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2015年10月 4日

iPhone 6s発表。落胆そして感服

Iphone_6s

 2015年9月10日(日本時間の)未明の『Apple Special Event. September 9, 2015.』で発表されたiPhone 6s / iPhone 6s Plus。9月25日からApple Storeや各キャリアで発売開始となり,さっそく入手した人も多いことだろう。

 まあ無理だとは思いながら,「4インチ以下の小型ディスプレイ機」「出っぱりのないカメラ」「いわゆる“Dライン”解消」という希望を持っていたのだが,いずれも期待外れに終わったので,iPhone 5s(と塩漬けのiPhone 5)をしばらくは使い続けようと思っている。


■ 外観はiPhone 6 から変更なし(だが,そこにApple社の利益率の高さの秘密がある)

 iPhone 6sはApple社が「すべてを新しくした」というわりには,外観も画面解像度も変わらず,変化が感じられずにガッカリしたという声も多いようだ。
 だが,そこにAppleのすごさがある。Apple社は,2015年度第3四半期の売上高は496億ドル(約6兆円),純利益が107億ドル(約1.3兆円),売上利益率はなんと39.7%という高さだ。

Iphone_6s_2

 Android携帯勢は日本のメーカーも含めた合計でiPhone以上の売上げ台数を達成しながら,利益は小さく,売れば売るほど赤字が増えてしまうようなメーカーもあるようだ。

 なにが違うのだろうか?


■ Appleのエンジニアはものづくりをよく知っている

 えっ? Appleは自分のところで製品を作っていないじゃないか?……と思う人も多いだろう。

 たしかにiPhoneは台湾や中国のEMSで製造されている。
 しかし,自社内で製品を作っているメーカーのエンジニアが,Appleのエンジニアより「ものづくり」を知っているかどうかにはやや疑問を感じざるをえない。

 エンジニアは,外形寸法の変更が,どれだけ加工コストや組立コストその他を上げ,トータルでどのぐらいのコストになるのか,ちゃんと管理できているだろうか。そういう意味で,責任はエンジニアだけにあるのではなく,会社としてコスト管理体制が整っているかどうかが問題になる。

 新製品に「新鮮味」を求めて,客先であるキャリアや社内の営業や意匠デザイン部門から,無意味な外観変更の要求をされても,それをエンジニアとして突っぱねられる体勢になっているかどうか,である。

 製品の外形寸法を「変更しないこと」,あるいはどこをどの程度変更したら組立工程に影響するかを深く知ることによって,加工治具,組立治具,ハンドリング治具,試験治具など,製造ラインで使用する治具類がそのまま使えるし,組立装置や試験装置も基本的にはそのまま使える。このメリットは非常に大きい。

 中身の電子部品がすべて新しくなったとしても,電子部品を基板に搭載するチップマウンターはプログラムの変更だけで対応できる。エンジニアが,設計時点で基板の固定点などの制約や製造工程を理解していれば,治具や組立装置を変更せずに済む。

Apple iPhone 4 びっくり仰天のハードウェア
〔iPhone 4 ボディ加工中に使われている治具〕


■ 7000系アルミニウム合金採用の意味

 iPhone 6s / iPhone 6s Plusのボディ素材には,従来の6000系アルミニウム合金(60材・ロクマル材)ではなく,より強度の高い7000系アルミニウム合金(70材・ナナマル材)が使われていることが話題になった。

 70材の採用は,iPhone 6で指摘されていた強度不足に対応したためと思われる。

 iPhone 6のボディ内部にリブ形状を追加したり,部分的に肉厚にしたり,強度低下の原因となるボタン穴の位置や大きさを変えたりすれば,70材を使わなくても強度を上げられたはずだ。しかし,Appleのエンジニアはそれを選択しなかった。あくまで想像であるが,それらを変更すれば,基板の形状や固定点の位置,搭載部品高さの制限が変わり,大きなコストアップになると判断したのだろう。

 そのため,アルミニウム合金の中で最も高強度で超々ジュラルミンと呼ばれる7000系合金は,製品のさらなる薄型化でも,さらなる軽量化でもなく,ただ前機種と同じ形状を実現するために採用されたのだ。

 利益率30%以上を実現するAppleの「ものづくり」技術に感服する。

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