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2015年7月24日

正式には大きさを表現できない台風12号来襲

 本島 昼ごろ最接近 台風12号、南大東で31・9メートル(2015年7月25日 琉球新報)

 強い台風12号は24日午後9時50分現在、南大東島の南約90キロにあり、大東島地方を暴風域に巻き込みながら1時間に15キロの速さで西北西へ進んでいる。24日午後3時8分、南大東村南大東で最大瞬間風速31・9メートルを観測した。沖縄気象台によると、台風は勢力を維持しながら25日昼ごろ沖縄地方に最接近する見通し。大東島地方は25日明け方ごろ暴風域を抜ける見通しだが、沖縄本島地方は25日昼ごろから夕方にかけて暴風が吹く見込み。沖縄本島では最大瞬間風速35メートルの強い風が予想されている。

 沖縄気象台は「暴風域の半径が70キロとコンパクトなのが台風12号の特徴だ。接近時に急に風が強まる恐れがあるので十分注意してほしい」としている。

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 日付変更線よりも東の海域で発生し,そのまま発達すればハリケーンになるはずだった熱帯低気圧が,何の風の吹き回しか,西へ西へと進み続けて日付変更線を越え台風第12号「ハロラ」となった。しかも,一旦熱帯低気圧に戻って(最大風速が17.1m/sより弱くになると台風ではなくなる)から再び台風第12号として復活するという変な台風だ。

 7月25日現在でも最大風速35m/sの「強い」勢力を維持しており,今後の経路が気になるところである。

 さて,気になるのが,メディアで使われている「コンパクトな台風」,そしてそれと同義に近い「接近時に急に風が強まる恐れがある」という表現である(後者は問題にしなくても良いとは思うが)。

 台風の勢力を表現するため,台風やハリケーンには「強さ」と「大きさ」によって階級が定められている。日本の気象庁も,基本的にはそれに従った分類をしている。

 しかしながら,日本の気象庁の「強さ」の分類で言葉が定義されているのは,現在〈強い〉〈非常に強い〉〈猛烈な〉の3つだけ,「大きさ」の階級も〈大型(大きい)〉〈超大型(非常に大きい)〉の2種類しかない。
 だから,現時点での台風第12号を「強い台風」としか言えず,マスコミなどが勝手に“コンパクトな”という形容詞をつけて「コンパクトで強い台風」と呼ばれているのである。

 もともとはこんなことはなく,台風の「強さ」と「大きさ」の定義は次のように,ちゃんと定められていた。

【強さ】
 最大風速[m/s] 分類
 17.2未満    弱い熱帯低気圧
 17.2〜24.5   弱い     → 現在は使わない
 24.6〜32.6   並の強さ   → 現在は使わない
 32.7〜43.7   強い
 43.8〜54.0   非常に強い
 54.0以上    猛烈な

【大きさ】
 風速15m/s以上の半径 大きさの階級
 200km以下   ごく小さい   → 現在は使わない
 200〜300km  小型(小さい) → 現在は使わない
 300〜500km  中型(並の)  → 現在は使わない
 500〜800km  大型(大きい)
 800km以上   超大型(非常に大きい)

 つまり,かつての気象庁の定義によって,現在の台風第12号は「強い台風」やマスコミの「コンパクトで強い台風」のようなあいまいな表現ではなく,ちゃんと基準によって定義された「小型で強い台風」という表現ができるのである。

「大型で並の強さ」「小型で猛烈な」「超大型で弱い」……
 正確な基準さえ知っていれば,なんとわかりやすい台風の表現だろうと思う。

 Wikipediaの記述によると,1999年8月14日の玄倉川水難事故を契機に,「ごく小さく弱い台風」というような表現では,危険性を過小評価してしまう人が被害に遭うおそれがあるとして,気象庁は2000年6月1日から,「弱い」や「並の」といった表現の使用をやめたという。

 なんとももったいない決断だ。台風の「強さ」と「大きさ」の定義には,「雨量」の定義は含まれていない。風が弱い台風だからと言って,雨が弱いとは限らない。そんなことは定義に書かれていなくても常識的なことである。
 ごく一部の方々の過ちによって,簡単に定義が使われなくなってしまったことが残念でならない。

 強さと大きさの定義の完全復活,もしくは新たな階級表現の導入を期待したい。

 たとえば地震の震度階級は,震度0:無感 ・ 震度1:微震 ・ 震度2:軽震 ・ 震度3:弱震 ・ 震度4:中震 ・ 震度5弱/5強:強震 ・ 震度6弱/6強:烈震 ・ 震度7:激震というように名称と震度階級がつけられていて,かなり普及している。いまだに震度とマグニチュードの区別ができていない人もいないわけではないが,ほとんどの人は問題ない理解状態だと思う。

 台風の強さと大きさも,震度階級と同様な数値によるクラス分けが必要なのではないだろうか。

 明らかに「小型で強い台風」である台風第12号を「強い台風」としか言えないため,テレビ番組独自の基準や気象予報士の親切心からの表現で「コンパクトで強い台風」などと統一されていない名称で呼んでいるのを見て思った次第である。

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コメント

豆台風ですね。

投稿: | 2017年11月13日 08時45分

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