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2010年7月26日

スイスの氷河急行脱線事故について

 スイス列車事故 日本人1人死亡、3人意識不明に(2010年7月24日朝日新聞)

 列車は機関車と客車5両の6両編成。事故は23日正午(日本時間午後7時)ごろ、スイスとイタリアの国境近くのカーブで起きた。列車は南部のツェルマットから中部のアンデルマットに向かう途中で、後ろの3両が脱線し、うち2両は完全に横倒しになった。

 この事故には驚いた。重傷の方の一日も早いご回復をお祈りしたい。

 有名な氷河急行の事故である。
 急行とはいうものの,評定速度が30km/h程度なので,スピードを出して突っ走る列車ではない。一部にはアプト式のラックレール区間もある観光列車である。
 マスコミでは,意図的にかどうか「氷河特急」という呼び方が使われ(昔からそういう呼び方が無かったわけではないが),スピードを出した列車が派手にひっくり返った印象に報道されているが,決してそんなことはないと思われる。

 映像を見る限りでは,事故が発生した場所はゆるやかな(脱線防止レールが見あたらない)S字カーブが連続する区間で,脱線の原因になりそうな分岐点などもなさそうである。

 列車は機関車が牽引する6両編成の客車列車で,4両目以降が脱線,5両目と6両目が転覆しているようだ。編成の後ろのほうが脱線しているということは,速度超過でカーブに突っ込んだことも考えられるが,氷河急行に関してそれは考えられないのではないだろうか。

 重い機関車や3両目までが脱線していないことから,線路側に問題があったようにも思えない(現場では30℃以上の高温が続いていたとか,雨で地盤がゆるんでいたのではないかという話もあるようだが)。最初に脱線したのが4両目の食堂車だったということで,その台車周りにも調査の目が行っていることだろう。

 現在のところ,日比谷線の電車が中目黒駅近くで起こした「競合脱線」のような現象が起きたのではないかという説が有力らしく,気になっている。

 意外なことかもしれないが,スイスは鉄道王国である。日本の在来線鉄道および公共交通機関が目指すべき総合交通体系を実現している国であり,そのスイスの鉄道で発生した事故として,原因の究明がどのようになされるのかには注目したい。

 知る人ぞ知る鉄道王国スイスについて書かれた面白い本がある。
時刻表に見るスイスの鉄道
 『時刻表に見るスイスの鉄道 ─ こんなに違う日本とスイス ─ 大内雅博著』

 この本によると,スイス鉄道の鉄道としての魅力は以下の点にあるそうだ。
(1) 多い列車本数と種類
 線路1キロ当たりの1日の列車運転回数:日本75.3回,ドイツ47.5回,フランス29.8回,スイス89.7回と,列車本数が多い。
(2) 交通機関同士の連携
 国鉄と私鉄にまたがることを意識せずに乗車できる。鉄道と高速バスの競合もない。共通運賃制度は,切符一枚で鉄道にもバスにも路面電車にも乗車できる。各交通機関が国内の総合交通体系の中できちんと位置付けられ,それぞれが協調している。
(3) 美しいパターンダイヤ
 早朝から深夜まで毎時の発車時刻「分」が揃っている。また,列車同士の接続を考慮した巧みなダイヤ後世になっている。

 各交通機関がバラバラにサービスを行い,「会社間の競争がサービスを高める」と言われる日本とは対極の,総合交通体系を実現しているのだ。

 私は,駅のホームから駅前のバス停までが遠く離れていることを,他人から嫌がられるほどしょっちゅう嘆いているのだが……

ブルック駅とバス発着場
 スイスのブルック駅では,駅のホームとバス乗り場が一体化しているらしい。何と素晴らしいことではないか。なぜこういうことが日本でできないのだろうか。

 と,話がどんどん脱線してしまったので,このへんで終了。返す返すも,お亡くなりになった方のご冥福と,ケガをされた方の一日も早いご回復をお祈りしたい。

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コメント

本日になって、やはり速度超過が原因か?という見解が出て来たようです。http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100730-OYT1T01126.htm?from=y10

しかしまぁ、「35km/h制限のカーブへ56km/h超のスピードで突っ込んだ…」と言われても、日本ならば60km/hでスピードリミッターのかかる原付バイクの速度域レベル。鉄道とバイクじゃそもそも違う、と言えばそれまでですが、『氷河特急(急行?)』というネーミングから想起するイメージとは随分かけ離れたスピードに、戸惑う人も多いでしょうね。

投稿: もりあき | 2010年7月31日 01時03分

 元々ゆっくり走る列車ですが,35km/h規制のカーブへ56km/hで突っ込んだ……ですか。うーむ,よくわかりませんね。

 現地の写真を見ると, http://maps.google.com/maps?q=46.393538,8.123499&num=1&t=h&sll=46.393147,8.123413&sspn=0.002516,0.005472&ie=UTF8&ll=46.393114,8.124647&spn=0.012498,0.012338&z=17 ,前後にもさらにきついカーブが連続してて,事故のあったカーブだけで脱線するほどの速度が出ていたとは思えない感じがしています。

 氷河特急という名称は,マスコミ意外にもスイス政府観光局が「氷河特急」と呼び始めているそうですし,古くからの「氷河急行」派は肩身の狭い思いをしなければならないようです。
「氷河特急」派は,あの「オリエント急行」も,そのうちに「オリエント特急」に変えてしまうのかもしれません。

投稿: 三日画師 | 2010年7月31日 04時13分

最後のバス停と駅ホームが隣り合っている写真で、
「なぜ日本ではできない~~」とかかれていますが、
日本でも小規模ながらありますよ(笑)
熊本鉄道の御代志駅(漢字違うかも)です

投稿: aaa | 2010年9月 6日 16時29分

 熊本電鉄の御代志駅ですよね。
 御代志駅から先が廃線になったのと,バスが同じ熊本電鉄だから,ああいうことができるんですね(たまたまできちゃった感じというか)。
 反対側の藤崎宮前でも同じことができれば良いんですけどね。

投稿: 三日画師 | 2010年9月 6日 19時43分

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