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2005年6月 1日

Art Pepper meets The Rhythm Section / Art Pepper


Art Pepper meets The Rhythm Section / Art Pepper

 名盤中の名盤である。
 一曲目の「You'd Be So Nice To Come Home To」を聴く。軽快なリズムセクションのイントロの後,アート・ペッパーがテーマ・メロディーを吹き始める。アルト・サックスの音が,実に艶やかで張りがある。手慣れた感じのレッド・ガーランドの粋なピアノ,ブラシを使った軽快なフィリー・ジョー・ジョーンズのドラム,それらをサポートするポール・チェンバースのベース。このアルバムの録音状態の良さは特筆に値する。スピーカーの前で目をつぶれば,サックスを吹くペッパーが左側にいて,ヘタすると唾が飛んでくるんじゃないかと感じられるほどの臨場感だ。
 ペッパーのソロに入ると,フィリー・ジョー・ジョーンズはブラシからスティックに持ち替える。ここからのペッパーのアドリブは圧巻である。胸に突き刺さるような印象的なフレーズが次から次に,まさに湯水のように溢れ出るのだ。

 アート・ペッパーはいわゆる破滅型のミュージシャンである。自伝「Straight Life」には,酒や麻薬を断ち切れず,盗みもやめられない,ボロボロの生活を送るペッパーの姿が描かれている。このアルバムには,当日になって突然レコーディングがあることを告げられ,大量に麻薬を打ってレコーディングに臨んだ……という逸話がある。
 破滅型の人間は,危ういまでの繊細さ,弱さを持っていることが多い。かのマイルス・デイヴィス・クインテットのリズムセクション──「The Rhythm Section」と定冠詞「The」が付いていることから,唯一無二の存在であることがわかる──とレコーディングをするということは,繊細なペッパーにとって大きな緊張感,プレッシャーを伴うことであったことは想像に難くない。大量の麻薬は,そんなペッパーに無くてはならないものだったに違いない。このレコーディングに関する逸話にリアリティがあるのは,この日のペッパーのアルト・サックスから流れ出るフレーズが,狂おしいまでに感動的で神憑り的だからである。

Art Pepper meets The Rhythm Section / Art Pepper
Art Pepper, alto sax; Red Garland, piano; Paul Chambers, bass; Philly Joe Jones, drums
1. You'd Be So Nice To Come Home To
2. Red Pepper Blues
3. Imagination
4. Waltz Me Blues
5. Straight Life
6. Jazz Me Blues
7. Tin Tin Deo
8. Star Eyes
9. Birks Works
10. Man I Love
Recorded on January 19, 1957, Los Angeles

【参考】

MUCHO CALOR / Art Pepper
 私の愛聴盤。リンク先のAmazonでは一部試聴もできる。一曲目「Mucho Calor」のペッパーのアドリブが聴きどころ。

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