビリティ・マネジメントを実施する予定。沿線住民だけでなく、市民一人一人が移動手段を考える機会を設けるため、アンケート以外にもモビリティ・マネジメントを実施したい考えだ。

 今後、効果的な手法を検討するが、市では「交通政策としては新しい分野で、確実に成果が得られる手法は確立されておらず、多様な事例を研究したい」(交通政策課)としている。

 JR高山線は廃止が取りざたされている路線ではないが,他の地方都市のJR路線と同様の問題を抱えている。そんな中,富山−猪谷間はJR西日本の管轄(猪谷から岐阜まではJR東海)になっており,富山市が主体となった社会実験が行われている。運行本数が富山−越中八尾で毎時2本,越中八尾−猪谷で毎時1本と,JRのローカル線としては破格の運転本数が確保されているのだが,この実験が上手く行くかどうかは,沿線住民の利用促進が進むかどうかにかかっている。

 JRが赤字による路線廃止を言い出した途端に,そんな話は聞いていない,○○線が無くなったら困る,廃線なんてあり得ない……と騒ぎ出す自治体には,富山市の取り組みをよく見てほしいと思う。そんなことは昔からやってるよ,と言うことであれば申し訳ない。

 まぁ,富山市の取り組みには今後も注目していきたい。

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 JR高山線猪谷駅に停車する富山行きのディーゼルカー(写真左)[2001年5月]
 右の車両は神岡鉄道神岡線のディーゼルカー。神岡鉄道は2006年12月に廃止になってしまった。

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