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2010年12月31日

『さよう, Appleは今日CDを殺した』に無頓着な日本

新MacBook Airの再インストール用USBメモリ

 10月21日(現地時刻では10月20日),Appleが第二世代のMacBook Airを発表した後で,TwitterやTumblrで広まった記事のタイトルが衝撃的であり,そして現在起こっていることを端的に示していた。
 

『さよう, Appleは今日CDを殺した(「TechCrunch」MG Siegler氏の記事)』

今日(米国時間10/20)のAppleの発表で、もっと意義が大きいと思われるのは、Mac App Storeだ。Appleはまだ詳細を発表していないが、要するにiPhoneやiPadやiPod touchのApp Storeのように機能するのだろう。そこには、有料と無料のアプリケーションがある。つまりそういうことだ。
(中略)
この流通方式によって、CD、DVDなどの光学ディスクは陳腐化する。最初に述べたように、光学ドライブはコンピュータから消えて欲しいものの一つだから、それはたいへん良いことだ。

7年半前にiTunes Music Storeを立ち上げたときから、AppleはCD殺しを開始していた。今日は、CDに止め(とどめ)を刺した。もう、生き返ることはない。

新MacBook Airの再インストール用USBメモリ
 新MacBook Airに添付される再インストール用USBメモリ

 今までに発表されたMacintosh史上最も軽量・薄型のボディを持つMacBook Airは,高解像度のディスプレイやフルピッチのキーボードを持ちながら,光学ディスクドライブ(CD/DVDドライブ)を持っていない。
 光学ディスクドライブを持っていなくても,他のパソコンの光学ディスクドライブをWi-Fi経由で使用するRemote Disc機能が付いているので問題ないのだ……というような単純な話ではなく,もっと壮大な話だ。

 iMacが登場したときもそうだった。フロッピーディスクドライブやRS-422シリアルポートがレガシーデバイスとして,バッサリと斬り捨てられた。既にMacintosh界隈では,フロッピーディスクやMOはデータの受け渡し用途(文字どおり媒体・メディア)になりつつあったが,世の中の趨勢は,まだまだフロッピーディスクやMOはデータを保存する記録装置だった。フロッピーディスクドライブをなくして,大丈夫なのかという声も大きかったと記憶している(Appleという会社は,同じような調子で既存ユーザーもあっさり切り捨てる悪人だけどね)。
 そして,その後どうなったか。2005年頃までのWindowsパソコンには,フロッピーディスクドライブが付いていたように思うが,それが使われることはめったになくなっていた(特許の明細書とかお役所がらみの提出物など,ごく一部には残ってた感じかな)。データのやりとりは,既にネットワーク経由になっていた。

 それと同じことが,光学ドライブでも起ころうとしている。3年後,5年後が見えるというのはそういうことだ。未来は「ネットで借りて,(光学ドライブで使って)ポストに返却」のような形態にはないのだ。
 Mac App Store が発表されるときには,米ノースカロライナ州メイデンに建設中とされる巨大データセンターも稼働することになるだろう。デジタルライフはクラウド版のiTunesが中心となり,iPod・iPad・Apple TVを合わせることによって,音楽だけでなく,映画もテレビも,そして電子書籍も,ひとまとめに管理できることになる(残念ながら著作権のしがらみで,日本ではすんなり行かないだろうけどね)。

 もちろん,AmazonやGoogleも黙ってはいないだろう。彼らもAppleのCD殺しの動きは,とうの昔に知っているからだ。
 そんな状況の中で,何なのだろう,この日本のグダグダ感は。電子書籍におけるソニー,凸版印刷,KDDI,朝日新聞の大連合軍も心許ないし,電子書籍用の独自フォーマットXMDFを採用するという無謀な企てのおかげでスタート前に既に転んでしまっているシャープとか……。
 日本企業がそれぞれにぐだぐだな囲い込みをしようとして,結局大失敗……という未来が丸見えだ。

 いまだに記録(録画)メディアとしてBlu-ray Discの未来が信じられており,大容量化への技術開発も継続しているが,実はDVD-RどころかBlu-rayすらも終わりつつある技術なのだ。世の中に広く普及する前に消えてゆく……そんな未来が見える。

新MacBook Airの再インストール用USBメモリ

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コメント

今日は、こっちに書かせていだだきます。

本来日本の情報産業を牽引していくべき大企業の数々が、目先の利益ばかりを追いかけて、先が読めないっつうか、想像力自体が枯渇してしまっているんでしょうね。景気が悪い〜とりあえずは黒字転換だ〜すぐに利益が出る仕事が優先だ〜夢物語語ってんじゃねぇよっていう流れもあるかも(私の勤め先はそうです)。

