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2005年3月 6日

GETTIN' AROUND / Dexter Gordon


GETTIN' AROUND / Dexter Gordon
 ボビー・ハッチャーソンの「ダイアログ(DIALOGUE)」の欄では,デクスター・ゴードンの素のままの演技が評判だった映画「ラウンド・ミッドナイト」のことを書いた。ボビー・ハッチャーソンとデクスター・ゴードンの競演と言えば,真っ先に思い出すのがブルー・ノートの「GETTIN' AROUND」。一曲目の「Manha de Carnaval(黒いオルフェ/カーニバルの朝)」が人気のアルバムである。

 全曲リラックスした雰囲気の演奏が続くが,やはり「Manha de Carnaval」が最も印象に残る。ビリー・ヒギンズのゆったりしたリム・ショットとブラシを効果的に使ったボサノバのリズムで始まり,デクスター・ゴードンのテナーとボビー・ハッチャーソンのヴァイブのユニゾンによるテーマ演奏,そしてデクスター・ゴードンのアドリブへとゆっくり突入していく。凝りすぎていないアレンジが心地よい。続くソロはボビー・ハッチャーソン。ここでのハッチャーソンは新主流派の顔をほとんど出さず,実におとなしく,曲の雰囲気を壊さない演奏に徹している。
 そして,それに続くバリー・ハリスのピアノソロが実に魅力的なニュアンスに富んだフレーズの連続である。こういうピアニストが裏方に徹しているから,このアルバムが光り輝いているのだと思う。

 「Manha de Carnaval(黒いオルフェ/カーニバルの朝)」は,その日本語の曲名にあるように,『黒いオルフェ』という映画の中で歌われた「カーニバルの朝」という曲である。カーニバルとはブラジルはリオのカーニバルであり,私はてっきりカーニバルを迎える当日の朝を歌った歌だと思い込んでいた。そして,華やかでエネルギッシュなカーニバルを迎えた朝の音楽にしては曲調が暗いのはなぜだろうと,疑問に思っていたのである。
 『黒いオルフェ』の映画を見て,やっとその長年の疑問が晴れた。曲調が暗く,ウキウキした気分が皆無なのは当然だった。なぜならこの曲は,熱狂的なカーニバルの翌日の朝,恋人のユリディスを失って悲しみに暮れるオルフェの歌だったのである。自分が殺してしまったとも言えるのだから,その悲しみはなおさらである。

 『黒いオルフェ』は実に印象的な映画である。ギリシャ神話を下地にした物語であり,私にはその歴史的な基礎知識が欠けているので楽しめなかったかというと,そんなことはない。若い女性が頭の上に荷物をのせ,丘の上に形成された貧しい集落へ続く坂道を軽々と登っていく冒頭のシーンが実に魅力的だ。ぐいぐいと映像の中に引き込まれる。バックに流れる音楽は,「Manha de Carnaval」ではなく「Felicidade(フェリシダージ)」であり,実はこちらの曲が映画のテーマ曲のように何度も流れる。もちろん「Felicidade」もボサノバ ──というより,正確にはサンバ・カンサウンか──の名曲である。

GETTIN' AROUND / Dexter Gordon
Dexter Gordon, tenor sax; Bobby Hutcherson, vibraphone; Barry Harris, piano; Bob Cranshaw, bass; Billy Higgins, drums
1. Manha de Carnaval
2. Who Can I Turn To (When Nobody Needs Me)
3. Heartaches
4. Shiny Stockings
5. Everybody's Somebody's Fool
6. Coiffeur
7. Very Saxily Yours
8. Flick of a Trick
Recorded on May 28, 1965

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