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2010年5月19日

悩み多き北海道新幹線

 函館—小樽分離 JR改めて意向(朝日新聞)

 JR北海道の中島尚俊社長は12日の定例記者会見で、北海道新幹線の札幌延伸が実現した場合に経営を分離する並行在来線について「函館—小樽間」とする考えを改めて示した。

 これに対し、函館市は今年4月、「函館—小樽間のうち、現在の函館駅と新幹線の新函館駅(渡島大野)間が経営分離されると、道南地域に重大な影響を及ぼす」として、同区間の運営をJRが引き続き行うよう求める地元意見を公表した。

 並行在来線の経営分離……。こればかりは,ミニ新幹線やスーパー特急方式ではなく,フル規格の新幹線を要求した時点で,覚悟しなくちゃならないことだよね。
 いや,むしろ,需要が確実にありそうな新函館(渡島大野)〜函館も一緒に分離してもらうとしたら,長野新幹線の並行在来線として篠ノ井〜長野間を分離してもらうべきだった長野に較べれば,良い方かもしれない(と思うしかない?)。
 でも,函館市の言い分は「新函館(渡島大野)〜小樽間は経営分離されても重大な影響はない」というふうにも読めてしまって,結局自分のところしか考えてないのだろうという雰囲気を感じる。穿った読み方なんだろうけど。


 さらに,驚くことに,新函館駅(現渡島大野駅)の所在地である北斗(ほくと)市の市長は,新駅名を「新函館」ではなく,「北斗」にしろと主張しているそうで,函館市民も北斗市民も悩みは尽きない。

 北斗市は,2006年に上磯郡上磯町と亀田郡大野町が合併して誕生した新市だ。
 上磯町は,函館市の西部の海岸線に位置する町で,合併前の人口は約3万8千人。函館市の工業地帯から連続した工業地帯があるのと,函館市のベッドタウンとして,地方では珍しい人口増加都市である。北斗市の市役所は,もちろん上磯町側に存在する。
 それに対して大野町は,合併前の人口や約1万1千人。小さなローカル駅である渡島大野駅は街の中心から3〜4kmも離れていて,街として家屋が密集している場所は多くない。
 形式上は対等合併かもしれないが,明らかに上磯町に大野町が吸収される構造になっている。

 合併の経緯はよく調べていないが,反対運動が多かったとか,新市名を「上磯市」という強い運動は見られなかったように思う。郡をまたがった合併にしては,実にすんなり合併が済んだという印象だ。
 しかしながら,北斗市の名称を付けた「北斗駅」が,大野町の側にある渡島大野駅に使われることには,上磯町側から反対が出ないわけがない。上磯側の住民の立場になれば,「北斗駅」にふさわしいのは,渡島大野ではなく,市役所の最寄り駅である「清川口駅」や古くから賑わった「上磯駅」だと考えるのは当然である。

 つまり,北杜市長の「新函館ではなく北斗駅にしろ」発言は,函館市民だけでなく,地元北斗市の人口の過半数を占める旧上磯町の賛同すら得られないものだと考える。

 さて,暇なときに「駅前探検君」で,いろいろ乗り換え案内をしてみた。

                         (函館本線)
         (← 北海道新幹線 →)  ┌────
 ・・・・・・(──────◎──────────◎─────(至札幌)
 青函トンネル   木古内└──────┐ ┌┘新函館
          (江差線)    │ │
                  ├─┘(函館本線)
                函館◎

 東京や新青森から函館に行くときの所要時間を調べてみよう。

(1) 新函館まで北海道新幹線に乗って,新函館で並行在来線の函館行きに乗り換えた場合
 (レンタカーなどへの乗り換えを別にして,最も多い利用客のパターンだと思う)
 ・木古内〜新函館駅は 35.6km(推定):所要時間13分
  既存の東北本線新白河〜郡山駅間が実キロ数35.5kmとほぼ同じ区間を13分で走行している。
 ・新函館駅から在来線で函館駅へ。この区間,現行列車の所用時間は約25分

 つまり,木古内〜新幹線〜新函館〜在来線〜函館は:13分+25分で,38分かかることになる。

(2) 北海道新幹線はトンネルばかりなので,海沿いの江差線(JR貨物が1日に50本もの列車を走らせている日本の大動脈である)から,綺麗な車窓(函館湾や津軽海峡が見える)を見ながら函館を目指す場合

