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2010年7月22日

東北新幹線のレールが65℃に上昇「こまち」20分停車

 レール温度65度超 東北新幹線、一時運転見合わせ(2010年7月21日19時7分 朝日新聞)

 21日午後5時32分ごろ、東北新幹線の盛岡—仙台駅間の上下線が、約20分にわたって運転を見合わせた。JR東日本によると、猛暑で、新幹線のレール温度が運転規制値を超過したため。新幹線で暑さによる運転見合わせは珍しいという。

 JR東日本新幹線運行本部の説明では、同社の新幹線は、レール温度が65度を超えると、運転を見合わせる内規がある。岩手県一関市内で超過を検知し、運転を休止。現場で計測したところ51度だったため、再開したという。

 ローカル線では,まれに熱でレールが曲がるトラブルが発生するが,新幹線のレールでのトラブルは珍しいのではないだろうか。

 7月21日の一ノ関の,12時から18時までの気温のアメダス観測データは次のようになっている。

   12時 31.8℃
   13  32.5
   14  32.8
   15  32.5
   16  32.4
   17  32.2
   18  30.7

 さすがに東北,35℃越えの猛暑日となった北関東ほどの高温にはなっていない。問題が発生した時刻が17時22分頃というのがヒントになりそうだ。

 レールの断面を見ると,真上から太陽が当たる踏面は,新幹線が通るたびにピカピカに磨かれて,鏡面になっている。
 金属に光沢がある場合は,一般的に赤外線放射率が小さくなるので,太陽光からの熱入射をいくら跳ね返したとしても,入り込んだ熱が放射で逃げないため,宇宙空間では金属光沢面はかなり高温になる。

東海道新幹線小田原駅の線路
 東北新幹線のレールの写真がなかったので,東海道新幹線小田原駅で撮った写真。
 東北新幹線は確か全線スラブ軌道なので,このような砂利はないはず。

 しかし,ここは地上だ。レールが高温になると自然対流が起こるし,風も多少はあるだろう。太陽が南中した12時から16時頃までの太陽光は,主にレールの光沢面に当たり,対流伝達によって熱が放散したためにレールの温度はそれほど上昇しなかったに違いない。

 しかし,17時になり太陽が西に傾いてくると,太陽の光はレールの踏面(鏡面)ではなく,レールの横の部分に当たるようになる。思い起こしてほしい。レールの側面はかなり黒っぽい色をしている。黒っぽいということは太陽光の可視光線成分を大量に吸収していると言うことだ。大雑把な数値だが,レールの踏面の鏡面部は太陽光吸収率が1%程度なのに対して,レールの側面は50%ぐらいの吸収率になっているのではないだろうか。

 さらに,東北本線は線路が南北に走っているため,レールの西側面は太陽光を正面から受けることになる。これが東海道新幹線や山陽新幹線では,レールが側面から光を受けるのは太陽の南中時前後と言うことになるが,幸いなことに南中時の太陽高度は高く,レールの側面に正面から光を浴びせるほどの位置にはないのである。

 17時になって,太陽光の強度は弱くなったものの,東北本線のレールに太陽光が直射し,レールの温度を65℃以上に上昇させてしまった。レール側面の色や周囲の環境(コンクリート枕木の温度)などを考えると,65℃というのは十分にあり得る温度だと思う。

 運転を停止し,現場で測定したところ51℃だったため,20分遅れで電車の運転を再開したということだが,ここにも少し疑問がある。
 時間が経って太陽高度が下がり,新幹線の防音壁よりも太陽が低くなったために,急激にレールの温度が下がったことは十分考えられる。しかし,新幹線のレールの熱容量は半端なく大きい。たとえ熱入力をゼロにしたとしても,20分間で14℃もさがるというのは考えにくいように思う。

 当初から,この65℃を記録したレール温度を測定するセンサーはどこに何カ所ぐらい付いているのだろうかという疑問がある。本来ならレールに貼り付けてあるべきセンサーがレールから剥がれていた場合,レールの温度は正確に測れず,直接温度センサーに太陽光が当たって,そのセンサーの出力だけ異常に高く出てしまった可能性も考えられる。それであれば,センサーを正しく取り付けることで,20分間でセンサーの出力値が65℃から51℃に14℃に下がることは十分考えられる。

 何はともあれ,新幹線ではレールの温度もモニターして,安全運転に注意を払っていることがわかり,ますます安心して新幹線に乗れると思うと,嬉しくもあるニュースである。

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コメント

こんにちは、クリス_NKです。まさかのニュースにビックリしています。それも一関というそんなに暑くない(と私は勝手に推測している)場所で。それをきちんと科学的に分析した三日画師さんはすごいですね。私は物理はサッパリなのですが、それをわかりやすく解いてくださって感動しております。何はおいても、きちんと対応して安全運転を心がけているというのはありがたいところです。

高温になりうるところでローカル線となると……一番危なそうなのは我らが水郡線の福島県側、磐越西線・磐越東線も危なそうですね。烏山線とか日光線、八高線の高麗川~倉賀野間、わたらせ渓谷鉄道(旧字体がどうあがいても出ませんでした)とかでしょうか。あとは中国地方の山間部を走る鉄道もかなり危険なように思えますが、実際に曲がって運休ですというニュースはあまり聞きません。ただ単に私が聞いたことがない地域でそうなったためなのかもしれませんが。

投稿: クリス_NK | 2010年7月23日 17時11分

 急に暑くなったときに,レールが曲がって列車が運休するというのは,ローカル線では意外に良くあることだと思います。脱線して,原因を調べたらレールが熱で曲がってたとか,数年に1回ぐらいのペースかも。

 よく調べずに書きますけど,真夏よりも6月7月に急に暑くなったときに発生するという印象があります。たぶん,じっくり温度が上がるときには,レールを留める犬釘とレールがじんわりとズレて,レールが曲がらず,急激に温度が上がると,犬釘との摩擦のバラツキで,特定部分に力が集中して曲がっちゃうのではないかと推測します(いい加減な推測ですが)。

 そういえば,車輪がガタンゴトン言うレールの継ぎ目は,夏のレールの伸びを想定して作られているので,夏はすき間が小さく,冬はすき間が大きくなるので,冬はガタンゴトン音が大きいですね。

投稿: 三日画師 | 2010年7月24日 01時47分

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