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2015年2月26日

龍ケ崎市中心部に町名がない

 茨城県龍ケ崎市は,最寄り駅が関東鉄道竜ヶ崎線竜ヶ崎駅になっていたりするなど,地域の表記に「龍」or「竜」,「ケ」or「ヶ」が混在していることが話題になる市だ。

 その龍ケ崎市の中心部の住所の表示には町名がない。

 具体的に言うと,たとえば龍ケ崎市役所の所在地は「茨城県龍ケ崎市3710番地」だ。龍ケ崎市○○町※※番地という町名がなく,市の後ろにすぐ番地がきている。

 龍ケ崎市の地図を見てみる。

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〔マピオンによる龍ケ崎市中心部の地図〕

 龍ケ崎市役所は竜ヶ崎駅の北側約500メートル,龍ケ崎市馴柴町・馴馬町の境界付近にある。その東側のうすい黄色の地域が龍ケ崎市の中心部だ。念のため書いておくと,「町名がない」というのは,市町村という自治体レベルの「町」ではなく,自治体内部の「町」のことである。

 この地図だけを見ていてもわかりにくいので,一般的な町がどのようになっているかを比べてみる。私が住んでいる横浜市港南区の中心である京急上大岡駅付近の地図は次のようになっている。

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〔マピオンによる上大岡駅周辺の地図〕

 マピオンの地図は,自治体内の「町」「字」毎に色分けされており,上大岡駅の周辺が上大岡西一丁目・大久保一丁目・大久保二丁目・最戸二丁目……というふうに分かれていることが見て取れる。一般的に市街地は,このように適当な広さで区分けされ,それぞれに町名が付いている。

 龍ケ崎市の地図に戻って,詳細をよく見ると,郵便局名やバス停名に,米町・上町・下町・栄町・横町・根町という地名が見られ,地元の方が通称としてそれらの町名を使っていることがわかる。

 Wikipediaで龍ケ崎市の歴史の項目を見ると,「1954年(昭和29年)3月20日 - 稲敷郡馴柴村、大宮村、八原村、長戸村、北相馬郡川原代村、北文間村を編入、市制施行し、龍ケ崎市になる」という記述がある。
 1889年(明治22年)の町村制施行のとき,既に龍ケ崎町が単独で町制を敷いていることから推測すると,1954年の昭和の大合併で市制施行したときに,龍ケ崎市大字馴柴・大宮・八原・長戸・川原代・北文間となり,旧龍ケ崎町は大字なしにしたと思われる。ただ,米町・上町・下町・栄町・横町・根町という町名が旧龍ケ崎町時代に使われていたかどうかはわからない。

 中心市街地に大字を付けるかどうかは千差万別で,その自治体の判断に任されていたのではないかと思われる。

 たとえば,私が生まれ育った福島県三春町は三春藩の城下町だったが,1955年(昭和30年)の昭和の大合併で旧三春町と中郷村・沢石村・要田村・御木沢村・中妻村が合併して三春町となったときに,旧三春町は大字なし,各村に大字が付いた(村単位ではなく,少し小さな集落単位)。合併の中心となった町に大字をつけなかった点は龍ケ崎市と一緒だ。


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〔マピオンによる三春町の地図〕

 三春町の地図を見ると,町内には北町・大町・荒町・中町・八幡町・新町の旧城下六町の他,かなり細かな「字(あざ)」に区分されていることがわかる。三春町役場の所在地は「三春町字大町1番地の2」となっている。

 三春町と違って全町に「大字」をつける選択をした例として,埼玉県の寄居町の地図を見てみる。

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〔マピオンによる寄居町の地図〕

 寄居町は古くから秩父往還の宿場町として栄えたところで,1889年(明治22年)の町村制施行の時点で既に町だった旧寄居町と藤田村・末野村が合併して寄居町となり,さらに1955年の昭和の合併で折原村・鉢形村・男衾村・用土村と合併して現在の寄居町となった。

 寄居町は合併前の町村単位で大字がついている。たとえば,寄居町役場は「寄居町大字寄居1180番地1」となる。寄居町が“寄居町は町村制施行前から単独で「町」なので,大字はつけない”という選択をしたとすれば,旧寄居町域は龍ケ崎市と同様の「自治体名+番地」という住所表示になっていた可能性がある。

 寄居町大字寄居というように,地名が重複する大字がつく都市はけっこう多くて,たとえば長野市には「長野市大字長野」が存在するし,飯山市役所は「長野県飯山市大字飯山1110-1」だ。

 飯山市の地図はとても面白いので紹介したい。

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〔マピオンによる飯山市の地図〕

 飯山市の旧飯山町は現在の飯山市大字飯山だが,その中にぽつんと「飯山市南町」だけが島のように浮かんでいる。なぜ南町だけなのか,とても気になる。バス停名や交差点名には,北町・仲町・本町・上町があるので,地元の方は通称でそれらを使っていると思われる。

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〔マピオンによる須坂市中心部の地図〕

 長野県の須坂市も市名と重複する大字がついている。須坂市役所は「長野県須坂市大字須坂1528番地の1」。
 全国をくまなく調べたわけではないが,長野・須坂・飯山と長野県北部に市名と大字名が重複する都市が集まっているのは,なにか理由があるのだろうか。

 奈良県御所市は龍ケ崎市と同じで,市の中心には町名がなく番地のみ。御所市役所の所在地は「奈良県御所市1番地の3」だ。

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〔マピオンによる御所市中心部の地図〕

 しかし,マピオンの御所市の中心市街地は細かい町名に分かれている。御所市役所の所在地にも六軒町という町名がふられている。通称というにしては,かっちりとした境界で,正式な地名と通称の差,マピオンの表記の基準がよくわからなくなってくる。

 最後に,中心市街地が「町名+番地」の香川県琴平町(琴平郵便局の所在地は「香川県仲多度郡琴平町665」)と,「市名+○丁目」の静岡県下田市(静岡地方裁判所下田支部の所在地は「静岡県下田市四丁目7-34」)の地図を示す。

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〔マピオンによる琴平町の地図〕

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〔マピオンによる下田市中心部の地図〕

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