 ・現行の線路は,木古内〜函館までを,特急「白鳥」もしくはスーパー特急「白鳥」が,36分〜44分で結んでいる。新幹線を使った場合とほとんど互角なのである。

 木古内〜函館に限って言えば(もちろん青森〜函館,東京〜函館と読み替えることはできる),新幹線を使って新函館で乗り換えて函館を目指すのと,途中の木古内で降りて,そこから特急列車で函館を目指すのは,ほとんど同じぐらいの時間しかかからないのだ。

 しかも,新幹線のトンネルよりも豊かな車窓が楽しめ,しかもどういう車両が来るかわからない(新幹線の連絡列車に1両編成のディーゼルカーってことはないだろうけど)在来線の各駅停車に乗らなくても済むコトになる。

 私なら,車窓を楽しみたいので絶対に,木古内〜函館派だな。

 新幹線が完成した暁には,江差線の特急列車はもちろん削減対象になるけれども,元々100km/hの速度制限区域だし,JR貨物の重量機関車が頻繁に通ることを考えれば,路盤はしっかりしていることは間違いない。また,あの怪しげなトレイン・オン・トレインが実現したとすると,話はまた変わってくるかもしれない。

 あいかわらずまとまりの悪い文章だけど,要は「悩み多き北海道新幹線」も,『若きウェルテルの悩み』のような悲しい結末にだけはならないでほしいと言うことである。

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鉄道」カテゴリの記事

コメント

東北新幹線新青森開業が秒読みとなった今、青函トンネルを介した北海道新幹線の第一期区間(新青森~新函館)の整備は、今年辺りから加速度的に進んでいくんでしょうね。かつて、上越新幹線が工事中だった頃の故郷の様子を思い出します。

それにしても、青函トンネルでの在来線並存による輸送制約の問題、この新函館駅~函館駅間のフィーダー輸送の問題、平行在来線の切り離し問題等々、何を今更という問題点が多すぎるのは、困ったものです。

現在、函館空港は、市街地から程近い湯の川温泉近郊に存在しています。中心街からのアプローチもそれほど悪くありません。現・渡島大野駅に併設される予定の新函館駅は、東京から600kmを越える新幹線沿線において、初めて市街地からのアプローチで空港に負けるターミナルとなりそうです。

函館市も、北海道当局も、JR北海道も、その辺の認識は有るのでしょうか?甚だ疑問ですね。

投稿: もりあき | 2010年5月20日 17時37分

北斗市…この市名も、けっこう微妙です。

既に平成の大合併の先輩格として山梨県に北杜市が存在しており、漢字が違うとはいえ、同じ読み方の行政が存在する事に抵抗感は無かったのでしょうかね。横浜市や千葉市、相模原市にも存在する「緑区」の様なありふれた名前でないだけに、もう少し拘っても良かったのでは?

それ以前に、北海道の南の外れなのに「北斗」を称するのも、札幌市や旭川市、稚内市などに怒られそうです。

津軽海峡対岸の下北半島には、かつて明治維新の後、官軍に敗れた旧会津藩が、藩ごと強制移住させられた「斗南藩」が存在していました。

斗南藩の領土の実態は、酷寒の荒涼たる原野が広がる不毛の地で、まさに流刑地そのものだったそうです。そんな歴史の暗黒面を振り返るとき、北斗、という名に素直に受け入れ難い感情を抱いてしまうのは、私だけでしょうかね?

投稿: もりあき | 2010年5月20日 21時08分

 新幹線の工事は,意外なところで意外なほど早く行われていることがあるので(福井駅は北陸新幹線を想定した高架化工事をしちゃってますし),新函館までの工事もずいぶん進んでいるかもしれませんね。木古内〜新函館で最長の渡島当別トンネルは,既に掘削が始まって,昨年貫通しているようですし。

 長崎新幹線(九州新幹線長崎ルートって言わないと怒る人がいるのかな)も同様ですが,問題点が多いはずなのに,それに関する発表も報道も多くないんですよね。Webで資料を探そうとすると,なかなか見つからないのでストレスを感じます。

 関係者に認識がないのか,知ってて表に出さないのか(隠しても良いことなんて無いはずなのに),何となく後者のような気がするんですよねぇ。

 5月10日の河北新報に,「速度は在来特急並み? 北海道新幹線新青森―新函館間」という記事がありました。

http://www.kahoku.co.jp/news/2010/05/20100510t23020.htm

>国土交通省はいくつか対応策を示すが、結局は新幹線の
>速度を抑える以外に有効策はなく、青森県などからは
>「在来特急と同じスピードなのに新幹線?」と疑問の声が
>上がっている。
>
>青森県は「開業が迫りつつある中、結論が決まっていな
>いことだけを示されても」と困惑気味。「いつどうやって、
>新幹線らしく200キロ以上で走行できるのかを具体的に、
>早期に示してほしい」と求めている。

