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2010年3月20日

05年羽越線「いなほ」脱線事故の運航責任者は不起訴処分

 05年のJR羽越線脱線事故、運行責任者ら不起訴処分(朝日新聞)

 山形県庄内町で2005年12月、JR羽越線特急いなほ14号(6両編成)が脱線転覆して5人が死亡、33人が負傷した事故で、山形地検は19日、業務上過失致死傷容疑で書類送検されたJR東日本の運行管理責任者だった新潟支社運輸部輸送課の指令室長、総括指令長、指令長の3人をいずれも嫌疑不十分のため不起訴処分にしたと発表した。

 というわけで,これは本当に良かった。被害者の遺族の方の心情は察するに余りあるが,極めて妥当な判断だと思う。

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 この事件の状況を書いた2009年12月22日の本ブログの記事を下に引用しておく。

 JR羽越線脱線事故、運行責任者3人を書類送検(朝日新聞)

 山形県庄内町で2005年12月、JR羽越線の特急いなほ14号(6両編成)が脱線・転覆して5人が死亡、33人が負傷した事故で、山形県警は21日、運行管理責任者だった当時のJR東日本新潟支社運輸部輸送課の指令室長(54)、総括指令長(52)、指令長(47)の3人を業務上過失致死傷容疑で山形地検に書類送検した。

 このニュースにはちょっとビックリ……。『国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)が08年4月に「原因は瞬間風速40メートルほどの局地的な突風で、運転方法に問題はなかった」と結論づける調査報告書を公表』しており,本来であればそれが尊重されるべきだと思う。
 書類送検となったのは,JR福知山線脱線事故の事故調の委員が報告書公開前にJR西日本関係者と接触したり,報告書案を漏らしたりしたことが判明し,事故調自体の社会的評価が急に低下したことが遠因になっていると思われる。

 ただ,事故現場からわずか800mのところにある風速計が,事故の直前に最大でも12m/s程度だったことや,局地的な突風の予測が現在でも難しいことからも,責任追及よりは事故の再発防止のほうに力を入れてほしかった気がする。もちろん,被害者の遺族の方の心情は察するに余りあるのは当然だが。

 新聞記事の中には,(JR福知山線事故と同様に)車体の軽量化が原因になっている可能性を指摘するものも見られたが,羽越本線で脱線転覆したのは国鉄時代からの重い旧型車両485系だ。
 羽越本線の特急「いなほ」脱線事故の翌年の2006年9月には,同じ485系車両を使用したJR九州日豊本線で特急「にちりん」が竜巻に巻き込まれて脱線転覆する事故が起きている。予見不可能な突風による事故は起こりうるのだ。

 事故の原因を,特定個人の過失に押しつけてしまうのは簡単だが,それによって事故の本質が見えなくなってしまったり,再発防止策が疎かになってしまうことを危惧する。

 鉄道を頻繁に利用していると,少しの強風で列車が止まってしまうことが,昨今増えているように感じられると思う。列車を運行してトラブルになるより,止めてしまったほうが鉄道会社のメリットが大きいからだ。
 今回「現場付近に暴風雪警報が出ているにもかかわらず列車を運行させた責任」を問われて,運行管理責任者が書類送検されたことにより,路線の一部地域で暴風警報,大雨警報,洪水警報……等々の警報が発令されると,現在よりも簡単に列車が止まるようになる可能性が高い。
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コメント

気象予報士@鉄道会社です。
JR東日本防災研究所、鉄道総合技術研究所、気象庁気象研究所、京都大学防災研究所が、ドップラーレーダーを利用した運転規制などの開発を進めています。まだまだ課題があるようですが・・・。
このような知恵は、航空業界には昔からあったのですが、鉄道への応用はあまり考えられていませんでした。
鉄道業界には、気象に詳しい人が少ないので、気象を学んだ学生さんは、鉄道業界に就職してほしい。

投稿: 鉄道気象 | 2010年4月11日 09時36分

 コメントありがとうございます。

 そういえば,松本空港での気圧データ入力ミスの件がニュースになって,空港に気象庁職員が駐在していることを初めて知りました。やっぱり気象と飛行機の関係は密接ですね。

 ドップラーレーダーの鉄道への応用は期待したいです。要所要所に配置した風力計だけでは,希な現象はどうしても取り逃してしまいますよね。

 私は日常の雨の情報を,Webのアメダス(気象庁)とアメッシュ(東京の下水道局)の情報で確認するようにしています。
 アメダスの降水量の数値は正確でも,観測地点が限られます。アメッシュはレーダー雨量計なので,細かなメッシュで降水量分布が5分間隔で移動するところまで見えて便利です(降水量の精度はアメダスほど高くないはず)。

 鉄道の安全性には期待してますので,よろしくお願いします。

投稿: 三日画師 | 2010年4月11日 11時41分

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