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2015年2月28日

ヒーター発熱量とデューティ比と消費電力量と室温

 この冬中暖房つけっぱなし、電気使用量は?(2015年02月26日 読売新聞「新おとな総研」)

 意外に思うでしょうが、オイルヒーターは24時間つけっぱなしにしてあります。「うわ、もったいない!」とか、「それじゃ電気食うでしょっ! やめて!!」と思うかもしれませんが、オイルヒーターの特性を考えて、24時間連続使用にしたのです。

 オイルヒーターは、本体の中のパイプに充填してあるオイルを暖め、そのオイルが循環することで本体から熱が放出されます。オイルを暖めるときに1番、電気を使います。

 オイルヒーターが電気を食うというのは、オンオフを繰り返すからではないでしょうか。せっかくオイルを暖めたのに、スイッチを切るとオイルが冷めてしまいます。次にスイッチをいれるときは室温も下がっているしオイルも冷たくなっていて、それを暖めるのにまた電気を食います。これが大きいのだと思います。

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〔オイルヒーターは持ってないのでエアコンの写真〕

 省エネには高気密高断熱が重要であること,サーモスタットつきのオイルヒーターを24時間つけっぱなしにすることに異論はない。

 しかし,微妙なところに「このひと,ちゃんと理解してないんじゃないか?」とか「ほんの5分間でも科学部のひとに読んでもらえば良かったのに」と感じる。

 たとえば,“オイルを暖めるときに1番、電気を使います”のところ。文章自体が間違っているわけではないのだが,これはオイルヒーターを24時間連続使用する理由にはならない。

 サーモスタットの動作と消費電力の関係を説明するためには,サーモスタットのデューティ比(ある時間の中でヒーターが発熱する時間と発熱しない時間の比率)について考慮しなければならないので,まずはサーモスタット動作を考慮しない場合で考える。

 発熱量1000Wのヒーターを24時間つけっぱなしにしたときに,室温が20℃一定に維持されたとする。これを1時間おきにヒーターをつけて室温を平均20℃に維持しようとすると,ヒーターの発熱量は2000W必要になる(実は1時間おきにヒーターをつけるというのは,デューティ比0.5=50%なのだが)。これが,“オイルを暖めるときに1番、電気を使います”の理由だ。

 この場合の消費電力量[Wh]は,

 発熱量1000[W]×時間24[h]=消費電力量24000[Wh]
 発熱量2000[W]×時間12[h]=消費電力量24000[Wh]

となり,まったく同じだ。消費電力量[Wh]が同じなら電気代は同じになる。

 オイルヒーターにはサーモスタットがついていて,サーモスタットがON/OFFすることで一定温度を維持することができるし,外の気温が変化してもそれに対応してデューティ比を自動的に変化させることによって室温を一定に制御することができる。

 オイルヒーター自体は発熱量に余裕のある2000Wのヒーターが入っていて(2000Wという数値は単なる一例),サーモスタットがデューティ比を制御することで温度を制御するため,室温が20℃一定になるようにサーモスタットを設定したとすると,24時間つけっぱなしにしたときにサーモスタットのデューティ比は50%になる。制御回路がどのようになっているかにもよるが,サーモスタットはたとえば5分おきにON・OFFを繰り返すことになるだろう。

 この場合の消費電力量[Wh]は,

 発熱量2000[W]×時間24[h]×デューティ比0.5 =消費電力量24000[Wh]

となる。

 このオイルヒーターの電源を人間が1時間おきに入れたり切ったりするとどうなるか。1時間切ったあとでヒーターの電源を入れると,オイルの温度が下がっているので,サーモスタットは連続ONとなり,デューティ比は高くなる。室温を平均20℃(オイルヒーターを1時間切っていたため,室温は20℃一定とはならず,20℃を中心にして上下することになる)に保つために,デューティ比は1.0=100%となる。
 この場合の消費電力量[Wh]は,

 発熱量2000[W]×時間12[h]×デューティ比1.0 =消費電力量24000[Wh]

 室温を同じに保つための電力量,つまり電気代はまったく同じなのだ。
 異なるのは,人間がオイルヒーターの電源を入れたり切ったりする手間が掛かるかどうか。私は,手間を掛けるぐらいならオイルヒーターの電源を24時間入れっぱなしのほうがいいだろうと思う。

 また,上の計算でデューティ比が1.0=100%になっていることに注目する必要がある。つまり,これはヒーター発熱量にまったく余裕がないことを意味する。同じような使い方をした場合,外の気温が少し低いと室温を平均20℃に保つことができない。ヒーターをめいっぱい動かしても寒いのは,ヒーターの発熱量不足か使い方が間違っていることになる。

 それから,“石油ストーブは長時間連続使用で省エネにならない”というところも変だ。石油ストーブにサーモスタットはついていないが,ちゃんと芯を上下することで石油の燃焼を制御することができる。この記事を書いている人は寒い地方にお住まいではないのだろう。
 残念ながら日本の断熱性能の悪い家屋では,オイルヒーターよりずっと暖かく低コストな石油ストーブ・石油ファンヒーターに頼らざるを得ないことが多いし,長時間連続使用をしているのが現状だ。

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