横須賀サンセット・サンライズ 上町商店街
横須賀サンセット・サンライズ 上町商店街
昨年の12月に京浜急行の横須賀中央駅から県立大学駅(旧京急安浦駅)まで歩いたときには,京急本線の東側(海側)をぶらついたのだが,今日は今まで歩いたことのない横須賀中央駅の山側をぶらついてみることにする。
横須賀中央駅東口を出る。
京急本線の下をくぐり,西口側に商店街がのびている。
ビルの谷間に諏訪神社の鳥居が見える。
京急線のガードをくぐると,横須賀中央駅の西口がある。
西口駅前から先は上り坂になっている。
上り坂の両側は平坂通り商店街になっている。
横須賀中央駅西口に隣接した岡田屋モアーズの駐車場入口を過ぎると,商店街の名称は上町銀座商店街に変わる。
横須賀中央駅方向を振り返る。
上町一丁目の交差点。
上町一丁目の交差点から西側に続くのが中里通り商店街である。
銭湯だろうか……?
営業はしていないが,確かに銭湯のようだ。
中里通り商店街の途中には横須賀市立中央図書館があるため,人通りは意外に多いが,商店街としての機能は薄れてしまっている。
建物の細かな装飾が,かつての街の繁栄を感じさせる。
ここにも銭湯があった。こちらはしっかり営業中である。
再び上町銀座商店街に戻る。
上町は古くから商店街として栄えていたらしく,典型的な看板建築の商店が建ち並んでいる。商店街の背後にはまだ緑の木々が残り,蒸し暑くなった今日はニイニイゼミの鳴き声が聞こえる。今年,蝉の鳴き声を聞いたのは初めてだ。
このあたりは横須賀中央駅と県立大学駅の中間に位置しているため,バスが日常的な交通機関として利用されているようだ。
典型的な昭和の看板建築が残っているということは,残念ながら現在は商店街が停滞しているということを意味する。周辺には市立中央図書館だけでなく,大きな病院や文化会館,博物館,税務署など,人が集まる条件はそろっているのだが,自動車の通行量が多く,道路の反対側に簡単に渡れない状況になっている現状は,商店街としてちょっと厳しい環境である。
豊島小学校入り口交差点。
豊島小学校入り口交差点から南側に延びているのが池之端商和会商店街である。
池之端商店街には,昨年まで立派なアーケードが設置されていたそうだ。今はきれいに撤去されていて,商店街としての雰囲気も薄れている。
池之端の名が表すように,かつてはこのあたりに大きな池があったということで,商店街の入口にある弁財天と小さな池にその名残を残している。
ここにアーケードがあったというのが信じられないような静かな雰囲気である。
再び上町商店街へ。
税務署前交差点の南側付近には緑が溢れている。
歩道橋があったので登ってみる。
横須賀中央駅からずいぶん歩いて,すっかり汗だくになってしまった。適当なところで引き返そうと思っていたのだが,結局,県立大学駅の方が近いところまで来てしまったようだ。
折角だから,かつてこのあたりにあった柏木田の遊郭跡を探してみることにする。
幹線道路から外れたところにポツンと広い道路が存在していた。地名として「柏木田」が残っているわけではないが,たぶんここが柏木田遊郭跡だと思われる。残念ながら痕跡のようなものはまったく残っていなかった。
県立大学駅を目指して歩く。
路地を撮影しようとカメラを構えていたら,おばあさんが小さな社の前で立ち止まり,ゆっくりと手を合わせる。信心とは無縁な私だが,こういう光景には心が洗われる。
「ハム」の店があった。もちろん,食べる「ハム」ではない。今どきの若い人は何のことだかわからないに違いない。ハム(HAM)はアマチュア無線のことで,私が小学生の頃(今から30〜40年前)には切手収集と並んで王道的な趣味のひとつだったのだ。電話級や電信級の資格を持っていた同級生もいたと記憶している。
