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2014年11月 3日

Fotodiox社からEマウント強化キットが登場

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[切削加工&手作業によりバリ取りされている金属マウント]

 発売開始以来,あちこちでマウントがたわむ,ふにゃふにゃすると言われていたα7・α7R。けっこうな中級機・高級機なのだが,レンズマウントのバヨネット爪の部分がプラスチックだったため,その話題は意外に大きくなった。プラスチック製のマウントは,従来から低価格機に使用されている技術だからだ。

 昔に比べればプラスチックの機械特性は向上しているし,重要な部分にプラスチックを使ったからといって,必要な性能を満たさない設計はしていないだろう。私が読んでいないだけかもしれないが,ソニーからマウントの不具合について公式な発表はないことから,多少マウントが動いたとしても正常な範囲内であるということになる。

 しかし,写真を撮るという行為は論理的思考におさまるものじゃなく,とても気分的なものだ……と思う。嗜好と同じだ。とても美味しいと思いながら食べていたお好み焼きに,大嫌いな素材がひとつ入っているということを知ったとたんに食えなくなってしまう。

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 そこで登場したのが,Fotodiox社の「‘The TOUGH E-Mount’ modification kit」である。

 実に単純な製品で,純正のパーツが金属のプレートとプラスチック製バヨネット爪の二つのパーツから成り立っているものを,一つの金属パーツにしたものである。
 Eマウントでは,バヨネット爪裏側に必要な押さえバネはボディ側に付いているので,このような単純な製品が可能になっている。また,ニコンFマウントやPENTAX KマウントのようなAF駆動用カプラはないし,Kマウントのような電気接点もないから,ネジを4本外すだけでバヨネットマウントを交換することができる。
 このような製品の登場は必然だったのかもしれない。

 Fotodiox社のサイトの上記写真で,バヨネットマウントを外したα7のボディとバヨネットマウントのパーツを見ると,いろいろと気になるところがある。

 たとえば,ボディ側に4本のボスが立っていて,プラスチックのバヨネット爪パーツのボス部分の逃げ穴は,金属プレートのザグリ穴よりも大きいように見える。これだと,ネジを締めたときに金属プレートが均等にバヨネット爪を押さえられず変形する(もちろん,変形量が許容範囲かどうかは別の話)。プラスチックの爪の強度はマウントの機能として十分だったとしても,プラスチックのヤング率はアルミ合金や黄銅よりもはるかに小さい。少なくともプラスチック部材の穴の径は,金属プレートの穴径よりも小さくしたほうが良い。

 マウントの強度に直接関係はないかもしれないが,Eマウントのネジは4本だが,私の手元にあるニコンFマウントとPENTAX Kマウントのネジは5本ある。4本で十分だとソニーの設計者が判断しているのだろうから尊重したいけど,強度的にはずいぶん違ってくる。

 各社からの公開特許を検索してみると,バヨネットマウントを安く精度良く実現する方法についての出願が多く見つかる。それほどまでに,従来のような切削加工のバヨネットマウントのコストは高いのだ。

 たとえば,キヤノン株式会社が1995年6月6日に出願した特開平8-334816「バヨネット装置及びそれを用いた光学機器」は,マウントベース(プレート)とバヨネット爪の二つのパーツでバヨネットマウントを構成することによって,手間のかかる切削加工を使わず,プレス加工のみで安価にマウントを作ることができるというものである。
 少し引用してみる。

 この従来例のバヨネット装置の加工手順としては、例えば金属丸棒材を施削、穴明け、フライス加工の順で行っている。又、材質としてはレンズ本体の質量が大きい場合はステンレス鋼や黄銅、質量が小さい場合はアルミニウム合金を用いている。
 従来のバヨネット装置はマウント基準面を有するマウントベースとレンズ鏡筒に取着するマウントリングとが一体構成になっていた。この為、被加工材より所望の形状の部材に仕上げるのに加工工程が長くなり、特に複雑な形状のバヨネットの爪形状の加工を行うフライス加工の加工工程が長くなるという問題点があった。
 本発明はバヨネット装置を構成するマウントベースとマウントリングを適切な形状の別部材より構成することにより、所定の強度を有し、カメラ本体側に着脱可能に装着することのできるバヨネット装置及びそれを用いた光学機器の提供を目的とする。

 カメラの歴史はコストダウンとの戦いだった。バヨネットマウントを切削加工ではなく,二つのパーツで構成したり,二つのパーツのうちのひとつをプラスチックにするというのは,性能向上・機能強化のためではなく,すべてコストダウンのための技術である。

 同等程度の性能の製品が安く買えればいいという人もいれば,安っぽいのは気になるという人もいる。なかなか難しい。

 どうでもいい話だが,このFotodiox社の‘The TOUGH E-Mount’ modification kitの動画で,私が一番気になったのは,動画の中のSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAレンズに付いている角型レンズフードだ。

Photo

 このレンズフード,むっちゃカッコ良い。というか,純正のドーム型フードはコンパクトなのはいいのだが,個人的には形状があまり好きじゃないのだ。角型フード欲しい〜

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コメント

マウントを交換しても、あまりバックフォーカスに気を付けなくても良いのはミラーレスだからでしょうか。
しかし、穴開き角型レンズフードは、M型ライカで出して欲しいところ。
ライカのフードの切り欠きは、レンジファインダーでは、ちょっと小さいです。

投稿: 魚籃坂 | 2014年11月 5日 20時07分

 ラインナップされているFEレンズには距離目盛が付いていないですし,オーバーインフになってるから,無限遠やバックフォーカスの調整などしていないんじゃないかと思っています。2枚あわせのマウントだと,寸法公差が積み上がるので精度も出にくいはずですし。

投稿: 三日画師 | 2014年11月 6日 00時30分

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