Appleの中長期的視点がほとんどブレずに実現してきていることは、Appleという会社自身に巨大なパワーが蓄積されてきた証拠でしょう。iMac以前の瀕死の時代には想像することもできなかったですね。資金は潤沢に確保してある、必要なテクノロジーは買収し、不要なものはさっと切り捨てる。やっぱり企業のパワーは「金」と「決断力」であると思います。金があっても、経営者がアホではどーしよーもないですが、トップには明晰な司令塔であるスティーブ・ジョブスが君臨していますからね。

ヤフーニュースのコメントで、中国や韓国製品をばかにする書き込みが目に余りますが、遠い昔のバブル時代が忘れられない日本人が多いんでしょうかね。今や多くの製品において、その中国や韓国にさえ遅れをとっている日本。ドコモはサムスンの名前をあえて出さずにCMやっていますが、ギャラクシー、日本じゃ競争力のある価格で作れないんでしょ?

また、iPhoneのフィルタリング機能の不備に対するバッシングは、非常に作為的なものを感じます。iPhone、既に日本で2年以上使われているのに、何を今更...。フィルタリング付けたって、悪用する悪党はわんさといるわけで、無力なApple叩き、SoftBank叩きなど意味を持たない筈。

本来、今のAppleの役目はSonyが担っていてもおかしくなかったと思うのです。どこでSonyの歯車が狂ってしまったんだか...。

私の周りもAppleで固めつつありますが、SonyもSharpも使っていますよ。白物家電のSharpは好きなんで...。

夜分長々と失礼しました。

投稿: ポンタ | 2011年1月 3日 01時46分

 ポンタさん,こんばんは。
 今となっては,ジョブズが戻ってiMacを出す前に瀕死の状態(会社がなくなるのか,sunに買われるのか……)だったのが信じられない感じですね。当時は酷い機械をいっぱい出してました。

 AppleのジョブズがSONYのような会社を目指していたことは有名ですよね。それだけのものがSONYにはあったと。
 私もSONYが好きで,WindowsのノートPCは2台続けてVAIOですし,テレビもSONYのBRAVIA,レコーダーもスゴ録……と,SONYには期待し続けてます。あっ,愚痴はブログでいっぱい書いたけど(一部には顰蹙を買ってるかも)コンパクトデジカメにはSONYのも使ってますし。

 なんか,日本のメーカーも,Appleの製品のハードウェアを意識した製品をどんどん出しているようには思いますが,根本のところが全然わかってないんじゃないかと思ってます。それは,Apple用の電子書籍を作っているところも同様です。

 Appleの戦略の中心は,ハードウェアではなくて,明らかにiTunes Store,iBookStore,Mac App Storeです。日本の電子書籍はiBookStoreではなく,iPhoneやiPad専用のアプリケーションのかたちで発売され始まってますが,そんなもん怖くて買えませんよ。

 日本メーカーが独自に作ったそのアプリケーションは,5年後10年後に出ている新しいNew iPadで動いているんでしょうか? 本を買ったのではなく,本を表示するアプリケーションを買ってるわけですが,そのアプリケーションが10年後に動いているなんて,信じられないです。そのアプリケーションで動く本を100冊買ったとして,その100冊が10年後に読めなくなってしまう可能性だってあるわけですもんね。

 実際,1995年頃にMac用にHyperCardを使った電子ブックが多数発売されました。でも,その時に買った電子ブック(たとえば手元の「稲垣足穂・フーチュリカ」等)は,現在のパソコンじゃまったく表示できません。
 当時の写真はJPEGファイルだったりTIFFファイルだったり,フォトCD方式であれば現在でも読めますし,PDFファイルも表示できますが,独自アプリケーションを使った電子書籍は,読めなくなる危険性をはらみ続けていると思います。

 そして,昨年末から各社から大量に発売されている電子書籍端末。そのコンテンツを管理するソフト(AppleでいうところのiTunes Store……)が,まともにできあがっているように見えません。iPad用の電子書籍でさえ,iBookStoreではなく,アプリケーションタイプになってしまっています。それじゃ,1995年頃に購入した複数の電子ブックが読めなくなった経験のある私は,とても電子書籍を買いたくなる気分にはなりません。

 まぁ,SONYにはがんばってほしいところですが,まずは音楽管理ソフトでiTunes並のソフト(もちろんWindows版・Mac版)を出してからじゃないと,SONYの音楽プレイヤーすら買う気になりません。

 SONYのデジカメの添付ソフトを見てガッカリしたんですけど,いまだにソフトは,外注だろうし,コストも掛けていないし,ソフトの仕様から使い勝手まで全部をまとめるマネジメントができていないし,当然のように外注先にはMacintoshのソフトが作れる会社が存在しないし……,他人ながら心配になってしまうほどです。私が思っているSONYはこんなんじゃなかった。もっとしっかりしてほしい,と思います。

投稿: 三日画師 | 2011年1月 3日 02時26分

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