« 西尾・蒲郡線とりあえず3年間は存続! | トップページ | 地下鉄東西線でワイドドア運行。効果はいかに? »

2010年4月 7日

JR西日本が赤字ローカル線の一部廃止を言明

 JR西、赤字線をバス転換 (SankeiBiz)

 JR西日本の佐々木隆之社長は5日の記者会見で、赤字ローカル線の一部を廃止し、バスに転換する方向で検討に入ったことを明らかにした。廃止の検討対象にしている路線名は明らかにしなかった。影響のある地方自治体には、廃線とバス転換を受け入れるかどうか既に打診しているという。

 たまたまこのニュースを見つけて驚いている。なにしろ,あちこちで大騒ぎになりそうなこのニュースを大手のメディアはどこも報じてないのだ。

 交通行政が,将来どのような交通網を作るのかのビジョン無しに(あるのかもしれないけど,一般人には全然見えない)高速道路の休日割引,無料化を行ったことによって,各地の公共交通が悲鳴を上げている。宇高航路はひとまず運行継続となったが,伊勢湾フェリー,呉−松山フェリーなどの廃止が発表されている。

 そして,もちろんJR各社への影響は大きい。景気悪化の影響も相まって,赤字ローカル線だけでなく,稼ぎ頭の新幹線の利用客も減少している。運転本数をぎりぎりまで減らした状態の赤字ローカル線が,営業努力で黒字化するような状況ではない。赤字ローカル線沿線の人たちは,既に鉄道を利用しない生活をしているのだ。

 ぶっちゃけて言えば,JR西日本とすれば,収益が見込めず,手放したくて仕方がない赤字ローカル線を手放す理由ができつつあるってことだろう。上下分離方式等,もう少し公共交通機関のことを真剣に考えてくれないとこうなっちゃうよ,というポーズの部分もあるに違いない。

 今後,廃止対象路線発表→沿線自治体大反発→第三セクター化検討→でも採算が……という過程が予想される。

 でも,本当にそれでいいのだろうか?
 ほとんどの人はいいと思っているんだろうな,たぶん。鉄道使わないし。
 広域で体系化されたバス網ができるなら,それはそれでいいような気もするが,バス事業は赤字ローカル線並に疲弊している状況では難しいだろう。

 結局は,交通行政が将来のビジョンを描き切れていないのが問題なのだ。
 鳩山首相は国連の演説で,温室効果ガスを2020年までに1990年比25%削減することを目指すと表明している。では,交通行政では具体的に何をどうするのか。個人的には,貨客輸送の大幅なモーダルシフトしかないと考えている。
 貨物輸送を鉄道・貨物船(そのために全国各地の港湾を整備したんじゃないの?)に移行するのはもちろん,自家用車から鉄道・バスなどの公共交通機関へのシフトも政策で行うしかない。

 しかし,現状の政策は高速道路の休日割引・無料化などまったく逆……というか,将来のビジョンなんて感じられないものになっている。2020年頃には車のほとんどがEVになってくれたら目っけ物,ぐらいの考えなのかもしれないね。

030430135701
 備後落合駅。木次線の列車が到着し,芸備線の列車に乗り換えるところ。[2003年4月30日]

030430160418_2
 三次駅の0番線は三江線専用のりばだった。
3月10日の「三次駅の三江線乗り場(0番のりば)廃止」というエントリーに書いたように,3月13日に廃止となった。[2003年4月30日]

030430180334
 福塩線の府中駅。福山から府中までは電化されているが,府中から塩町は非電化で運転本数も少ない。[2003年4月30日]

|

« 西尾・蒲郡線とりあえず3年間は存続! | トップページ | 地下鉄東西線でワイドドア運行。効果はいかに? »

鉄道」カテゴリの記事

コメント

JR西日本は、広島県の可部線で、非電化末端区間を切る事により、動線の収支を劇的に改善させた「実績」が有りますので、赤字線は切れるなら切りたい、というのが本音でしょうね。

中国地方の同様なケースでは福塩線の府中~塩町、芸備線の備中神代~三次、姫新線の津山~新見、因美線の津山~智頭などの区間は、すぐに俎上に上りそうです。最近、石灰石輸送が終了となった美祢線全線、小野田線支線、山陰本線仙崎支線、三江線全線、木次線全線などもやばいかな。

