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2014年11月 8日

ルーペからRetinaディスプレイへ〔写真鑑賞環境〕

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 デジタルカメラの普及につれて,写真の鑑賞方法が変わってきた。銀塩フィルムカメラ時代は,写真は印画紙にプリントして見るのが一般的だった。写真は印画紙にプリントしてこそ写真だった。現在ではそれが多様化し,プリントせずにSNSに投稿して見せ合ったり,パソコンやスマートフォンのディスプレイで見ることも多い。

 リバーサルフィルム(ポジフィルム)で撮って,プロジェクタ用の枠にマウントしてスライドを映写して鑑賞するという習慣は,日本にはほとんどなかった。しかし,リバーサルフィルムをライトボックスに載せ,ルーペで鑑賞したときの美しさ,透過光のみずみずしさに圧倒され,リバーサルフィルムでの撮影にはまった人も多いと思う。私もそうだった。そのせいで,35mm(135)フィルムでは満足できなくなり,120・220フィルムを使うPENTAX 67,67 IIを使ったりしていた。

 印画紙に焼き付けた写真は印画紙からの反射光で見ることになる。印画紙の「白」以上の明るさ・輝きは得られない。
 それに対し,リバーサルフィルムをルーペで鑑賞する場合は透過光によって写真を見ることになる。ネガフィルムに比べてラチチュードの狭いリバーサルフィルムだが,それが効果的に働き,暗いところは暗く,明るいところが鮮やかに輝き,ハイライトが光ることになる。その美しさは,たぶん見たことのない人にはわからない。

 そして,我々人類は,Retinaディスプレイ(やそれと同等の)高解像度の液晶ディスプレイを手に入れることによって,やっとルーペを覗いたりせずに透過光による大画面の美しい写真を見ることができるようになったんじゃないかと思う。そう思うようになったのは,2880×1800ピクセルのMacBook Pro 15インチRetinaディスプレイを使うようになってからのことだ。

 約10年前から24インチのWUXGA1920×1200ピクセルのディスプレイをデュアル(Appleの23インチ液晶ディスプレイとEIZOの24インチだったが,液晶のサイズは同じだった)で使っていたが,1920×1200ピクセルのディスプレイでは解像度が完全に不足していて,カラープリンタでA3サイズに印刷した写真には追いついていなかった。

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 MacBook Pro 15インチRetinaディスプレイを使うまでは,15インチのディスプレイの解像度がいくら高いといっても,24インチWUXGA1920×1200ピクセルのディスプレイの迫力にはかなわないだろうと思っていた。しかし,実際に使ってみると,2880×1800ピクセルのRetinaディスプレイはまったく別物だった。

 1920×1200ピクセルの24インチディスプレイでは,ペイントソフトで1ドット単位で点を描いたり消したりすることができる。なんとか1ピクセルが見えるし,そこにマウスポインタをあてることが可能だが,Retinaディスプレイは220ppi(1インチあたりのピクセル数)を越えており,一つ一つのピクセルを認識することが難しい(厳密には,昔から300ppi以上で認識できなると言われてきた)。

 これがどういうことかというと,ちょっと古い500万画素以下のデジカメの写真だと,写真をドットバイドット表示(いわゆる等倍表示)しても写真が画面いっぱいに広がらないということだ。デジカメの写真を等倍表示することでピントの確認ができるのは,24インチWUXGA1920×1200ピクセル程度のディスプレイは1ドットがとても大きいからにすぎない。Retinaディスプレイでは,等倍表示=拡大表示にはならないのである。

 等倍表示してピントを確認する,等倍表示でレンズのあら探しをする……というのは,数年後にはもう時代遅れの言葉となるだろう。

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 MacBook Pro 15インチRetinaディスプレイで,Mac OS Xの「スペース拡大」機能を使い,ディスプレイを3840×2400ピクセル(ほぼ4Kディスプレイ)として使用している状態で,古いデジカメの写真をドットバイドット表示(等倍表示)してみるとどうなるのか,キャプチャー画面を見ていただきたい。

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[RICOH DC-1(0.38Mピクセル:768×576)]

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[FUJI FinePix700(1.5Mピクセル:1280×1024)]

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[PENTAX Optio330(3.3Mピクセル:2048×1536)]

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[Canon IXY DIGITAL 800 IS(6Mピクセル:2816×2112)]

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[EPSON R-D1s(6Mピクセル:3008×2000)]
 なんとR-D1sの写真を等倍表示しても,画面いっぱいに広がらない。

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[PowerShot G7(10Mピクセル:3648×2048ワイド)]

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[Nikon D3(12Mピクセル:4256×2832)]

 12MピクセルのNikon D3になって,やっと写真の上下端がディスプレイの端に達し,縮小表示となる。10MピクセルのPowerShot G7の写真では,ドットバイドット表示(等倍表示)では写真がディスプレイの大きさにならず,拡大表示しないとディスプレイいっぱいに写真が広がらないのである。

 そして今度,5K解像度5120×2880ピクセルのディスプレイを搭載した新しいiMac Retina 5Kディスプレイモデルが出た。1470万ピクセルである。Nikon D3の写真も,画面いっぱいに表示するためには拡大しなければならない大きさだ。

 初代MacintoshからiMac Retina 5Kのディスプレイがどのぐらい進化したのか,それが一目でわかるように,それぞれの画面を比較したサイトがある。

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 左下にちょっとだけ見える白黒画像が,初代MacintoshでペイントソフトのMacPaintを動かしているところだ。初代Macintoshは私が最初に買ったMacなのでとても懐かしい(正確に言うと,買ったのはMacintosh 512K)。ディスプレイは白黒2値の512×342ピクセルだった。それから30年。自分もずいぶん歳を取ったものだ……

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 大事なことだから最後にもう一度書いておく。 
 “等倍表示”してピントを確認する,“等倍表示”でレンズのあら探しをする……という不思議な言い方は,詳細表示可能なディスプレイの普及に伴って,“等倍表示”が拡大表示を意味しなくなり,数年後にはもう時代遅れの言葉となるだろう。

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