下り坂が見え始めた。この坂の先が京急本線の県立大学駅に違いない,と確信する。以前,ホームからこの(少し不思議な)切り通しを見たときに,その先はどうなっているのだろうと気になっていたのだが,今日は「その先」から駅にアプローチすることになる。
坂を下る。
県立大学駅のホームが見えてきた。
県立大学駅へ。
ホームに電車が入ってきた。右側にちらっと見えるのが,さっき下ってきた切り通し。
【使用したカメラ】
・EPSON R-D1s + フォクトレンダー COLOR-SKOPAR 21mm F4
今日は,新品交換となって戻ってきた新しいR-D1sに,フォクトレンダー COLOR-SKOPAR 21mm F4を付けて撮ってみた。専用の外付けファインダーは付けずに,R-D1sのファインダーで大ざっぱな視野を確認しただけの,いい加減な撮影だった。
掲載した写真を見てわかるように,ビックリするほど周辺の光量落ちが激しい。画面周辺部の画質もボロボロである(個人的にはそれほど気にならないが)。フランジバックの短いMマウント(Lマウント)では,いくらAPS-CサイズのCCDとはいえ,広角レンズの光学的条件は厳しいのかもしれない。
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コメント
こんにちは。
人の匂いのしみこんだ町の風景を楽しませていただきました。
使い捨てカメラみたいな周辺の光量落ちですねえ。
色はしっとりしててよく町の雰囲気が伝わってきます。
ぼくはあんまりカメラのことが分かってなくて、絵が面白ければいいのであまり気にはなりませんが。
投稿: osa | 2007年7月 9日 (月曜日) 11時48分
昭和大好きしんべえと言います。
デジカメじゃなくてフイルムで撮ったような写真ですね。すっごく良い感じです。横須賀の山側は住宅地しか無いと思ってたので、古い商店街があると知ってびっくりです。しかも、昔は遊郭まであったとは。。。横須賀に住んでるのに知りませんでした。
横須賀サンセットサンライズって山口百恵の歌ですよね?<実はこれが聞きたくて出てきたしんべえです。
投稿: しんべえ | 2007年7月 9日 (月曜日) 17時30分
osaさん,こんばんは。
購入したデジカメの描写について,あれこれと分かったようなことを書き散らしていますが,実際のところは写りなんかはどうでも良くて,使っていて気持ちいいカメラが好きだったりします。
というか,昔から写真関係の言い回しを見聞きしていますが,良くわからないことが多すぎるんですよね。たとえば「階調が豊か」なんてのも不思議な言葉で,この表現を多用する人に「階調が豊かではないレンズの代表例を教えて?」と尋ねても,具体的なレンズを教えてもらった記憶がないです。階調が豊かなレンズはいっぱいあるのに……,不思議です。
投稿: 三日画師 | 2007年7月10日 (火曜日) 00時36分
しんべえさん,こんばんは。
横須賀にお住まいですか。神奈川県では横浜に次ぐ歴史のある街ですので,昭和好きには堪らない場所ばかりですね。
横須賀サンセット・サンライズは,仰るとおり山口百恵様の歌です。実は,ジャズ評論家の平岡正明が書いた『山口百恵は菩薩である』という本に強く影響を受けて以来,聴く音楽はジャズか百恵ばかりでした。
横須賀サンセット・サンライズをご存じとは,しんべえさんも相当な百恵ファンではないですか?