投稿: もりあき | 2010年4月 8日 03時22分

 国鉄を分割民営化したときに,なんとなく予想されてた事態ですよね。ひどい赤字路線を放置することは株主の利益になりませんし。
 2000年の規制緩和で,1年前に届け出れば沿線自治体の合意無しに廃止できるようになったので,もう待った無しですね。

投稿: 三日画師 | 2010年4月 8日 13時49分

なんですよねぇ…
また、高速道路の上限料金制なんて長距離利用を促進するようなことやっちゃって…
せめて、利用促進するなら短距離利用や中距離利用あたりまでが有利になるようにすればいいんですけどもねぇ…

まぁ、鉄道が成り立たなくなったところは、もしかしたらオンデマンドバスみたいなのがいいのかもしれないですけど、今は転換交付金が無いんでいろいろやるにしても難しいですよねぇ。
美幸線には交付金が出て、(例えば)三江線には出ないことの意味を考えちゃいますよねぇ。
JRに出せとは言いませんけども。

投稿: waka | 2010年4月 9日 14時26分

 オンデマンドバス等に転換して採算が取れる地域ならばいいんですけど,本当に難しいですねぇ……。確か,過去にバスに転換して利用者が増加したところは例が無くて,自家用車に利用客が流れて利用客が減ってるんですよね。

 料金で長距離利用を促進するってのはアリかもしれませんね。

投稿: 三日画師 | 2010年4月10日 00時09分

いっそ、JR線の運賃と特急料金も、200km以上は上限運賃のまま、という具合にしてしまえば?などと考えてみました。上限を超える分は政府がJR各社に補填して…そして際限なく予算(国の借金)が膨らんでいく悪寒。どうしましょう。

投稿: もりあき | 2010年4月10日 13時45分

 ホント,どうしたらいいんでしょう。

 個人的には,公共交通機関は社会福祉のひとつと考え,結局のところ国なり自治体なりが,ある程度負担するしかないと思っています。
 ヨーロッパやアメリカのように,上下分離方式で,インフラ部分を道路のように国か自治体が保有して整備することにし,鉄道会社は列車の運行に集中してもらうのが良いと思うのですが……,今の世の中の流れには逆行する感じですよね。

投稿: 三日画師 | 2010年4月10日 21時08分

ローカル線沿線の高齢化や人口減少による利用者の減少というのもありますが、古い鉄道が存続していることによって地域のインフラ整備が遅れてしまっているケースも見受けられますね。

例えば、1998年春に地元紙が廃止計画をスッパ抜いて大騒ぎになったJR可部線・可部~三段峡間46.2km(2003年廃止)の場合ですと、沿線を流れる太田川の護岸や県道、国道などの改良が全般的に遅れていました。線路があるせいで通行不能になっていた県道は、同線の廃止後に線路を撤去して通行可能になりましたし、別の場所では、太田川の護岸の嵩上げと県道の拡幅のために線路跡が活用されています。他にも道路化されている箇所が複数ありますし、駅の跡は駐車場、公園、集会所などに生まれ変わっています。

これから具体的な路線・区間が明らかになってくると思いますが、毎度の如く、鉄道ファンが殺到することになるんでしょうね。(苦笑)
ちなみに、記録撮影するファンのために、発表~廃止までの期間はある程度の余裕を見ておいてあげた方が良いかも知れません。最低でも1~2年(春夏秋冬の風景を記録可能)は欲しいところでしょう。各沿線ではガソリンなどの売り上げが若干増えるかも…。

投稿: 牡丹鍋 | 2010年4月14日 17時22分

 ローカル線の多くはマイカー時代以前に計画され,渓谷のぎりぎりの場所を通っていることが多いので,その後の道路整備に影響を与えている場所は少なくないかもしれませんね。人や荷車は通れたけど,車が通れないというコトですよね。

 Googleマップ等で航空写真を見て感じるのは,ちっぽけな片側一車線の道路でも,単線の鉄道よりもはるかに幅が必要だということです。やっと鉄道を通したような渓谷に,片側一車線の道路を通すのは大変でしょうね。

 ローカル線の廃止が近づいたら,やっぱり鉄道ファンが殺到するんでしょうね(撮り鉄の多くは鉄道利用しないでしょうけど)。個人的には,最後はひっそりさりげなく看取ってやれないものかと思いますけど,無理でしょうね。