というような内容なんです。今になって当事者の青森県が本当にこの程度の認識だとは思えないし,新聞社ももっと事情を知ってて書いているような気がします。

 北斗市の市名の由来を探してみましたが,見つかりませんでした。町村合併関係のページには,公募の結果とか,決定理由とかが載ってることが多いんですけどねぇ。北斗は北斗七星に由来ものだとすると,このあたりには何かヒシャクのようなものが多かったのでしょうか。

 北杜市にも違和感を感じましたけど,同じ読み方だけに,さらに輪を掛けて北斗市には違和感を感じます。合併で新しく誕生した地名には,正直,首をかしげるものが多くて,むち打ち症にでもなりそうです。

投稿: 三日画師 | 2010年5月20日 22時31分

こんにちは、クリス_NKです。

函館~小樽を分離する、ということは、北海道新幹線は函館本線倶知安方面経由となるんですね。確かにそうなると近いですからね、まして経営分離となるわけですから「山線」の分離ということになってJR北海道としては御の字かもしれません。

まあそれはいいんですが、正直なところ、「函館」と名をつける以上はやはり函館へのアクセスも考慮すべきだと思います。木古内からの乗り継ぎで函館にシャトル、というのが一番理想的なのは事実でしょう。運賃も安くなりますし。そう考えると新函館駅を盛り込む理由は何なんでしょうかね? 札幌延伸までの一時的なターミナルとしての役割しか果たさないのではないかと思います(現在の八戸駅みたいな感じで)。

ただ、問題はそれで第3セクターに移行するのが函館~小樽ってことですね。室蘭本線アクセスということも考えなければならない問題ですし(これは長万部乗り継ぎで大丈夫にするのかもしれませんが)、北海道の自然環境と本州の自然環境とでは著しく差が生じますし、その辺も課題になるように感じました。

投稿: クリス_NK | 2010年5月31日 18時48分

 北海道新幹線の新函館駅は,在来線との交点で,できるだけ現在の函館駅に近い場所ということで,たぶんあの位置しかなかったんだと思います。

 新函館駅を現在の上磯駅付近に作ることができれば良かったんでしょうけど,上磯駅が海岸線に近すぎて,そこまで新幹線のルートを曲げるのは難しい感じです。

 鉄道での接続はあきらめてしまって,国道228号線バイパスの上磯IC付近に駅を設けたほうが,多くの人が幸せになれたような気がします。結局はあきらめきれずに,木古内からの特急乗り継ぎと変わらないことになってしまいました(実際は,新幹線ができたら木古内−函館を走る特急はなくなっちゃうでしょうけど)。
 函館−札幌間の在来線と,新函館−札幌間の新幹線の所要時間を比較しているWebページもあって,そりゃ反則だろうという気分になります。

 函館本線の山線は既にやばい状況なので,おっしゃる通り,JR北海道にとっては御の字かもしれませんね。

投稿: 三日画師 | 2010年5月31日 21時34分

また、こんな記事が出ました。
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001006210002

こんな事になるのは再三再四、分かりきってる筈だと思うのですが…。

その上で、現・函館駅整備計画に対して、函館市側がJR北海道に約50億円を拠出し、これまでの総額で100億円以上の投資を進めてきたのだとすれば、この上ない税金の無駄遣い、って話です。

おまけに、新函館~函館間が三セク化される暁には、この大金注ぎ込んだ函館駅施設をそっくり買い取らなければならないとかで、もう開いた口が塞がりません。

この問題、市長、市議会、市役所の幹部と、いったい誰が責任を取るのでしょうね?

投稿: もりあき | 2010年6月21日 11時23分

 口が大きく開きすぎて,危うくあごが外れるところでした。

「市幹部によると、文書は残っていないものの、現函館駅を建設する際にJR側と、新幹線用のホームなど乗り入れにも対応できる土地を確保するようやりとりがあったという」

 何やら腐ってますね。この人たちは,「新幹線が来るぞ!」とだけ言ってて,新駅へのアクセスや既存道路への影響,観光地への影響など,新幹線に起因する問題を何にも考えてなかったってことですね。
 ちょっと呆れました。

投稿: 三日画師 | 2010年6月21日 15時35分

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