投稿: 三日画師 | 2007年7月10日 (火曜日) 00時57分
しんべえです。
横須賀サンセットサンライズは、やはり百恵ちゃんの歌からのタイトルだったんですね。いい日旅立ちと曼珠沙華が入ったレコードのエンディングの歌でしたね。溝がすり切れるほど何度も聞いたレコードです。ずっと横須賀に住んでいるので、横須賀のことを何度も歌ってくれた百恵ちゃんが大好きでした。百恵ちゃんの話ばかりですみません。
投稿: しんべえ | 2007年7月13日 (金曜日) 22時27分
「曼珠沙華」の前の台詞が印象的なアルバムですよね。
傷つけられても傷つけたくない
愛されるより愛していたい
歌手の前に人間でありたい
あなたの前で女でありたい
私はもう二十歳(はたち)
まるで「菩薩」宣言ですね。わずか20歳の若い女性が「曼珠沙華」のような重い曲を自分のものにしてしまうなんて,本当にすごいことだと思います。
山口百恵の話ばかりになっても,私は全然気にならないですよ。「さすけね(=大丈夫,問題ない)」です。
#台風で大雨が降っていますが,横須賀は大丈夫ですか?
投稿: 三日画師 | 2007年7月15日 (日曜日) 12時49分
横須賀上町~と検索して、このブログに出会いました。雰囲気のあるいい写真ですね!横須賀在住30年以上ですが、だいぶ変わりました。昔はEMクラブもあったし、もっと全体的に味わいのある建築物が残っていましたね。今回三日画師さんが歩かれた「県立大学」もかつては、「安浦」。駅のそばにすごく古い、味わいある診療所がありました。
上町商店街は、京急そばにある三笠通り商店街・どぶ板商店街とはちょっと赴きの違う場所です。家賃が安いらしく、新しい若い店主と昔ながらの老舗が入り混じってて、歩いていてとても楽しい。お祭り屋さんや三味線屋さん、仏壇屋さんと一緒に創作アートや骨董、カフェなどわくわくしちゃいますよ!!横須賀は高いものは売れないらしく、値段もかなりリーズナブル!だけど、肝心の地元人はそれに気づかず、東京などから買い入れに来ちゃうらしいのです・・悔しい話です。
横須賀の歴史は、かつての赤線があったり、原子力施設も刑務所も地震研究所もあれば、ドコモの研究所もあるし、防衛大学もある。ベースで霞がちですが、こんだけいろんなものを抱えた都市ってなかなかないと思います。もっと注目されてもいいんだけど、ただ、人口を増やすだけの政策ばっかりとってる(と思う)市政じゃあ文化レベルは到底おっつかないと思います。
なんだか、横須賀に対してあつーく語りすぎましたね!ぜひ、三日画師さんにもう一度、横須賀へ来てほしい!と思い書き込みました。
ちなみに、百恵ちゃんがちょっとだけ通っていた中学校は不入斗中といって、三日画師さんは近くまで歩いてましたよ!おしい!
それでは、これからもいい写真と街歩きのコメント、楽しみにしています☆
投稿: マリン | 2007年9月 4日 (火曜日) 07時18分
マリンさん,横須賀に対する熱いコメント,ありがとうございます。
横須賀には,海も山も街も港もあって,しかも市内のあちこちが特徴的な歴史や文化を持っていて,本当に魅力的な街だと思います。「来るな!」と言われても,これから何度も伺うことになると思いますので,よろしくお願いします。
思い出しました,不入斗(「いりやまず」でしたね)。地図を見直したところ,仰るとおり,けっこう近くを歩いていたんですね。事前に分かっていたら,また違った歩き方になっていたかもしれません。
投稿: 三日画師 | 2007年9月 4日 (火曜日) 23時38分
まんちゃんと申します。
写っている道が小学生の時の通学路そのもので、叔母が住んでいた家が写っていたりもして、懐かしく思いながら拝見させていただきました。
仕事の都合で横須賀を離れ30年、今は熊本に在住しています。
写真を見ながら、マリンさんのコメントを見ていると「そうそう!」と思わず言いたくなりますね。