投稿: 三日画師 | 2010年4月14日 19時24分

鉄道としての使命は 終えたものと 判断 山口県美祢線の支線が 廃止された時の 案内でしたが 全国のローカル線が 廃止され20年以上が 経ちましたけど 現在維持している 中には 維持してる事自体が 不思議な線が ありますね! 芸備線の末端区間 木次線 小野田線の末端区間 など 将来的にも 見込みなしですね! 高速道路 少子化 過疎化 自家用車の普及 ! 只残念なのは 集客の努力が見当たらない 例、芸備線から木次線との連絡列車の途中打切りなど
廃止前提の土台作りと思われますね!

新幹線や都市部の輸送にシフト 利益至上ってな 風潮もありますね! 近代が進められて
以前ほど 列車の旅に魅力がなくなってます!
鉄道としての使命を 終えたなら 廃止するのも 企業として当然ですね! 全国のローカル私鉄が 残ってない事実は 鉄道経営の厳しさを 表していると 思われます!

投稿: 河内のおっさん | 2010年4月15日 01時29分

 ローカル線の主な用途が,中高生の通学とじいさんばあさんの病院通いだとして,各地方のダイヤが制定されているのかもしれませんが,旅行で使おうとすると,とてもまともに乗れないような路線が多いと感じます。おっしゃる通り,客を増やそうとする企業努力が見えてきません。
 変な言い方ですが,地元の人の「鉄道は使わないから無くても良い」という言葉を待っているかのような運用になっている感じです。

 鉄道会社から行政への「うちらは営利企業なので,なんとかしてもらわないとこれ以上赤字の列車を走らせることはできません」という声が聞こえてくるようです。

投稿: 三日画師 | 2010年4月15日 01時50分

やはり因美線や姫新線といったキハ120で運行されている路線がなくなるんですね。悲しいですね、

投稿: 宇野線 | 2010年7月 7日 12時51分

 具体的にどの線を廃止するかという話は,まだ出ていないように思いますが,やっぱり一民営企業が維持できるレベルではなくなってますね。
 沿線自治体が,JRから「廃止」という話が出てビックリするような状況こそが問題なんだと思います。

投稿: 三日画師 | 2010年7月 7日 22時13分

因美線に何回か乗車しましたが、乗客は二人ぐらいでこれはこのままで大丈夫なのかな、と思いました。JR西日本が手放したいのは無理もないと思います。沿線住民がバス転換を受け入れればもうじき無くなる事になるのでしょう。

投稿: 急行 砂丘 | 2010年7月10日 20時15分

 因美線の智頭〜津山は県境を越えるので,旅客需要が少ないばかりか,危険防止のために低速運転をしている区間も多いので,本当に厳しいですよね。
 バス転換するには,県境の物見トンネル部分で代替バスが走れないのが問題ですね。需要は少ないですが。

 沿線自治体が,岡山県と鳥取県に別れてしまっているので,まとまって将来を検討できていないんじゃないかと思います。自治体としてどうするのかが見えてこないことには始まらないですね。

投稿: 三日画師 | 2010年7月10日 22時58分

たしかに途中の崖のところでは十五キロ制限というところもありました。バスの場合黒尾峠を通るというのは時間がかかるのかもしれませんし、そういう意味では鉄道のほうがいい事もあるかもしれません。

投稿: 急行 砂丘 | 2010年7月11日 13時29分

 津山と鳥取を結ぶ需要がどのぐらいあるのかが気になりますが,正直,それほど需要が多いようには思えないですね。岡山−鳥取間は智頭急行経由が十分機能しているようですし。

投稿: 三日画師 | 2010年7月11日 19時54分

津山市から陸自日本原駐屯地のある那岐町を抜け、黒尾峠から智頭町に至る国道53号線は、非常に快適な道路です(峠の手前には珍しいループ橋区間も有ったりします)。普通に自家用車やバスで走れば、津山~智頭~鳥取間の移動は、圧倒的にこちらの方が速くて快適でしょう。

那岐山の裾野に拡がる日本原は、「広戸風」という局地的な暴風で有名な所ですが、自家用車の国道走行が規制になるという事も滅多に無い様ですし、少なくとも今にも路盤崩壊を起こすかもしれない因美線の速度規制区間よりも、通行上は安全かと思われます。

