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2005年12月10日

そして,「株」はやっぱり怖い

 冬のボーナスの支給日は金(カネ)の話を書いてみる。

 今年の春から,私は毎月の給料に上乗せして退職金を少しずつもらっている。どこの企業も同じような状況だと思うが,昔のような右肩上がり経済の時代ではなくなり(団塊の世代の退職という問題も大きいだろう),企業の退職金準備資金が不足してきたことから,企業は年金や退職金制度の変更を余儀なくされつつある。日本版401Kと呼ばれる確定拠出年金制度の導入もそのひとつだ。

 いろいろ難しくてよくわからない話なのだが,少しずつ積み立てることによって退職金や企業年金の給付を受けるのが一般的であるところを,アリよりもキリギリスの生活を選択した私は,月々の積み立て分を毎月受け取っているというわけだ。毎月少しずつ退職金を受け取ると,税制上の優遇がないとか,勤続年数などを考慮した金額の算定方法が不利になるとか,実はトータルの受け取り分は大幅に減ってしまうのだが,単純な私はやっぱり目先しか考えない「キリギリス」なのである。

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(キリギリス:2005年8月14日 大糸線小滝駅近くでキハ52を待っているときに撮影)

 毎月退職金を受け取るに当たって,入社してから現在までの積み立て分は一括して受け取ることになった。たいした金額ではないが,あれこれ(レコード,CD,旅費,カメラ,パソコン,本……)浪費グセのおかげで,いい大人なのに貯蓄がほとんど無かった私にとっては大金である。

 さて,そのわずかな「大金」をどうするか。現在のような低金利の銀行から金を借りることはあっても良いと思うが,銀行に金を預けることはあまりに魅力がなさすぎる。いろいろ考えた末,数年前に日経平均7000円台まで落ちたところから徐々に上昇トレンドになりつつあるように見えた「株」に注ぎ込んでみることにした。もちろん,時間もテクニカルな知識も無いのでデイトレードなんかは無理だし,毎日株価を見て過ごすなどというストレスのたまりそうなことは避け,5年10年と長期間持ち続けることで利益の出そうな企業を選ぶことにする。
 買ったのは,7&iホールディングス,新日鉱ホールディングス,トヨタ,キヤノン,三菱商事,野村ホールディングス,みずほフィナンシャルグループ,Eトレード証券,JR西日本など,各分野のトップもしくはそれに準じる企業を広く浅く,である。JR東海やJR東日本じゃなくてJR西日本なのは,例の福知山線の事故の後で底値になっているように感じたことと,JR東海は長期間持ち続けたときに発生する確率が高くなると思われる東海・東南海地震のリスクが大きく感じたためである。

 買った後の株価の動きを見るのはなかなか刺激的である。株取引にハマるひとが多い理由がよくわかる気がした。夏以降の株価上昇に乗って評価益が増える中で,若干低迷していた新日鉱HDとEトレード証券が今月になって急騰(Eトレード証券なんか二日間で20万円近く上昇したり)するとか,5年10年の長期間持ち続けるという予定に逆らって,利益確定売りをしたくてたまらなくなってしまった。

 そんなときに発生したのが「ジェイコムショック」である。注文ミスの主として疑われかけたEトレード証券が大幅安になったり,東証が全面安になったりした後,「1株61万円」を「61万株1円」と誤発注したのはみずほフィナンシャルグループのみずほ証券と判明。まさかとは思いつつ,なんとなく感じていた不安が的中してしまった。損失は1000億円とも数千億円とも言われる。みずほ証券が発表した現時点での損失は270億円とのことだが,さらに膨らむ可能性はあるらしい。

 みずほフィナンシャルグループの株価は,明日どのぐらい下がるだろうか,ストップ安だろうか……と不安を感じ,みずほ証券社長の夜中の記者会見を見ながら,生まれて初めての「現物株売り」のボタンを押したのだった。もし売れなかったら,下がったところでもう一株買い増しして,予定通り5年10年と持ち続けよう,と心に決めて……。

 そして迎えた12/9の朝,私の売り注文はあっさり88万円で売れてしまった。損失どころかかなりの利益である。あまりにあっさり売れたので拍子抜けしてしまった。そればかりか,みずほフィナンシャルグループの株価は終値で91万円近くまで上昇したのである。市場は「みずほフィナンシャルグループの体力をもってすれば1000億円程度の損失は軽微」と見たらしい。自分の判断のズレの大きさを情けなく感じるとともに,「株」の世界の不思議さ,怖さを感じた一日だった。

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