ちなみに、私が小学生だった頃には柏木田の通りには木造三階建ての遊郭だったと言われた建物が残っていましたね。
それから、赤線は今の県立大学駅(安浦駅、その前は公郷駅と言いました)を降りて海側に行くと今は埋め立てられてしまった安浦港(通称:重箱)がありましたが、その周辺にあったようです。
おっと、下世話な話題ばかりで申し訳ありません。
上町周辺は、まだまだ古い街並みが残っているようですので、昔を思い出しながら自分もカメラ片手に歩いてみたいと思います。
投稿: まんちゃん | 2010年6月 8日 (火曜日) 06時42分
こんにちは。
木造三階建てと聞くだけでワクワクします。
柏木田遊郭の唯一の名残とも思われた福助ホテルも,営業しなくなって久しいらしく,早めに見に行きたいと思ってます。
安浦のほうは,現在でも住宅地の中にタイル貼りの壁が残っていたりするそうですね。港が埋め立てられたところは平成町という無粋な地名が付いて巨大なアパートが林立し,行きたくなる気分を萎えさせますが,その手前の赤線跡はどこにでもある風景ではないので,ぜひ写真に撮っておきたいと思っています(ずいぶん前に一度歩いた記憶はあるんですが…)。
投稿: 三日画師 | 2010年6月 8日 (火曜日) 11時15分
去年の今頃、柏木田遊郭跡を探しに行って見つからず、再度挑戦したことがあります。あとから思えば、なんで最初に見つけることができなかったのか不思議です。
最初は、重厚感のある銭湯っぽい建物(佐野一交差点のところ)からまっすぐ続く行きどまりの道(真ん中に植え込みがある)と勘違いし、帰ってきて再チェックをしたら、福助ホテルのあるところだとわかりました。後日、出直しましたが、柏木田という地名は柏木田町内会という表札のある建物の表札に残っていました。
上町銀座商店街にはなかなかレトロな建物が残っているのに、アーケードがあるためそれが隠されていますよね。というより歩いている反対側の建物の2階に目が行きにくくなっているので(もちろん歩いている側の2階は見えないし)、歩きながら建物のいい感じを味わうことが半減されるような気がしました。一方であのアーケード自体が昭和っぽい雰囲気も出しています。
画師さんも皆ヶ作を歩かれていますよね。私も町内会の案内板などに皆ヶ作の地名を確認し、2、3それらしい建物は見つけ、なんとなく怪しげな雰囲気も感じましたが、ここが皆ヶ作の中心だという場所は発見できませんでした。
「公郷駅」は初耳ですね。
旧安浦駅近くにあった遊郭跡の周辺にタイル張りの家があるらしいという情報を私も知ってはいたのですが、やはり見つけることができませんでした。
横須賀で遊郭跡を、ほんの少しでもリアルな状態で見つけるのはもう無理なんだろうと思います。
昨日まであったものが、明日もあるとは限らないですもんね。
投稿: たくろう | 2010年6月 8日 (火曜日) 20時39分
佐野1丁目交差点のところの広い道路は気になりますね。周辺に,それに繋がる道路の計画があるようにも見えませんし。
上町銀座商店街のアーケードは,あれはあれで特徴なんでしょうけど,見事な看板建築の商店が並んでいるのを見るという意味では,ジャマでしかないですね。アーケードのない姿を見てみたいものですが,無くしてしまうと賑わいの演出まで失ってしまいそうな気もします。
近くの池之端商店街は,全蓋式アーケードを外した姿になっていましたが,ちょっと寂しい雰囲気になっていました(アーケードがあったときは,暗くてもっと寂しかったという声はあるかもしれませんが)。
柏木田や皆ヶ作は,もうすっかり普通の住宅地になっていて,たぶん住人の方には遊郭があったという過去を消し去りたいという気持ちを持っている方も多いかと思います。タイル貼りの部分とか,そういう過去の記憶を残すものがどんどん無くなっていくのは,仕方のないことかもしれませんね。
時間のあるときに,さりげなく訪れて,さりげなく写真に残しておくようにしたいです。
投稿: 三日画師 | 2010年6月 9日 (水曜日) 08時17分