物見峠を越える鉄道区間は、トンネル前後の住民の旅客移動需要を前提に建設された訳ではなく、岡山⇔鳥取の「陰陽連絡」需要が前提となって建設された区間です。

事実上の陰陽連絡の鉄道輸送が、山陽線の上郡駅から智頭急行線を利用するルートに切り替わり、津山市を中心とした美作地域から智頭町・鳥取市方面へのローカルな移動手段も、自家用車・トラックを主体とした国道53号線経由の自動車輸送に移行しています。津山~智頭間の因美線は、残念ながら交通手段としての役目を終えたもの、と判断されても仕方ないでしょう。

投稿: もりあき | 2010年7月12日 12時07分

 知れば知るほど因美線の津山〜智頭間は厳しいですね。各駅の1日の利用者が100人未満では,いかんともしがたいです。

 岡山−津山−鳥取を結ぶ国道53号線は,智頭急行線が完成する前から,既に那岐山の南側に開通しているんですね(古い地図を見てみました)。

 美作加茂駅周辺では,そこそこの大きさの集落から駅が離れた位置にあり,ひょっとしたら町の中に停まるであろう代替バスのほうが喜ばれるかもしれません。

投稿: 三日画師 | 2010年7月13日 07時44分

バスだとある程度集落に近いところに停車できるメリットがありますのでお年寄りには喜ばれるのではないかと思います。電車だとそういう自由がないので。

投稿: 急行 砂丘 | 2010年7月21日 20時26分

 停留所を自由にできるのはバスの良いところですね。

投稿: 三日画師 | 2010年7月21日 23時35分

JR西日本は因美線などの今にもなくなりそうな路線にキハ120を投入したんでしょうかね。

投稿: 急行 砂丘 | 2010年7月22日 18時14分

キハ120は,ローカル線なのに座席数が少ないし,利用者の評判は悪いと聞きます。トラブル続きのJR西日本ですが,JR西日本だけのせいにしないで,地元自治体も将来の公共交通をどうするか,真剣に考えてほしいですね。

投稿: 三日画師 | 2010年7月23日 00時36分

JR西日本のローカル線は味があっていいですけど、需要が少ないのなら・・・という気もしますね。因美線のキハ58も老朽化が進んでいるので美作スローライフ列車もあと数年でしょうけれどそれがなくなってしまうとほんとに因美線は何もない路線になってしまいますね。あと、姫新線津山ー新見もそんなに需要のある路線ではないと思います。また、同線葉魅力のある路線ではなさそうです。中国山地あたりも高速道路が発達してそのあたりを走る路線はだんだん影が薄れてきていますね。電化されている伯備線の新見以北の普通列車も2~3時間に一本、おまけに乗客はあまりいない、とこちらもあまり需要のある路線とはいえません。このままいけば、10年後あたりの路線地図を見るとびっくりしてしまうでしょうね。大変です・・・・・・。

投稿: 急行 砂丘 | 2010年7月23日 17時27分

 中国山地の鉄道は,もう本当に厳しいところばかりですね。3時間も間があいたり,保守のために一日運転停止したりと,利用する気がなくなるような状況ですからね。

 10年後,本当にどうなってしまうんでしょうね。

 国外を見れば,列車が2日に1本しか運転されないところとかが残ってたりして,残すだけなら残せないことはないと思いますが,掛かるコストをどうするかが問題ですね。

投稿: 三日画師 | 2010年7月24日 01時56分

そうですねー。JRも儲かる見通しがつかないところは早くバス転換か廃止にしたいでしょうし・・・。あとは住民がどういうかですね。

投稿: 急行 砂丘 | 2010年7月25日 19時49分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: JR西日本が赤字ローカル線の一部廃止を言明:

» JR西日本、赤字ローカル線をバス転換へ [たべちゃんの旅行記「旅のメモ」]
 5日に行われた記者会見でJR西日本の佐々木社長は、赤字ローカル線の一部を廃止し [続きを読む]

受信: 2010年4月18日 20時50分

« 西尾・蒲郡線とりあえず3年間は存続! | トップページ | 地下鉄東西線でワイドドア運行。効果はいかに? »