船は出てゆく下田の浜を…
船は出てゆく下田の浜を…静岡県下田市
今日の泊まりは下田の宿か
白い湯船に染まる肌……
今晩は下田の宿がとれたので,伊東から伊豆急下田行き電車に乗る。伊豆急行の電車に乗って伊豆半島の旅をしていたら,ふと口ずさんだ山口百恵の『伊豆の踊子(作詞:千家和也,作曲:都倉俊一)』が耳から離れなくなった。ちなみに,正しくは「下田の宿」ではなく,「いで湯の宿」である。
伊豆急下田駅(静岡県下田市)に到着。
駅前のバス乗り場には,石廊崎や西伊豆(松崎),白浜海岸等へのバスが並ぶ。
伊豆急下田の駅前には,下田の街の東側に横たわる寝姿山への下田ロープウェイの乗り場がある。
地上でも強風が吹いているため,ロープウェイが運行されているのかどうか気になったが,何ごともなく10分程度の間隔で動いている。「寝姿山」とは何とも色っぽい名前なので登ってみることにする。
ロープウェイはぐいぐいと上ってゆく。下田の街と稲生沢川がどんどん小さくなってゆく。
あっという間に寝姿山山頂駅に到着。到着直前,ゴンドラ内に「ママーっ,もう着いちゃうの?」という子供の声が響いた。私も同感だった。
寝姿山の展望台からの眺望。眼下に見えるのが下田港である。遠くには大島が見える。
下田港の弁天島もよく見える。
寝姿山の西側には冷たい強風が吹き付け,顔が痛いほどだった。
山の陰に下田の街が見える。伊豆半島の起伏の激しい土地に形成された街だということが良くわかる。
伊豆急下田駅付近。
ロープウェイが上ってきた。
PENTAX DA18-250mmレンズを望遠側にズームすると,稲生沢川を渡る伊豆急行線の普通列車が見えた。このぐらいの焦点距離になると,もう望遠鏡のような感覚である。
寝姿山を下り,下田の街を歩く。まずは伊豆急下田駅南側の香煎通り(駅前橋通り商店街)から。
街のあちらこちらで風車が回っている。
香煎通りの駅方向を振り返る。
後ろに見える山は,伊豆急下田駅の西側にある下田富士。
手前の通りが連尺町通り,交差点から先がまちだな通りとなる。
下田の街の特徴と言われるなまこ壁。残念ながら街中になまこ壁が存在するわけではないようだ。
稲生沢川の河口には,たくさんの漁船が並んでいる。地図を見ると,寝姿山の麓のフェリー発着場のあるあたりが「下田港」となっているが,元々の漁港としての下田港は,この稲生沢川の河口付近なのかもしれない。
三丁目通り。下田市中心部の住所を見ると,下田市一丁目,下田市二丁目……となっていて興味深い。下田市では,東本郷一丁目や西本郷一丁目と,単なる一丁目という地名が混在していることになる。
下田郵便局のある池の町通り。郵便局は街の中心部にあることが多い(と私は勝手に思い込んでいる)。このあたりが下田の街の中心部だと思われる。
車が停まっているところから先は伊勢町通りと名を変える。下田の街には,商店が集中している繁華街が見られない。商店街の名前がコロコロ変わるところにも,それが見てとれる。街全体に商店が散在していて,全体が繁華街と言えなくもないが,残念ながら街全体が繁栄しているようには見えない(元旦なので,営業していない店が多かったのかもしれない)。
池の町通りと伊勢町通りの境となる交差点。
ひもの屋の前を猫が通りすぎる。
猫に魚は付きものだ。地上で生活する猫が,水の中の魚の魅惑の味にどのようにして巡り会ったのか……,何とも不思議な組み合わせである。
再び稲生沢川の河口へ。
港の傍らに,伊豆の踊子の「別れの汽船のりば跡」の碑がたっている。
冒頭に書いた山口百恵の歌,『伊豆の踊子』では,この別れのシーンを次のように表現している。
船は出てゆく 下田の浜を
またの逢う日は来るのやら
可愛い踊り子 打ち振る指に
こぼす涙も紅の色
山口百恵版の映画『伊豆の踊子』の,下田の港での別れのシーンは,実に印象的だった。
はしけに乗って立ち去る一高生(三浦友和)に,踊り子は眼を伏せたまま身じろぎもせず立ちつくしていたが,一高生がはしけから汽船に乗り換え,汽笛が鳴って船が動き出すと,踊り子は突然に波止場を走り出し,その突端で白い手ぬぐいを思いっきり振るのだった。なんとも切ない,感動的なシーンである。
そして,それに続く最後のシーンは,宴席で踊る踊り子,そしてその踊り子に浴衣姿の酔っぱらいが抱きつき,それを逃れようとする踊り子のストップモーションになっている。
美空ひばり版や吉永小百合版の『伊豆の踊子』に対して,山口百恵版は原作に忠実で,旅芸人に対する差別や,身分がもたらす運命の残酷さを隠さずに表現していて秀逸であると思っている。
平滑川河口の弁天橋付近。
弁天橋から見た平滑川の河口。
ペリー上陸記念碑付近から見た下田の市街地。下田富士が下田富士たる理由が良くわかる。
下田ロープウェイも見える。
弁天橋から見た上流のうじま橋。
平滑川周辺にはなまこ壁の建物が多く残っているようだ。
平滑川の両側は「ペリーロード」として整備されている。
逢坂橋。
逢坂橋から,さらに上流の柳橋方向を見る。
古い日本的な佇まい(ひょっとして元花街?)と「ペリーロード」という名称が馴染んでいないような気がする。とは言え,ペリーが日本へ来航したのは江戸時代のことだから,生半可な歴史的建造物よりも古く,地元下田市ではすっかり馴染んだ名称なのかもしれない。
柳橋の袂。
柳橋からさらに上流側を見る。
寺小路橋。
霊山寺(りょうせんじ)橋。橋を渡った先には了仙寺がある。橋も寺も「りょうせんじ」ではあるが,なぜ?
霊山寺橋から下流の寺小路橋を見る。
霊山寺橋の傍ら。
了仙寺交差点から東側を見る。
弥治川町から上田町に続く交差点。
【使用したカメラ】
・PENTAX K10D + DA18-250mm F3.5-6.3ED AL(縦横比2:3の写真)
・Canon PowerShot G7(縦横比3:4の写真)
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コメント
下田って雰囲気がいい。
でも、ちょっと泣きたくなるような。
ここぼくも歩いた。
ロープウェイにも乗りました。
そのころデジカメなんてなかったから、もういっぺん行きたくなりました。
投稿: osa | 2008年2月17日 (日曜日) 22時53分
お久しぶりです。
下田は本当に良い雰囲気の街だと思いました。地形的な制約のためか,街がコンパクトにまとまっていて,歩き回るにはちょうど良い大きさなのかも。
投稿: 三日画師 | 2008年2月17日 (日曜日) 23時48分
下田の街の見るたびに、やたらセンチメンタルな気持ちになるのはどうしてでしょうか。
やはり伊豆の踊り子の情景とオーバーラップするからでしょうか。
投稿: | 2008年2月18日 (月曜日) 03時29分
名無しさん,こんばんは。
下田といえば,伊豆の踊子のほかに,唐人お吉の悲しい物語を引きずっていたりするのかもしれませんね。
投稿: 三日画師 | 2008年2月18日 (月曜日) 21時58分