横須賀が軍港だった裏付け 田浦の専用線跡
横須賀が軍港だった裏付け 田浦の専用線跡
珍しく廃線跡歩きなんぞをしてみたくなり,米軍田浦専用線(相模運輸倉庫専用線)跡のある横須賀の田浦へ行ってみた。ちなみに,タイトルはいつものように「田浦」のダジャレなので,深い意味というか正確な意味は無い。
横須賀線の田浦駅で下車。電車が横須賀に向かってトンネルに突入する。
駅のホームの横に三つ並んだトンネルが,尋常ではない駅の雰囲気を醸し出している。
跨線橋の上から田浦駅の横須賀方を見る。
左側の使われていないトンネルが,かつての米軍田浦専用線(貨物線)の跡だ。在日米軍の港にある田浦送油施設からジェット燃料などを輸送するために使われていたそうだが,10年以上も前に使われなくなり,今ではすっかり草生している。
隣の東逗子駅からの下り電車がホームに入ってきた。
田浦駅はホームの両側がトンネルになっていて,この区間を走る11両編成の電車よりもホームの長さが短い。そのため,電車がホームに停まるときには,先頭車両がトンネルの中に突っ込んで停まることで有名である。もちろん,トンネルの中にあるドアは開かないようにドアカットする。
(4両編成の電車はちゃんとホームに収まる)
先頭車両がトンネルの中に入った状態から発車して行く上り電車。本当は先頭車両がトンネルの中に突っ込むシーンも撮りたかったのだが,動画を撮り慣れてなくて……(涙)
田浦駅のメインの出入口である南口には目もくれず,長浦港のある北口側を出る。当然のことながら,米軍田浦専用線も長浦港側にある。
駅の正面に見えてくるのは,専用線の保有者であるといわれる相模運輸倉庫。
相模運輸倉庫のF倉庫。その倉庫の前には貨物線跡が残っていて,トラックなどがその上に停まっている。
私はあまりアップで写真を撮らないが(自分の眼で見るのが中心),アップで見るとなかなかいい感じの装飾なんかも付いている古い倉庫が並んでいる。その前の道路の歩道の部分に貨物線跡が残っている。
正面に見えるのは横須賀港湾合同庁舎で,そこに向かって歩道(歩道じゃなくて,単に車道と線路跡なのかも)には線路跡が砂利に埋もれながらも続いている。
右に見えるのがE倉庫。この先,線路跡は相模運輸倉庫の敷地を抜け,海上自衛隊艦船補給所にまで延びているように見える(さすがに相模運輸倉庫の敷地内には入れない)。
横須賀港湾合同庁舎の前で,相模運輸倉庫の側から来た線路と,港の砂利の山から延びてきた線路が合流する。
左が相模運輸倉庫へ,右が港の砂利の山へ。右へ歩くとすぐに港なのだが,残念ながら立ち入り禁止(吊りや散歩もダメと書かれている)。でも,実は後で気付いたのだが,左側の線路上へ駐車している車へは,釣り竿を持ったおっさん立ちが戻ってきていた。なんと,立ち入り禁止のところで釣りをしてたらしい。
線路敷きの横には警告書きがあって,米軍の施設なので線路敷内立入禁止になっている。
つまりは,立ち入り禁止の港で釣りをすることも,車を線路の上に駐めることも,米軍や自衛隊の命令に逆らっていることになるわけで,これはちょっと日本人として恥ずかしい。
横須賀港湾合同庁舎の前をさらに東へ歩く。小さな川にかかる橋梁は既に撤去されている。
余計な話を書くと,私の子供の頃の鉄道体験の中で強力に記憶に残っているのは,猪苗代湖から福島の土湯温泉経由で福島市のおばさんのところに行ったときに見た,砂利道の道路に埋もれるような線路が,道路の右になり左になり走っているシーン(沼尻鉄道)と,東京に遊びに来たときに見た道路を走る電車(東京都電)なので,こういうふうに道路わきに埋もれかかった線路を見ると,普通ではいられないぐらいに興奮してしまうのだ。ブラボー!
その前にも線路がヘロヘロと延びている。ああ,ここを貨物列車が走るシーンを見たかったなぁ。
長浦港の看板が立つ踏切跡では,長浦駅方面から延びてきた線路2本の線路と2カ所で平面クロスしている。こんなものを見せられたら,今週一週間はハッピーになれそう。
長浦駅の方向に2本の線路がカーブしながら続いている。ここには踏切の警報機も残っている。
平面クロスの東側にあるのは,相模運輸倉庫の田浦サイロと横須賀市上下水道長浦ポンプ場。
平面クロスがよく見えるような構図で相模運輸倉庫田浦サイロを写し込む。
田浦駅方向からの線路が曙機械長浦工場の前で分岐してきて合流する。
比与宇トンネルの前に手動の転轍機がある。ということは,線路はトンネルの中まで続いていて,スイッチバックして港に運ばれて行ったものと推測される。
これ以上歩き回ると,どうしても立ち入り禁止区域に入らなければならなくなる。立ち入り禁止区域には,誰も見てないからとか,見つかっても注意されないから,というような理由では立ち入りたくないので,とりあえずこのへんで引き返すことにする。
長浦新港や海上自衛隊横須賀造修補給所比与宇倉庫の方向に線路が延びている。ここにはフェンスがないのでそのまま入っていきたい誘惑もあったが,やはり基本的にはここは立ち入り禁止区域だ。
田浦駅方に引き返す。せっかくだから海を見たい気分だったが,残念ながら港はどこも立ち入り禁止だった。
上り電車がホームに入ってきた。
短い時間だったが,とても楽しい廃線歩きだった。
── Panasonic LUMIX DMC-GX1 + LUMIX G VARIO 14-45mm F3.5-5.6 ASPH. or Canon PowerShot S100
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