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2011年10月30日 (日曜日)

みやぎの思い出写真集「海と風と町と」が届いた

 宮城県内各地の風景が津波で失われてしまった。あの風景をもう一度見たい,そういう写真集を作りたいので,写真を貸してほしい……と,私のブログの写真を見た事務局の方からメールがあったのは,6月頃だったろうか。

 観光地や有名な建物の写真は誰もが撮っているが,ごく普通の街並みの日常の写真は,なかなか撮っている人が少ないのだろう。私は写真で飯を食っているわけでもなく,ほんのわずかでも被災された方の力になることができたら幸せなので,この依頼を断る理由は何もない。

 とは言え,被災した土地の人間ではないため,撮った写真が被災した場所の写真かどうかの判別ができない。その点については,事務局の方で判別してもらうということで,本塩釜〜陸前富山〜石巻〜南気仙沼〜気仙沼と旅をしたときの写真の多くを事務局の方に丸投げしてしまった。選別作業等では,大変ご迷惑をお掛けしたかもしれない。

 そのときから約4ヶ月……。その写真集が届いた(今月の始めには届いていた)。

みやぎの思い出写真集「海と風と町と」3.11 津波で失われた宮城の風景

 小さな写真集だけど,とても美しい装丁だ。「思い出は美しすぎて」という歌があった。そう,海も風も町も,みんな美しかったのだ。

みやぎの思い出写真集「海と風と町と」3.11 津波で失われた宮城の風景

 石巻市の中瀬にあった岡田劇場の写真。石巻を旅したとき,中瀬に残る岡田劇場は特に印象に残ったので,何枚も何枚もシャッターボタンを押した。
 私の写真は,小さなカットも含めて10カットも採用されていた。

 綺麗な風景や有名な場所は,いろいろな人がどんどん記録(写真やビデオ画像)を残してくれる。だから,その場でしっかり自分の目に焼き付けておけば,自分があえて記録を残さなくても,誰かが記録してくれる。YouTubeで追体験することまで可能だ。

 しかし,ごく普通の街並みや風景は,誰にもほとんど記録してもらえずにどんどん姿を変えていく。
 そんなうつろいゆくものを,撮っておきたいという気持ち半分(残りの半分は撮りたいものを撮りたいという単純な気持ち)で写真を撮り続けている。

 ほとんどの人が撮ろうとしないごく普通の街並みを,うつろいゆくものを撮っておきたいと思って撮った写真。実際にその場所が津波で無くなってしまったときに,私はひとつの目的を達したことになる。その写真は貴重だと言われて,被災前の姿をまとめた写真集に掲載された。でも,なぜか喜べない。なんだろう,この虚しさは……。

 さらに,被災後の姿の写真も撮りに行って,津波がくる前の写真と比較した写真集でも出してみれば,とか,復興後の写真も入れて三部作に……などと煽る者もいる。うーん,全然魅力を感じない。(基本的には無神論者なのに)何か畏怖の念まで感じてしまう。

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コメント

感無量。
ただただ撮っておいてよかったと思います。

投稿: osa | 2011年11月 7日 (月曜日) 23時19分

 ありがとうございます。
 今になってみると,雨さえ降っていなかったら,気仙沼の街をもっともっと撮れていたのに……とか,後悔の念ばかりです。

投稿: 三日画師 | 2011年11月 9日 (水曜日) 16時02分

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